30代以下専業主婦の7割が「罪悪感ある」 “女性活躍”で見失っているモノとは…

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  • 「女性活躍推進」が言われる中、専業主婦・主夫が“罪悪感”
  • 子どもがいない専業主婦は、子どもがいる場合に比べてより強く“罪悪感”を覚える
  • 「働かないという選択肢に目を向けてこなかった」

「すべての女性が輝く社会づくり」を目指し、「女性活躍」「女性の社会進出」といった言葉が盛んに取り上げられる日本。
厚生労働省では全国の企業における女性の活躍状況をデータベース化し公開するなど、様々な取り組みがなされている。

そんな中、株式会社ビースタイルが運営する、主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」が「専業主婦の罪悪感」に関する調査結果を11月2日に公開した。 

調査結果によると、専業主婦・主夫経験者の56.6%が「専業主婦であることに後ろめたさ・罪悪感を覚えたことがある」と回答したことがわかった。(しゅふJOB総合研究所調べ 2018年5月23日~6月4日、専業主婦・主夫経験者815人対象のインターネットリサーチ)

さらに、年齢別でみると、30代以下で「罪悪感がある・少しある」と答えたのは70.1%、40代では60.7%、50代では45.7%と、若い世代の専業主婦ほど罪悪感を強く抱いていることがわかった。

また、子どもがいる専業主婦で「罪悪感がある・少しある」と答えたのは54.2%、子どもがいない人では69.6%と、子どもがいない家庭の専業主婦は、罪悪感をより強く抱いているということが浮かび上がった。

子育ては仕事? 「自分は非生産的」と感じる人も…

では、実際にアンケートを受けた人のコメントを見てみる。

【子どもがいる・罪悪感があると答えた人のコメント】
・子育てや家事、地域の活動など、それなりに忙しくしていましたが、収入がないことは後ろめたい気持ちになる原因だと思う(30代)
・子供が幼稚園から小学校に上がった時に自分の想像よりも共働きの方が多く、「夢の専業主婦だね」と言われることもありました。また、毎日何をしているのか?等詮索されることも多かったです。あとで聞いた話ですが、働くお母さんで集まった時に「健康なのに働かないなんて」と言われていたようです(40代)
・何かを購入する時は、必ず夫に聞かなければ悪いように思う。それが、子供のことであっても(50代)

【子どもがいる・罪悪感がないと答えた人のコメント】
・子育て中の専業主婦は、主人の希望でもあった(40代)
・自分の子供を自分で育てるのは理想的な事なので悪いことと思った事がない(40代)
・周りにも子育てに専念している人がほとんどだったから(50代)

「子どもがいる・罪悪感がある」という人からは、子育てに追われる一方で、収入を夫に頼っていることで負い目を感じたり、子どもがいることで“ママ友”との交流がある中、共働きの人の多さを感じる機会があることなどから、周囲と比較して「非生産的な毎日を送っていると思う」といったコメントが多かった。

一方、「罪悪感がない」と答えた人は、「子どもを育てるという仕事を担っている」と捉えているコメントが多く、また、子育ての期間を楽しむことができたため、むしろ「仕事のために子どもと一緒にいられる期間がない人はかわいそう(50代)」という意見も挙がっていた。
さらに、50代からは「周りも専業主婦がほとんど」という時代の変化を感じさせるコメントもあった。

そして、より罪悪感を強く抱いている子どもがいない家庭の場合、「罪悪感がある」と答えた人は、「子育てに時間を割いていないため、働いていないことが申し訳ない」という意見が多く、また、子育てしつつ働いている人と比較してしまう、というコメントもあった。

一方、「罪悪感がない」と答えた人からは「家事も仕事」という意見や、正反対の立場である「子育てしながら働いている友達から羨ましいと言われた」という経験談も挙がっていた。

「女性活躍=仕事」?

そもそも、「すべての女性が輝く社会」とは、どのようなものなのだろうか。

「すべての女性が輝く社会づくり」の要となる法律である「女性活躍推進法」の内容を見てみると、

自らの意思によって職業生活を営み、又は営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要。このため、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図る」(内閣府男女共同参画局「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」より)

とある。

女性活躍推進法はあくまで「仕事をすることを自ら選ぶ人」を支援する、というもの。
こうしたことから「すべての女性が輝く」ことを目標とする社会のイメージが、「女性活躍=仕事」「女性が輝く=仕事」となり、専業主婦が罪悪感を感じてしまっているのではないだろうか。

調査を行ったしゅふJOB総研の川上敬太郎所長に、アンケート結果についてお話を伺った。

「働かないことを選んでいる人に目を向けなかった面がある」

――「専業主婦の罪悪感」はこれからどう変化していく?

