「電車で子どもにシールをあげたら泣き止んだ」は本当に効果ある?専門家に聞いてみた

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  • ツイート「子どもにシールをあげたら泣き止んだ」が話題
  • 小児科医「生後10か月あたりから有効な方法」
  • 子育ての専門家「泣いている子どもが立ち直るきっかけになった」

あるツイッターユーザーの「電車の中で泣きわめいている子どもにシールをあげたら泣き止んだ」というツイートが1万以上リツイートされ、話題になっている。

「電車の中で泣きわめいてる子どもにシールをあげると泣き止むこと」を誰かから聞き、シールを持ち歩いていたという投稿者が、ある日、地下鉄に乗ったとき、床で泣きわめいてる子どもに遭遇。

その子どもに、猫が描かれているシールを1枚あげたところ、嘘のように泣き止んだのだという。

このツイートに対し、「すばらしいアイディア」「これからはシールを持ち歩く」など、称賛する声が多数あがっている。

泣き止んだ子どもの年齢や性別などは不明なのだが、なぜシールをあげたら泣き止んだのか?

小児科医と子育ての専門家に、それぞれ見解を聞いた。

“目新しい物に興味を持つ性質”の応用

まず、話を聞いたのは、『小児科医が教える赤ちゃんが泣かずにぐっすり眠ってくれる方法』(PHP研究所)などの著書がある、和歌山県の生馬医院の院長で小児科医の小山博史さん。


――泣いている子どもにシールをあげたら、泣き止む。これはこの子に限らず、子ども全体に通用する?

生後10か月あたりから有効な方法です。年長児(5~6歳)くらいまでの子ども全体に通用します。

――「シールをあげる」と、子どもが泣き止むのはなぜ?

赤ちゃんには目新しい物に興味を持つ性質(新奇選好)があります。それの応用だと思います。

10か月あたりから、キラキラしたものや、カラフルなシールに興味を持ち、その後キャラクターシールに興味をもってきます。年長さんくらいまでは有効だと思います。

この方法で泣き止む条件は、泣いた直接の原因がほぼ薄れている必要があります。
また、極度の不安症の子どもには効果がありません。

予防接種の後にシールをあげることが良くありますが、生ワクチンのように注射液にあまり刺激のない物の場合は、注射で泣いても、シールをあげるとすぐ泣き止みますが、不活化ワクチンの一部で注射液の刺激が強いものは、注射後も痛みが残るため、シールをあげてもなかなか泣き止みません。

子どもの情緒を安定させるためには…

――幼い子どもを持つ親御さんたちに伝えたいことは?

子どもの情緒を安定させるためには、まず、親の情緒が安定している必要があります。

少子化、核家族化により、育児の具体的な方法を身近で教えてもらえず、赤ちゃんの要求に的確に答えられないと、赤ちゃんのストレスがたまります。

育児で疲れたり、不満を感じたら、声を上げてください。悲鳴を上げてください。我慢しないでください。それを手助けする義務は日本社会にあるはずです。

ひとりで悩まないで、堂々と訴えてください。


赤ちゃんが目新しい物に興味を持つ性質から、キラキラしていたり、カラフルだったりするシールには泣き止ませる一定の効果があるということだった。

つづいて話を聞いたのは、NPO法人「子育て学協会」の山本直美会長。

子育ての専門家「立ち直る(泣き止む)きっかけになった」

――泣いている子どもにシールをあげたら、泣き止む。これはなぜ?

乳幼児(0~2歳)は基本、非言語コミュニケーション。
言葉を使ったコミュニケーションが上手くいかないため、感情を伝えられず、泣いてしまうことがあります。

泣く原因としては、「お腹が空いた」「おむつが濡れている」「部屋が暑い」など、“不快”が原因になっていることが多いです。

ツイートのケースでは、電車の中で何らかの理由で不快となり、それを泣くという手段でアピールしていた。
そういう状況の中、誰かがシールをくれ、これが立ち直る(泣き止む)きっかけになったのだと思います。

――子どもが泣く原因は年齢によって異なるの?

「0~1歳」、「1~2歳」、「2歳以上」に分けることができます。

「0~1歳」が泣く原因は、先ほども話しましたが、“不快”。

「1~2歳」は、“意欲が損なわれたとき”。
この年齢のお子さんは、歩けるようになり、意欲が満々なので、その意欲が損なわれたときに泣くことが多いです。

「2歳以上」は、自我が芽生えるので、自分がやりたいことを妨げられると泣いてしまいます。


――泣き止ませるためにはどうすればいい?

私は「泣き止ませる」という言葉はあまり好きではないので、「(子どもが)立ち直る」という言葉を使っているのですが、年齢にかかわらず、泣いている原因を考え、「立ち直る」きっかけを提案してあげることが大事です。

たとえば、「0~1歳」のお子さんで、お腹が空いているのであれば、何か食べ物をあげる、長い時間、電車に乗っていて飽きてしまっているのであれば、シールなど何か興味のあるものをあげる。

そうすることで、お子さんは立ち直ることができるかと思います。

“泣き止ませなくてもよい”と思うことが大事

――電車の中で子どもが泣いてしまい、何をしても泣き止まない。こういうときはどうすればいい?

子どもは泣くのが仕事なので、泣き止ませなくてもよいと思うことが大事です。
周りの目が気になるでしょうが、焦ることはないんです。

もし時間があるのであれば、一旦、電車を降りてあげる。これが立ち直りのきっかけになります。

電車に乗っているとき、子どもに泣かれると焦るものだが、まずは焦らないことが大事。
そして、居合わせた人も、お菓子だといろいろと気を遣うところもあるが、シールならあげやすいし、なるべく寛容な気持ちで接することを心掛けたいものだ。


■山本直美(「NPO法人子育て学協会」会長)
日本女子大学大学院修士課程修了。幼稚園教諭を経て、1995年株式会社アイ・エス・シーを設立し、保護者と子どものための教室『リトルパルズ』を開設。現在はウィズブック保育園・リトルパルズアカデミーを展開している。2008年にはNPO法人子育て学協会を設立し、保育士・親子向けに様々な講座を実施している。

NPO法人子育て学協会
・幼稚園保育園向け、親子向けの独自教育プログラム『WithBookプログラム』の販売
・子育ての専門家チャイルド・ファミリーコンサルタント(CFC)養成講座
・子育てのヒントが分かり楽しくなる!「子育て学講座」