国際航空宇宙展2018に見る「F-35ステルス戦闘機は、こう変わる」

カテゴリ:国内

  • メーカーはF-35Aのみならず、F-35Bのスケールモデルを展示
  • F-35の潜在能力、F-15の発達の方向性が今回の展示からうかがえる
  • 民間機の安全確保のために、レーザー照射装置を提案

F-35Aステルス戦闘機の実物大模型

「国際航空宇宙展2018」が東京ビッグサイトで始まった。2年に1度の展覧会には、17もの国と地域から、520社もの航空関連企業・団体が集まった展示会で、東京にいながら世界の潮流をのぞき見ることが出来る。

様々な模型が展示される中、一際目を引かれるのが、屋外展示されたF-35Aステルス戦闘機のモックアップ、実物大模型だ。模型とは言え、航空自衛隊最新鋭戦闘機の操縦席を模擬体験出来るとあって、列を作る人の姿もみられ、1人ずつ順番にコックピットへと促され、係の担当者が1人1人に対して写真撮影や、懇切丁寧に説明をしていた。

F-35Aステルス戦闘機の実物大模型に吊るされたミサイル

ちなみに「能勢伸之の週刊安全保障」視聴者のpiromyさんによると、このF-35Aのモックアップに搭載されていたミサイルは「AMRAAM」とのこと。

空幕長や装備庁長官も注目するF-35とF-15

ところで、政府は日本の防衛政策の基本である「防衛大綱」の作業中であることから、今回の会場には、丸茂空幕長や深山装備庁長官の姿もあった。

F-35A(奥)とF-35B(手前)の模型

防衛省の関係者の前には、F-35Aステルス戦闘機だけでなく、注目の「F-35Bステルス戦闘機」のスケールモデルも展示された。F-35B戦闘機は、胴体の中央部にリフトファンと呼ばれる機構をもち、下向きに空気を吹き付け、さらに、噴射口を下に向けることによって、短い滑走路で離陸/発艦し、垂直に着陸/着艦できるという戦闘機だ。

このため、前から後ろまで平らな全通甲板を持つ「いずも型ヘリコプター搭載護衛艦」を改修し、“事実上の空母化”を図る場合、艦載戦闘機になりうると目されている「F-35Bステルス戦闘機」があった。

そして、航空自衛隊がF-35Aの装備化を進めていくと、既存のF-15戦闘機をどうするのか、というのも注目点になってくる。

18発もAMRAAM空対空ミサイルを搭載したF-15戦闘機

F-15戦闘機のメーカーからは、既存のF-15戦闘機を改修して、コンフォーマル・タンクという機体にぶら下げるのではなく、貼りつけるようにする燃料タンクを取り付け、ミサイルの取り付け場所を増やし、18発もAMRAAM空対空ミサイルを搭載可能にする「アドバンスドF-15」計画のスケールモデルも展示され、防衛省の関係者たちは関心深そうにみていた。

また、F-35関連では、これからどのようなミサイルや爆弾を搭載出来るようになるのか、実物大のミサイルや爆弾の模型を展示したコーナーもあった。興味深いのは、以前、SDB(小直径爆弾)llと呼ばれていた、GBU-53/B ストーム・ブリーカーグライダー爆弾が、右側の爆弾倉だけで、4発搭載出来ることが示されたこと。

この爆弾は投下後、黒く折りたたまれている主翼を広げて滑空し、予め入力された座標の位置にGPSを使って向かう。そして、標的に近づくと、小型のレーダー・赤外線画像センサー・レーザーセンサーを使って、標的を捕捉して向かうという爆弾だ。

これだけのセンサーを使うので、車両のように動く標的も狙えるようになったという。航空自衛隊で、採用するかどうかは分からないが、F-35Aには、このような装備も“潜在的に”運用できるということなのだろう。

ミーティアとSM-3ブロック1B

また、将来のF-35Aに搭載するため、日英で共同開発する空対空ミサイルJNAAMのベースとなる、「ミーティア」のモックアップも展示された。

ミーティア

ミーティアは、ダクテッド・ロケット・エンジンを採用し、射程100km以上最高速度マッハ4以上と言われる空対空ミサイル。JNAAMはミーティアに、日本のAESAレーダー技術を投入し、制度を上げようというものだ。育つ/育てる戦闘機でもあるF-35Aの将来像が、今回の「国際航空宇宙展」で、断片的にみえてくるようだ。

ミサイル防衛関連では、海上自衛隊のイージス艦に、新たに搭載されるSM-3ブロック1B迎撃ミサイルの、巨大な実物大模型も展示されていた。

SM-3ブロック1B迎撃ミサイルの実物大模型

SM-3ブロック1Bは現在、海上自衛隊のイージス艦に搭載されているSM-3ブロック1Aと大きさなどは同じものの、より高性能なセンサーを搭載し、迎撃の精度をあげたものとされる。

台湾とイスラエルの注目模型

台湾からは、上陸部隊を阻止するため、レーダーと連動して、ロケット弾を連射する固定式の多連装ロケット砲のモデルが展示されていた。日本の島嶼防衛にとっても参考になるコンセプトになるかもしれない。

台湾・多連装ロケット砲モデル

さらに、イスラエルのメーカーが展示した「C-MUSIC」は、音楽の道具ではなく、民間旅客機の機体の下に取り付けて、四隅にある赤外線センサーで接近する地対空ミサイルを捕捉。ミサイルのセンサーにレーザーをぶつけて狂わせ、旅客機を守るという装置。

C-MUSIC

近づく敵ミサイルにレーザーを照射し、狂わせる装置には、これまでにも大型軍用機の防御用に開発されたDIRCMがあるが、C-MUSICは、それを民間機向けに改修したような装置だ。

民間機といえども、小型の地対空ミサイルで、テロの標的になったり、対空ミサイルの誤発射という事態も想定せざるを得ないという事態を予測してのことだろうか。

軍民の垣根がまた、ひとつ低くなっていくようだ。


(執筆:フジテレビ解説委員 能勢伸之)

【関連記事】「能勢伸之の安全保障」をまとめて読む

能勢伸之の安全保障の他の記事