なぜ私の夫は家に帰ってこない?“帰宅恐怖症”になりがちな夫婦のタイプ

カテゴリ:暮らし

  • 長い付き合いとなるパートナーとどう関係を築いていけばいい?
  • “帰宅恐怖症”になりがちな夫婦は「妻がしっかり者で夫は気弱で優しい」
  • 「人生100年時代」いつまでも仲良くいるために、年齢別でできる夫婦円満の秘訣

「人生100年時代」と言われる今、70歳まで定年を引き上げる雇用改革など、政府も企業もさまざまな改革に取り組んでいる。

2017年の日本人の平均寿命も女性は87.26歳、男性が81.09歳と過去最高を更新。もし、20代や30代で結婚し、婚姻関係を続けていった場合、半世紀以上もパートナーと過ごすことになる。

明治安田生活福祉研究所が10月に発表した、「人生100年時代の結婚に関する意識と実態」(調査は2018年6月9~10日、40~64歳の男女1万2千人を対象にアンケート)に関する調査で、「長寿化が進む中で配偶者やパートナーに求めているもの」について、子どものいる既婚者、子どものいない既婚者、未婚者などいずれの属性も「ともに老後を生きているパートナーとしての役割」が高く、6割~7割が答えている。

次いで、4割前後が「相談、癒しの相手や自分を理解してくれる存在」と答えている。

そうなると、長寿化による経済的な問題や健康問題だけでなく、パートナーとの関係も大事になる。長い付き合いとなるパートナーと、どう良好な関係を築いていけばいいのか。『妻と正しくケンカする方法』(大和書房)などの著者である、夫婦問題カウンセラーの小林美智子さんに聞いた。

家に帰ってこない夫の原因はどこに?

まず、最近増えているといういわゆる“フラリーマン”。

働き方改革などで残業が減り、早く家に帰れるようになった一方で、まっすぐ家に帰らない“フラリーマン”、帰宅恐怖症の男性が増えているという。

彼らは、「帰って家事を手伝いたくない」「家に居場所がない…」などと感じているようだが、なぜ、家に帰ることに恐怖を抱いているのか。

「夫婦関係だけに限らず、夫婦の会話などにも表れますが、“妻は不満で、夫は不安”という印象です。男性は妻の不満をどうにか解決したいという思いは強いのですが、女性は感情や行動に分かりにくさがあるので、男性は戸惑い、家から足が遠のいてしまうようです」

男性側からすると、妻をサポートしようと行動をしたらしたで文句を言われ、かといって何もしないでいても文句を言われ、どうしたらいいのか分からなくなるようだ。

一概に誰が悪いとは言えないものなのかもしれないが、家に帰るのが怖いという男性の原因は“妻”になるのか。それとも、夫自身に問題があるのか。その原因は「両方にあると思います」と小林さんは話す。

「男性が家に帰るのが怖くなるような場合、『気弱で優しい夫としっかり者の良い妻』の組み合わせが実は多いんです。気弱で優しい夫タイプは、控えめでおとなしく、口数が少なく、弱いイメージがあります。一方で、しっかり者で良い妻タイプは、社交的できっちりしているため口うるさくなりがちで、強いイメージがあります」

そのため、“帰宅恐怖症”になりやすい一番の特徴として、『男性が弱く、女性が強い』夫婦に起こりがちだという。

家に帰るのが億劫だと感じている夫、そして、もしかしたら夫が“帰宅恐怖症”かも?と感じている妻が解決へ向けて今、出来ることはあるのだろうか。『気弱で優しい夫としっかり者の良い妻』夫婦の場合、男女それぞれに対処法があると小林さんは言う。

「家に帰るのが怖いと感じる夫は、争い事が苦手だったり、面倒なことを避けようとしたりしてしまう傾向があり、妻との争いを避けたい思いが、“家を避けること”につながります。そのため夫は、揉めることを恐れずに、少しずつ妻との争いに慣れていくことを意識するといいかもしれません。また、妻も夫への接し方をソフトにすることを意識することで、夫の態度も変わってくると思います」

一方的な発言をしたり、黙ったままでいてもなんの解決にもならない。

結局は、コミュニケーションを毎日少しずつでも取り、お互いの気持ちを正直に伝えあうことが大切だという。

年齢別でみる夫婦円満の秘訣

結婚をすると、夫婦関係は変化していく。人生100年時代と言われる中で、夫婦が寄り添う時間は果てしない。

そこで、年齢別の夫婦ごとに夫婦円満に過ごせる秘訣も教えてもらった。

まずは、20代から30代の新婚夫婦へ。長い時間を共にしていく中で、夫婦関係が始まるタイミングから何かできることはあるのか。

「実は、最初が肝心です。関係性が短い新婚は、パートナーへの嫌な思いも小さいはずです。男性と女性は根本的に違うので、得手不得手もあります。『自分と同じ』と思わないことが重要です。お互いにフォローしたり、サポートする気持ちを忘れないようにしましょう」

では、結婚10年目を迎えるであろう40代から50代の夫婦は。

「一番難しい時です。夫婦関係もパターン化され、いろいろなことが“当たり前”になります。『もし、パートナーがここにいなかったら、自分はどうなっていただろうか』という目線で、パートナーが当たり前のようにやってくれていることを振り返ってみてください」

そして、60代から70代の夫婦。仕事もリタイアし、一緒に過ごす時間が一番多い時期かもしれない。

だが、小林さんは「この年代は、離婚する気はないけれど、過去へのいろいろな思いが忘れられずに、夫婦関係が悪くなるケースもある」と指摘した。

「特に女性は、過去の感情や出来事を忘れずに覚えている傾向にあります。そのため、『仕事もリタイアして昔よりは家事を手伝うようになってくれたけど、昔はやってくれなかった』や過去のケンカなどを思い出し、その感情が蘇ることで、今の夫を受け入れられない妻が多くいます」

そのためにできることは、「過去のパートナー」と「今のパートナー」を分けて考えることだという。

「過去の出来事は消すことができません。ですが、夫の今を見てあげましょう。未来に目を向けて、夫婦の楽しみや自分の楽しみのバランスを考えてみると、楽しい老後に向かっていくでしょう」

今、夫婦の関係が悪化していても、実はやり直すことができる。それは、新婚でも長年連れ添った夫婦でも。妻や夫との仲で悩んでいたら、ぜひ試してみてほしい。



小林美智子
夫婦問題カウンセラー。男女の違いや育った環境の違いからくる、夫婦のすれ違いに着目。悩める夫・妻の気持ちに応えるため、カウンセリング活動、講演活動、執筆活動を行う。著書に『帰宅恐怖症』(文春新書)。

イラスト=さいとうひさし

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