このままでは罪悪感がより強くなっていく可能性があると思います。専業主婦はなくなっていく方向だと思いますが、ゼロに近づくほど少数派となり、罪悪感をより強く感じるようになってしまう可能性があります。

家事=仕事という捉え方は今より広がる可能性はありますが、その点は人によって捉え方が異なるかもしれません。罪悪感がなくなるか否かは、各ご家庭で家庭収入と家仕事に対する役割について話し合い、夫婦間で納得した状態を作ることができるかどうかにかかっているのではないかと考えます。 

働きたいと考える主婦層には、仕事に就いてどんどん活躍して欲しいと思いますが、それを社会全体で推奨していく中で、働きたくても働くことができなかったり、何らかの事情で「働かないことを選んでいる」人たちが肩身の狭い思いを強くしてしまっていることに目を向けてこなかった面があるのではないでしょうか。 

家事など家周りの仕事は、社会で生きる上で必須です。
家庭を一つの単位として考えた場合、仕事をして収入を得ることと、家周りの仕事をすることをどう分業するかは、そのご家庭ごとに違って良いはずです。そこをしっかりと各ご家庭ごとに話し合い、夫婦が互いに納得することが大切です。それがなされれば罪悪感はなくなっていくと思いますし、それがなされなければ、共働き傾向がより強まっていく中で、専業主婦の罪悪感もまた強まっていくことになってしまうのではないかと考えます。


――では、「女性が活躍できる社会」とはどのようなものを目指すべき?

目指すという意味では、「女性が」という冠を付けること自体に意味がなくなる状態にしなければならないと思います。そのために必要なことは2つあると考えます。

 1つは、仕事するための勤務条件を柔軟にすることです。
今の日本の労働社会は、拘束時間ありきで就業時間に対して給与を支払います。その考え方だと、長く働けることが価値となりがちです。そうではなく、成果ありきで給与が支払われ、仕事時間を自分でコントロールできる社会になれば、短い時間しか働くことができない人にもチャンスが広がっていきます。

いま採用難の背景を受けて、時短人材の活用が広がっていますが、その根底には短時間でも成果を出してくれれば戦力化できるという考え方があります。決して完全成果主義で100か0かという給与体系にした方が良いという意味ではなく、いつまでにどんな成果を出して欲しいのかを明確にすることで、働く側が柔軟に仕事時間をコントロールできるようにするということです。
また、時間だけではなく働く場所などももっと柔軟化していく必要があります。

 2つ目は、女性に対する偏見をなくすことです。
「女性だから家事をしなければならない」というのも偏見の一つですが、仕事の向き不向きなどにも偏見が潜んでいる可能性があります。
仮に重いものを運ぶような仕事があったとき、これは男性だろうと決めつけてしまいがちです。しかし、重量挙げの三宅宏実選手より重いものを持ち上げられる男性などほとんどいません。性別ではなく、その人の能力や意欲などに目を向けるようにする必要があると考えます。

「専業主婦もキャリアのひとつ」

「家事・子育て=仕事」という捉え方は、広がるかもしれないが人によって異なるのも否めないということだった。
では、罪悪感を感じている専業主婦が、いざ「働きたい」と思ったときに働ける環境づくりはどうしたらいいのだろうか。

キャリアと育児の両立支援プログラムなどをはじめ、女性活躍推進事業を展開している株式会社wiwiwの執行役員、三輪英子氏は「専業主婦もキャリアのひとつ」と語る。

――女性が「働く」ことへの意識を変えるために必要なことは?

働くための具体的なイメージがつかめず、自分も働けるという自信が持てない人が多いため、働いている人の話を聞いたり、機会を見つけて少し働いてみると、出来ることがイメージできて、働くことの距離が縮まります。

専業主婦もキャリアのひとつで、実は仕事に活かせるスキルもあるが、なかなかそれに気づけません。
仕事に必要なスキルの定義も、単なる資格ではなく、傾聴や調整能力など活かせるものもたくさんあるので、キャリアカウンセリングを受けるなど、客観的な分析も役立ちます。

人生100年時代、育児が終わってもその先の人生は長いので、働くことに関心を持ち、情報収集することは大切です。


――出産・育児などのライフイベントでキャリアを諦める女性は少なくないと思いますが、その両立のため、企業ができることは?

(1)両立支援の制度の整備。 
育児介護法や次世代育成支援対策推進法の制定に基づき、企業における休業制度や時短制度を整備している。

(2)制度の運用。
制度をつくるだけでなく、社内に周知し、うまく運用できるように配慮する。
周知や活用のためのハンドブックの作成、産休前、復帰前、復帰後の上司や人事との面談や両立支援セミナーなどが行われています。

(3)職場環境の整備
継続して働きやすい、活躍し働きがいを感じる環境をつくること。
女性だけでなく全ての社員を対象にした働き方改革やダイバーシティ推進もおこなわれています。
女性の活躍推進のためには、女性社員のキャリア、能力開発研修、管理職のダイバーシティマネジメント研修やコミュニケーション研修も実施されています。

先進企業での男性の育休取得の拡大や、男性の仕事と介護の両立、あるいは病気と仕事との両立など、ライフイベントはもはや女性だけの課題ではありません。


――「女性が活躍できる社会・働きやすい環境」とは?

女性が働き続けるためには、女性自身のスキルやキャリア意識の向上も必要ですが、まだまだ性別役割分業意識が強く、女性は家事育児、男性は仕事という認識は男女ともに根強いものがあります。

女性の家庭でのワンオペ家事育児もなかなか改善できず、社会全体というよりも、一家庭、一家庭で、コミュニケーションをとり、みんなが社会で活躍できる体制を築くことが重要です。

「女性活躍」というのではなく、「性別にこだわらず、誰もが輝ける社会」が理想的なものであることは確かだろう。
しかし、時代と共に共働きが増えている中で、「仕事をしないこと」を選んだ専業主婦が特別視されやすく、社会への不参加・非協力の罪悪感を持ってしまっていることも見逃せない。
真に「すべての女性が輝く社会」とは何か、今一度考える時が来ている。

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