どうなる“ふるさと納税”「困惑」地方が見出した活路は?【長野発】

カテゴリ:国内

  • 返礼品過熱化防止へ…“モンベル”など中止で駆け込み寄付発生
  • 部品製造したのにダメ!「地場産品」定義に疑問も…
  • ユニークな返礼品も…“走る村”アピールへ

今年で“モンベル”“コールマン”中止…駆け込み寄付も

今年も多くの人たちが利用する『ふるさと納税』。
しかし国は返礼品競争の過熱化を防ごうと、今年9月、「返礼の割合を寄付額の3割以下」「地場産品以外は認めない」「これに反する自治体は制度から外す」という方針を示した。
あれから3ヵ月…。
一部の自治体では、駆け込み需要への対応や返礼品のあり方そのものの再検討に追われ、影響が続く。

人口およそ2900人余りの長野県小谷村。今回の総務省通知によって県内でも最も大きな影響を受けそうだ。
村は2016年度からアウトドア用品メーカー、「モンベル」と「コールマン」のポイント引き換え券や、アウトドア用品などを返礼品にしてきた。それぞれと山岳観光振興で協力してきた「縁」を生かした返礼品で、昨年度は県内トップの約24億円の寄付を集めた。

しかし今回の見直しで、9月に「今年いっぱいで中止する」と発表したところ、「駆け込み寄付」で、11月12日時点で、すでに約16億円の寄付を集めたという。

小谷村企画財政係・太田勝係長:
これをきっかけに小谷村を知っていただいた人も増えましたし、本音は続けたい。だいぶ多く寄付いただいていたのが、ほぼなくなるので、そういう面では厳しい。

来年からは、宿泊補助券や工芸品、日本酒などを返礼品に揃える方針だが、寄付額の大幅な減少は避けられそうにない。

部品製造したのに…「地場産品」定義に疑問も

また長野県塩尻市では、市内の工場で部品が製造されている「エプソン」のプリンターとプロジェクターを、「地場産品」と位置づけて扱ってきた。

しかし最終的な組み立てが「海外」であることから「地場産ではない」と総務省から判断されたという。
塩尻市の小口市長は、「主力の返礼品だったので残念。定義は、重箱の隅をつついている感じで、制度設計も極めて未熟」とコメントし、制度のあり方に疑問を投げかけている。

総務省は、「地場産」について、「地域内で生産された物やサービス」とし、「姉妹都市の特産品」などは「認めない」と定義している。

ユニークな返礼品も…“走る村”アピールへ

一方、愛知県との県境にある長野県売木村では、10月からユニークな返礼品を始めた。スポーツ用品メーカー「ヨネックス」のランニングシューズだ。
このシューズにサインをするのは、村職員の重見高好さん。100キロを超えるウルトラマラソンの国際大会で優勝経験がある世界レベルのランナーでもある。

世界レベルのランナーであり村職員の重見高好さんがサイン

なぜこれを返礼品に加えたのか…。
村は、重見さんを中心に“走る村”をアピールして、スポーツ合宿の誘致などを進めていて、返礼品に「村の特色」を出すのが狙い。ただシューズ自体は県外生産で、厳密には「地場産品」といえず、国から指摘されたら、再検討するとしている。

村の昨年度のふるさと納税額は400万円弱。地場産品のコメやヤギのミルクなども今年から扱い、9月までの申し込みは「去年の2.7倍」に増えたという。
雑穀を使った「たかきびまんじゅう」は、生産が途絶えかかっていた珍しい「たかきび」を数年前に復活させ、道の駅で販売しており、これも返礼品に加えようと考えている。村独自の返礼品を開発しつつ、一方で、人口500人余りの村では地場産品にも限りがあり、担当者は頭を悩ませる。

雑穀を使った「たかきびまんじゅう」

村づくり総合推進室・真鍋昂係長:
非地場産をなくす方向にもっていくなら、生産能力が少ない自治体もあるので余計格差が出てくるのではないかと考えている。是正する対策を総務省をはじめ取っていただけたら。売木村でしかできない商材を出していけるよう我々も努力していきたい。

国の通知から3ヵ月。
各自治体の担当者は国の見直し方針に戸惑いながらも、対応を迫られている。

ふるさと納税サバイバルの他の記事