「わかったよ」生返事に要注意!妻を怒らせないために夫ができること

カテゴリ:暮らし

  • メール等でのケンカも男女で受け取り方に差がある
  • 何気なく発した「わかったよ」は妻の中で“約束事”になっている
  • 「言われた通りにやっているのに…」なぜ、妻は怒ってしまう?

「なぜ妻はそんなに怒るのか…」

世の中の男性は、妻の怒りに頭を悩ませ、対処の仕方もわからないまま、次第に妻との距離が離れていく…なんてこともあるかもしれない。

どんなに仲の良い夫婦だって、長い時間を一緒に過ごせばケンカの1つや2つくらいあるはずだ。

だが、ケンカばかりの日々が続くと、夫は妻の考えていることがよくわからなくなり、妻と向き合えなくなっていく。

妻とケンカしたとき、夫はどう対処すればいいのか。『妻と正しくケンカする方法』(大和書房)の著者・小林美智子さんに夫婦喧嘩の必要性から、対処法まで教えてもらった。

夫婦問題カウンセラーの小林さんは、男女の違いや育った環境の違いからくる、夫婦のすれ違いに着目し、互いの気持ちを理解し、解決方法を探っていくカウンセラーとして活動している。

「相談者の3~4割は男性です」と話す小林さん。男性からの相談内容は大きく分けて2つあるという。

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「ケンカ続きで疲れてしまい、妻とどう接したらいいか分からない」という男性が1割程度、「妻からの離婚宣告や別居状態になってしまったが修復したい」が9割程度いる。妻とのケンカに限らず、男性はプライベートな話を周囲にあまりしないため、相談に来た時には遅すぎた、ということもあるようだ。

今回の著書の一番の協力者は小林さんの夫だというが、この著書の中には「LINE忘れ」、夕食などに対して「簡単なものでいいから」といった発言や、「家事の分担」とケンカになりがちなシチュエーションと会話パターンを解明して、ケンカになりにくい夫婦の会話パターンを取り上げている。

その場しのぎの「わかったよ」に要注意

そもそもケンカというと、対面をイメージするが、最近ではメールなどのやりとりの中でのケンカも増えているという。

ただ、メールなどの文字でのケンカは男女での受け取り方に差があると小林さんは指摘する。

「LINEやメールでのケンカは、男性はケンカを吹っ掛けられているように感じてしまいます。一方で、女性は一生懸命分かってもらえるように話し合っていると思うため、つい長文でしつこくなる傾向があります。その結果、『LINE恐怖症』のようになってしまう男性も増えています」

著書の中でも、LINEやスマホがきっかけでケンカになってしまうシチュエーションが取り上げられている。

急な飲み会の入った夫は、タイミングを逃してLINEなどで「帰りが遅くなる」という連絡をしなかったことでケンカが勃発、という事例。なぜ、連絡をしなかったのか夫の心境と、妻が怒る原因をひも解いている。

「『LINE忘れ』でケンカになるきっかけは、夫が『わかったよ、次回からはちゃんとするよ』と言っていたのに、同じことを繰り返すことにあります。『わかったよ』と言われた妻は、次回はちゃんとしてくれると期待してしまいます。それなのにまた!と妻が思ってしまうことが問題点です」

もし、過去にも同じことがきっかけでケンカになっていた場合、夫の「次からは気を付ける」や「次はちゃんとするよ」といった言葉は妻にとって“夫婦間の約束”となる。そして、約束をしたのに連絡をしなかった夫に対して、妻は約束を破ったとショックを受け、怒っていることが根本的な原因と言えるという。

「女性の話し方には『やや、否定的な言い方と一方的な言い方』という特徴があります。そのため、トコトン追い詰められているような、責められているような気持ちになり、男性はその場しのぎのような応対になってしまいます。その場を収めたい、早く終わらせたいという気持ちが強くなってしまうんです」

LINEを忘れてしまった、この事例だけでなく、ケンカを収めるための「次から気を付ける」「次はちゃんとする」といった何気ない言葉に、夫自身は責任を持ち、次回からはちゃんと忘れないことが、まずはケンカを防ぐ一つの対処法になる。

食後の洗い物は今?後で?

そうでなくても、なぜか怒られる、そんな人もいるだろう。

あれやって、これやってなどと子供のように妻から言われ、「その通りにやっているのに、なぜ…」と気が滅入っている男性もいるかもしれない。

だか、小林さんは「妻が言うことはやってほしいこと。けれど、“やってほしいこと”に夫と認識の差がある」と話す。

例えば、「食後の洗い物」。妻から洗い物を頼まれた夫だが、食事が終わるとテレビを見始める。

妻は早めに片づけたほうがゆっくりできるからと「テレビを見る前に、洗い物をお願い」と頼むが、夫は「テレビを見てから、自分のペースで洗い物をするよ」と返す。こういった考え方の違いがケンカの始まりとなる。

「妻がやってほしいことと、別のことをやり始める男性は多くいます。妻はやってほしいから依頼しているのです。ですが、夫は言われたことと違う行動をしてしまいます。洗い物に限らず、妻はやらなくていいことを夫がやっているので、認識の差が生じ、互いにフラストレーションが溜まるのです」

夫婦関係が長く続くと、甘えや自分の基準での判断、思い込みが強くなっていくという。

そんな時には、「自分が相手にやってあげたいこと」よりも、「相手がやってほしいこと」を優先することが大切だという。

また、「妻は食後、すぐに洗い物をしている」など、日常を観察することもお互いが気持ちよく過ごせるために必要なことだという。

NGワードはお互いに知っているはず

ここまでは、ケンカが起きないように日常で気を付けられることを聞いてきたが、“ケンカするほど仲が良い”という言葉もある。夫婦の仲を深めていくために、ケンカは必要なのだろうか。

「夫婦間でのケンカはある程度は仕方ないと思います。ですが、いつも同じようなケンカをしてしまうことは問題です。繰り返すことで疲れ切ってしまい、どちらかが夫婦関係を諦めたり、離婚を選択したり、ということもあります」

些細なケンカがヒートアップして相手を傷つけてしまう、なんてことにならないために、NGワードを知りたいという人もいるかもしれない。だが、実は言ってはならないNGワードは、お互いすでに知っていると小林さんは言う。

「夫婦はパートナーのことをよく知っています。そのため、ケンカの中で妻が夫を傷つける言葉を言えば、言われた夫も妻を傷つける言葉で言い返してしまうんです。妻は夫が、夫は妻が傷つく言葉を知っています。お互いに知っている、パートナーが傷つく言葉がNGワードです」

ケンカが起きそうになったり、ケンカが起きるとついつい、逃げの言葉を使いたくなるかもしれないが、時には妻と正面から向き合ってコミュニケーションを取ったり、出来ることから少しずつ取り組むことで、距離が出来てしまった関係も変わっていくかもしれない。



小林美智子

夫婦問題カウンセラー。男女の違いや育った環境の違いからくる、夫婦のすれ違いに着目。悩める夫・妻の気持ちに応えるため、カウンセリング活動、講演活動、執筆活動を行う。著書に『帰宅恐怖症』(文春新書)。

イラスト=さいとうひさし