入管法通過の裏側で安倍首相は…総理動静から見える野党の本音

カテゴリ:国内

  • 入管法は、11月27日の衆院委員会の採決で大荒れ 本会議は夜にずれ込む
  • 日程が流動的な中、安倍首相はヨルダン首脳との夕食会を予定通り終えて無事、本会議採決に出席
  • まるで「出来レース」のように見える展開 野党の本音は?

“国会”と“外交”そのはざまで安倍首相は・・・

11月27日夜、安倍首相は、ヨルダンのアブドラ国王と首相官邸で会談しました。これ自体は、予定されていた日程であり、よくある首脳外交の一つです。

日・ヨルダン首脳会談(11月27日・官邸)

しかし、安倍首相がヨルダン国王と会っていたまさにその時、国会でも大きな出来事が起きていました。それは、今国会の最重要法案とされる外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が衆議院採決の山場を迎えていたのです。

法案の今国会での成立を目指す与党に対し、野党は審議が不十分であるとして、午前中に山下法相の不信任案決議案を出し、夕方午後5時半ごろにずれ込んだ法務委員会での採決も大荒れに。そのため、続く本会議での採決の時間も不透明になりました。

入管法で大荒れの衆院法務委員会(11月27日)

ここで、私たち総理番の記者が気になったのは、安倍首相が本会議の採決に出席できるかどうかです。なぜならこの法案は安倍首相の肝いりであり、自ら出席して採決に参加するのは当然だと言えます。

ところが、午後6時前から始まったヨルダン国王との首脳会談のあとには、首相公邸での夕食会も予定されていました。しかも、この夕食会は安倍首相夫妻が主催者ですので、欠席するわけにはいきません。

総理番の記者の間でも、このまま安倍首相は本会議での採決を欠席するのではないかといった見方が出始めました。

一方、国会では、休憩を挟み法案を採決する衆議院本会議が再開されたのは、午後8時半すぎとなりました。そして、時を同じくして、安倍首相は首相公邸での夕食会を終え、無事に本会議での採決に参加することができました。

入管法の採決で投票する安倍首相(11月27日・衆院本会議)

出来レース!?野党の抵抗も本音は・・・

入管法が衆院通過(11月27日・衆院本会議)

こうして安倍首相も賛成票を投じ、入管法は衆院を通過しました。しかし、安倍首相の夕食会終了に合わせたかのようなあまりにもちょうどいいタイミングの本会議。まるで、「出来レース」にも見える安倍首相のスケジュールに合わせたかのような、この進行の背景には何があるのでしょうか。

入管法の衆院通過を喜ぶ安倍首相(11月27日)

これは、与党側が安倍首相のスケジュールに合わせて本会議をセットしようとしたのに対し、野党側が手段を選ばず法案を潰そうとまではせず、与党の立てた日程に一定程度従ったという事情が考えられます。政府関係者からも「法案自体は(野党側からも)支持されている。今国会で成立させるかどうかの話だけで、同意せざるを得ないでしょ」といった声も聞かれました。

もともと、事実上の移民政策ではと指摘されている今回の法案は、どちらかと言えば保守層からの反発が強く、野党よりも安倍首相率いる自民党側から反対の声が上がるような案件です。

実際に野党側の批判も、「議論が拙速だ」「内容があいまいだ」という点がほとんどで、外国人の受け入れを拡大する法案の根幹への批判はそれほどありませんでした。2015年の安保法制の際に、大荒れの「深夜国会」となった時に比べれば、やや淡白な印象を受けます。このことからも、野党がこの法案に100%反対ではないという姿勢が見受けられるような気がします。

突然の外遊短縮…参議院での最終攻防へ

入管法の衆院通過から2日後の29日、安倍首相はG20首脳会議に参加するため、アルゼンチンへと旅立ちました。この外遊はもともと、イギリスとオランダへの訪問も予定されていたのですが、直前に訪問をとりやめ、外遊期間を短縮することになりました。

アルゼンチンへと出発する安倍首相(11月29日)

これも、入管法の成立を確実にしたいという、安倍首相の意向が背景にあるとみられます。重要な法案審議の最中に長期間の外遊に行けば野党側から国会軽視だとの批判を受けかねないからです。こうして当初の予定より早い12月4日に帰国した安倍首相。入管法をめぐる参議院での大詰めの攻防に臨みます。

(フジテレビ政治部 総理番記者 梅田雄一郎)

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