「空白恐怖症」が大辞泉の新語大賞!「そだねー」はどうだったか担当者に聞いてみた

  • 一般投稿の新語の中から大賞を決定
  • 大賞と次点に選ばれた言葉は大辞泉のアプリなどに掲載される
  • 担当者「『ご飯論法』は被るだろうなと思っていました」

「空白恐怖症」とは?

12月3日に「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表されたが、同じ日のちょっとだけ早い時間に別の新語大賞が発表されていたことをご存じだろうか。

それが、小学館の国語辞典「大辞泉」の編集部が発表した2018年の新語大賞。
こちらは流行語ではなく、辞書に載るような新語を一般投稿の中から選ぶものだ。
そして、今回大賞となった言葉がこちら!



出典:小学館(以下すべて)

大賞「空白恐怖症」
次点「卒婚」「ご飯論法」

「空白恐怖症」
とは、『自分の仕事がないときに、あたかも仕事をしているように見せるためにダミーの予定やフェイクの予定を入れるほど、自分の予定が空白な事を恐れること。』

「卒婚」は、『結婚の卒業。結婚という形式は維持しながらも、夫婦が互いに干渉せず、それぞれの人生をそれぞれに歩んで行く。』こと。

「ご飯論法」は、『言い逃れ答弁の論法で、「朝ごはんを食べましたか?」という質問に「(朝、パンは食べたけど、ごはん=米飯は)食べていない」と答えるようなやり方。』

投稿された新語を大辞泉に収録する

「大辞泉が選ぶ新語大賞 ~あなたの新語も辞書に載せよう。~」は2016年から行われていて、今年で3回目。
毎年5月18日の「こ(5)と(10)ば(8)の日」から、特設サイトとTwitterを通じて現在辞書に載っていないが後世に残すため辞書に載せたい「新しい言葉」を募集。
5~11月の月ごとに発表した「新語」の中から、最も影響力のあった言葉が新語大賞に選ばれる。

今回は去年に引き続いて、明治大学国際日本学部の田中牧郎教授を特別選考委員に招き、「大辞泉」の編集スタッフとともに、一般から寄せられた全2,070の投稿の中から大賞を選考した。
大賞と次点に選ばれた言葉は、他の新語とともに「大辞泉」アプリなどに正式に収録・掲載されることになるという。

田中牧郎教授(中央)

ちなみに、最終選考で惜しくも落選してしまった新語はこちら。

億り人 「投資で1億円以上の資産を築いた人。」
フェアプレーポイント 「あの日本が予選2位で通過できた、嘘のようなシステム。」
まるっと 「1.丸みを帯びたさま。2.まるごと。」
スーパーボランティア 「経験豊富で、リーダーとして現場のとりまとめをこなせるボランティア。」
じたハラ 「時短ハラスメントの略。上司が、仕事が残っているにもかかわらず部下に残業を許可せず帰宅を促す圧力をかけること。」
いみふ 「意味不明の略。」
介護脱毛 「介護が必要になることに備えて、介護者の作業を減らすよう自らの陰毛などを剃っておくこと。」
多浪生 「大学入試への浪人回数が多い受験生。」
(※説明は一般投稿された内容)

公式サイトでは投稿数別のランキングも公開しており、最も投稿が多かった新語はサッカーW杯で大迫勇也選手の活躍を表現した「大迫半端ないって」だったが、こちらも落選している。

同じ日に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」の大賞は、カーリング女子日本代表が使った「そだねー」で別の言葉だったが、トップテンの中には「(大迫)半端ないって」「ご飯論法」がランクインしている。

同じ日の発表ということで意識はしているのか?それから、新語に認定して辞書に掲載したのに普及しなかった言葉はあるのだろうか?
担当者に聞いてみた。

「ご飯論法」は被るだろうなと思っていました。

――大辞泉には、毎月「〇月の新語」として発表している言葉が全部収録される?

いいえ、必ずしも全部ではありません。
月間賞になったら絶対収録される、ということもないです。
逆に、発表されてなくても収録されることがあります。


――大賞に選ばれるメリットは?

大賞を投稿した人の中から抽選で1名様にAmazonのギフト券を差し上げています。
また全応募者から抽選で1名様にiPadをプレゼントしています。


――大辞泉の新語大賞と「ユーキャン新語・流行語大賞」とはどう違う?

ユーキャンさんの流行語大賞は、辞書に特化していません。
新語というより流行語に近いところがあるので、選ぶ言葉の幅が非常に広く話題性もあると思います。

例えば、「そだねー」や「そうだね」は辞書に載っていませんが「そうだ」はあります。
この「ね」は接尾語なので、「そうだね」で一つの語として収録することはないですね。


――「ご飯論法」が被っているが、わざと大賞が被らないよう「忖度」することはない?

「ご飯論法」は被るだろうなと思っていました。
ただ、他の賞で何が選ばれるかは分かりませんし、あえて直しはしません。
でも「空白恐怖症」は被らないだろうなと思っていました。


12/5発表!三省堂の新語とはどう違う?

確かに、2017年の大辞泉の大賞は「インスタ映え」で、ユーキャンの大賞は「インスタ映え」と「忖度」で被ることもあるようだ。
さらに、毎年この時期に新語を発表しているのは「大辞泉」と「ユーキャン」だけではない。
12月5日に、今度は「三省堂 辞書を編む人が選ぶ 今年の新語2018」の選考発表会が開かれる。
こちらは、ベスト10に選ばれた新語に、三省堂が発行する様々な国語辞典の解説文を付けて発表するという。

――大辞泉と三省堂の新語大賞はどう違う?

三省堂さんは、様々な国語辞典の特徴を出して、この辞書ならこういう解説文になるという形にしていて、そこは面白いと思います。
ですが「小学館はどう、三省堂はどう」と明確には言えません。
ただ、うちは紙に印刷した大辞泉の改定はあまりしないんですが、ネットやアプリの辞書は年に3回改訂しています。
その度に新しい言葉を1000語ぐらいずつ入れてますので、幅広い新語を入れていると自負しています。

載せたのに定着していない言葉は?

――投稿が最も多かった「大迫半端ないって」は、個人名が入っているからダメだったと言われているそうだが、「弁慶の泣き所」「弘法にも筆の誤り」はどうなのか?

そうきたか(笑)
「弁慶の泣き所」などは「成語」という、ことわざに近い言葉なんです。
個人名が入っているからダメということはないので、「大迫半端ないって」が、ことわざになったら新語に入れます。
一応「半端ない」は2012年に収録しています。


――新語として辞書に載せたのに定着していない言葉はある?

新語大賞の候補にはなってない言葉ですが「プレミアムフライデー」ですね。
最近できた「シャイニングマンデー(月曜日の午前中を休みにする制度)」という言葉も、いくつか投稿をいただいていますが、プレミアムフライデーの状況を考えると、やはり根付かないのではないかと思っています。

実態が伴わなかった「プレミアムフライデー」は、数年後に死語と言われているような気もするが、様々な新しい言葉が生まれてくる中で、確かに辞書に載せてもいいくらい定着する言葉を見極めるのは難しいかもしれない。果たして今年の大賞「空白恐怖症」はどうだろうか。