なぜ...高齢者が相次ぎ犠牲に 岡山・真備町 避難できず

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広島・安芸郡坂町。この場所は、まだ豪雨の悲惨な状況が手つかずのまま残されている場所。

川の対岸を見てみると、土砂に横転した車が埋まっている、そういった場所。

この坂町という場所は、これまでに5人が亡くなっている。

5人すべてが、70歳以上の高齢者だという。

この坂町と同様、岡山・倉敷市真備町でも、亡くなった方の8割近くが高齢者だった。

なぜ高齢者の方は、ここまで被害を受けてしまったのか。

亡くなった横田海翔君(9)の親戚は「『ダンスが好き』って言ってましたね。『踊るのが好き』って」、「言うこと聞かないような、元気な子でした」、「頼むから生きていてくれと思ったんですけどね...」などと話した。

ダンサーを夢見ていた、元気でやんちゃな少年。

愛媛・宇和島市の小学4年生・横田海翔君。

豪雨によって命を奪われた。

近所の人は、「ドーンという音がすると同時に、足元に土砂が来たから、これは大変だと思って、すぐに裏口から出た」と話した。

宇和島市で、浸水や土砂崩れが多発していた7日の土曜日早朝、海翔君の自宅裏山の斜面も崩れ、自宅を直撃。

海翔君と母の真美さん(41)、そして祖母の数枝さん(67)の一家3人が犠牲となった。

小学1年の時からスクールに通い、ダンスに打ち込んできた海翔君。

7月22日のダンスカーニバルを楽しみにしていたという。

ダンススクールの先生は「本当に練習熱心。昨年、子どもの部門で優勝して、『ことしも優勝して絶対2連覇するんだ』って」、「小規模になってもいいので、こういう時だからこそ、ダンスで元気になれると思うので、みんなの思いで、(ダンスコンテストを)開催できたらいいなと思っています」などと話していた。

これまでに170人以上が死亡し、依然、多くの人が安否不明となっている今回の大豪雨。

東広島市では、河内町中河内のため池が決壊するおそれがあるとして、付近に避難指示を出し、直ちに避難するよう呼びかけている。

安倍首相は11日、岡山県を訪れ、被災状況などを視察。

大きな被害が出た倉敷市真備町の浸水現場で、黙とうをささげた。

ボランティアの募集も始まり、復旧作業が本格化した真備町。

町では、高梁川にそそぐ小田川の堤防が複数箇所で決壊し、広い範囲が水没。

これまでに49人の死亡が確認されている。

取り残された高齢者が犠牲となった真備町の辻田地区。

命を落とした高齢男性の近所の人は「水かさが一気に増してきて、家の中に閉じ込められてしまって」、「ご主人が動きづらいというのもあって、ギリギリまで奥さんの中で(ちゅうちょが)あったそうです」などと話した。

体調が悪く、「避難先で迷惑をかける」と、避難をためらっているうちに水かさが増し、逃げ遅れてしまったという。

亡くなった高齢者の近所に住む人は、「朝出る時に会ったんだけど、主人が動けないということで、逃げないということで」と語った。

真備町での犠牲者のうち、年齢がわかっている人の8割近くが、70歳以上の高齢者。

被災者の男性(84)は、「(なぜ避難をちゅうちょする?)ちょっと病気上がりだったから、動くこと自体がおっくうだから」と話し、78歳の男性は、「(なぜ避難をちゅうちょする?)つえだし、迷惑かかるから、なるべくなら、(避難所に)行きたくなかった」などと話していた。

なぜ、避難するのが遅れたのか。

真備町に避難指示が出された、およそ10時間後の7日午前10時すぎ、丸畑裕介さん(35)が撮影した町の映像。

すでに浸水が始まっていたこの時、決壊地点からおよそ3km離れた自宅で、避難をためらう父親の孝治さん(59)を説得するため、自宅に向かっていた。

部屋がぬれるから、靴下を替えるよう促す父親。

息子は、一刻も早く連れ出そうと説得したが、耳を貸そうとしない。

いったん自宅を離れた息子が30分後、再び自宅に戻ると、先ほどまで足首ほどの高さだった水位が、床上にまで達していた。

ようやく説得に応じた父親と外に出ると、水は、胸の高さあたりにまで達していた。

まさに危機一髪。

親子は、このあと無事、避難所にたどり着いた。

11日、丸畑さん親子に話を聞いた。

父親の孝治さんは、「やっぱり年を取っている人は、わが家が一番良いと思って、なかなか出ないと思います。わたしが一番最後だったかもわかりません。やっぱり大人でした。皆さんは」と話していた。