観光地PRなのに、たどり着けない…鳴門市が放つ「うずしお動画」に引き込まれる

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  • 徳島・鳴門市のPR動画の“渦潮推し”がスゴイ
  • あの手この手で「渦潮」 に挑んでは撃沈する3部作
  • 「今は2~3分で渦越えできます!」

渦潮半端ないって!

様々な自治体や地域から、工夫を凝らしたPR動画が次々登場し、話題になっている今日この頃。
11月18日に行われた福岡市長選では、若者の投票率アップを狙い「投票のためには筋肉が必要」と、ひたすら筋力トレーニング方法を紹介する“ナナメ上”の動画が登場し、SNSの話題をさらったのは記憶に新しいだろう。

そして6日、またもインパクト大の動画が飛び込んできた。
それが、徳島県・鳴門市が制作した『Beyond Naruto』だ。

鳴門市といえば、何と言ってもダイナミックな「渦潮」が有名。
鳴門海峡にかかる大鳴門橋は渦潮が目の前で楽しめる大人気の観光スポットだが、その鳴門海峡が動画の舞台となっている。
早速、ストーリーを追ってみたい。

「そのむかし、大渦を越えて鳴門を目指した男がいた。」

物語は、淡路島から鳴門市を目指して海を渡ろうとする男、越太郎(こえたろう)の挑戦から始まる。
果たして、巨大な渦潮をどう渡るのか?村人たちと身重の妻・鳴子(なるこ)の祈りを一身に受け、越太郎が握ったのは一本の長~い竹の棒……そして!

渦潮の中心に突き立てた竹の棒がしなり、棒高跳びの要領でみるみる陸地から遠ざかる!
これはいけるぞ!と手に汗握った次の瞬間…


ダメでした!

竹の棒は瞬く間に渦潮に飲み込まれ、海に放り出される越太郎……挑戦はあえなく失敗に終わってしまう。

鳴門の渦潮は最大深部90m」という、そりゃ棒高跳びでは無理だ…と納得の豆知識が突きつけられ、「大渦を越えて いざ阿波の国、鳴門へ」というキャッチコピーと共に動画は幕を閉じる。
村人たちのがっかりっぷりを隠さない“虚無顔”に笑ってしまうが、実にビル30階に相当する「深さ90m」という数字のスケールにも驚いてしまう。

そしてこの顔である

この『Beyond Naruto』は3部作になっており、1作目は「 」、2作目は「」、3作目は「」がテーマになっている。
2作目の「速」ではパチンコのように高速で弾き出されたタライに乗って挑戦するものの、最大時速20kmの渦潮の流れに負けてあえなく撃沈。

3作目の「幅」ではとうとう男たちが総出で“人間橋”を作るものの、最大直径20mにもなる渦潮の大きさにあっさり飲み込まれて総崩れに…
結局、一度も鳴門市にはたどり着けずに3部作は終わってしまうのだ。

「大昔、人々が大渦に立ち向かったら、どのような方法で渦越えをするのか」という“フェイクヒストリー”を映像化した『Beyond Naruto』。

「渦潮のインパクトを最大限に表現し、鳴門の渦潮の魅力を全国へ発信することが目的」とのことだが、渦潮の最強っぷりを描きすぎて、鳴門市は1カットも登場していないという、ナナメ上のインパクトに飲み込まれてしまう。
ひたすら渦潮を押し出したこの動画を作った、鳴門市役所に色々とお話を聞いてみた。

「今は2~3分で渡れます」

――鳴門市が全く登場していませんが、なぜこのようなストーリーに?

大昔は海峡を越えるということはすごく難しかったことだったと考えられますが、現在では橋や高速道路が整備され早く簡単に渡ることができるようになっています。「四国(鳴門)は遠い」というイメージを払拭しましょうという提案をいただき、採用させていただきました。


――“渦潮愛”あふれる動画でしたが、やはり鳴門市イチオシの観光スポットは…

今回のCMで取り上げています「渦潮」です。鳴門海峡の特殊な地形が生んだ、まさに奇跡ともいえる自然現象である渦潮は、最大直径20メートルにも達することがあり、大きさは世界一といわれています。観潮船で渦潮に接近することができますので、ぜひその迫力を間近で体感していただきたいです。


――その「世界一の大きさ」など、渦潮情報が満載ですが、これは県民なら一般常識?

県民でも具体的な数字を知っている方は少ないと思います。この動画を通して県内の方々も含め広く渦潮の魅力をPRしていきたいです。

驚きのスケール

――動画を見た市役所の方の反響は?

「面白い」「企画がすばらしい」「斬新なアイデア」といった声がありました。

この3部作は公式ページで公開されているが、実は“4作目”が存在する。
それが、関西テレビ放送・四国放送にて12月中旬より放映予定の「」篇だ。

「再」では、越太郎たちのチャレンジを思い返した妻・鳴子が村人を従え、「もう任せていられない!」とばかりに拳を突き上げて終わっているが…

もう任せてられん!とばかりの咆哮は、続編がある?

――これは、続編があると期待していい?

CM・動画の反響を見ながら、今後検討していきたいと考えております。

動画では3度失敗した淡路島~鳴門間の「渦潮越え」だが、現在では大鳴門橋の開通により「車なら2~3分で渡れます」とのことで、鳴門市役所は「渦越えがとても簡単にできる現在では、四国鳴門は皆さんにとって身近な観光地です。海の幸、山の幸あふれる鳴門へ来るために、皆さんもぜひ渦越えをしてみてください」と呼びかけている。

アツい挑戦をくり返す動画を見たあとの「現在は3分足らずであっさり渡れてしまう」という情報に、ありがたくも拍子抜けしてしまいつつ……ぜひ一度、「渦越え」のロマンを感じに訪れてみてはいかがだろうか。