まるでドラえもんの世界? 片山大臣が「今でしょ」と訴える“スーパーシティ”構想とは

カテゴリ:国内

  • 片山大臣肝いり政策への熱意
  • AIとビッグデータで「自動」「遠隔」のオンパレード
  • 課題と懸念も…問われる手腕

政治とカネ問題のウラで動く片山大臣肝いり構想

政治とカネの問題での野党からの追及ばかりがクローズアップされがちな、片山さつき地方創生担当相。その片山氏が「地方創生担当大臣」「規制改革担当大臣」として進めている肝煎りの計画がある。それが「スーパーシティ構想」だ。「スーパーシティ」とは少しわくわく感のある言葉だが、一体どんなプロジェクトなのか?

スーパーシティ構想ってなに?

「スーパーシティ構想」とは、AI(人工知能)やビッグデータなどを活用した最先端都市を、政府の国家戦略特区制度を利用して、地域限定で実現させるものだ。当初はAI特区などと呼ばれていたが、片山大臣の肝いりプロジェクトとして「スーパーシティ」と名付けられた。そして大臣就任後すぐに有識者懇談会が立ち上げられ、その座長として竹中平蔵元総務相が参加している。

「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会(11月26日)

片山大臣は有識者懇談会の初会合で、この取り組みについて「国家戦略特区制度という岩盤規制改革の突破口にとっても、全く新たなチャレンジとなる」と述べている。
また、内閣府関係者は「加計学園問題でイメージダウンした国家戦略特区制度の再興をしたい」と意欲を語っていた。

そして中間とりまとめを迎えた11月26日。片山氏は、あの有名な言葉を引用してこのプロジェクトの意義を改めて強調した。

「時間の猶予はございません。『いつやるの? だったら今でしょ』すぐの方がいいでしょというプロジェクトだと思っております」

片山地方創生相(11月26日)

スーパーシティ…実現するとどんな町ができるのか

では、スーパーシティは具体的には、どんな街になるのか。

有識者懇談会の資料(首相官邸ホームページより)

まずはキャッシュレス決済。エリア内ではランチから買い物まですべてキャッシュレスで決済され、現金いらずとなる。お得だけど様々な種類が乱立して面倒な各種ポイントも“顔認証”で一括処理される。これにより家計簿管理も楽々になるという。

続いては、自動走行・自動配送だ。いつでもどこでも自動走行車両が街中を案内してくれ、必要なモノがあれば必要な時に直ちに届けてくれる。ドローンによる配達ももちろん可能に。これにより留守番も宅配ボックスも不要になるかもしれない。

そして自動ゴミ収集。自動走行の収集車が街を走りながらセンサーで満杯のゴミ集積箱を感知し、ゴミを回収してくれる。これで曜日に関係なく好きな時にゴミ出しができるかも?

有識者懇談会の資料(首相官邸ホームページより)

そのほかにも、AIを活用し自宅にいながら医師の診療や見守りサービスを受けられる遠隔診療・遠隔介護。一人一人に即した教育コンテンツを子供から大人までいつでもどこでも誰にでもネット配信する遠隔教育。さらに行政手続きを個人端末から行えるようにするなど、10の分野が想定されている。

有識者懇談会の資料(首相官邸ホームページより)

しかも、そのうち少なくとも5つ以上の分野で「実証事業レベルではなく、2030年ごろに実現される未来像として域内限定で完全実施する」という方針を盛り込んでいるのだ。

有識者会議後の記者会見(11月26日)

こうした内容を盛り込んだ中間報告は、11月26日午後に安倍首相が出席して開催された未来投資会議などの合同会議で提案され、安倍首相も「よく短時間でまとめたね」と評価したという。

今後の課題・スケジュールは?

片山大臣は26日の会見で、「エリア住民の参加が鍵だ」と指摘し、スーパーシティの実現には、一定以上の住民の合意が必要だとの考えを示している。

具体的には市街地の再開発には所有者及び借地権者のそれぞれ3分の2以上の同意が必要となり、また法改正の必要性なども指摘されるなどハードルは決して低くない。

記者会見する片山地方創生相(11月26日)

また、便利すぎる社会と引き換えに、AIやビッグデータにより私たちの個人情報が今より一層管理される可能性があることに抵抗を感じる声も出ている。実際に未来投資会議に出席したある議員はこう話している。

「それくらい壮大なものでないと未来投資会議で採用されない、出てきたもののうち1つでも実現したらすごいよねってものが多いんだよね」

今後は2019年1月の懇談会で、最終報告の取りまとめが行われる運びで、政府はその後、2019年夏以降に全国の自治体からスーパーシティを公募し、選定に着手する方針だ。

 果たして実際に手を挙げる自治体は現れるのか。そして今からたった12年後の2030年にこんなドラえもんの世界に近づくような、便利な街が完成できるのか。片山大臣が肝いり政策とうたうに恥じない推進エンジンとなれるか、その手腕が問われる。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 杉山和希)

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