高齢化で「紙おむつ」ごみの問題が深刻に。リサイクル技術の現状と課題を聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 高齢化に伴い、大人用紙おむつの生産量は年々増加
  • 環境省がリサイクルを促すガイドラインを来年度に策定
  • リサイクルによってCO2を40%削減効果がある

年々増加する大人用紙おむつ

介護が必要な高齢者の増加に伴い、大人用紙おむつの生産量は2017年に約78億枚と、ここ10年で1.7倍に増えている。

日衛連 番号144

また、一般社団法人NIPPON紙おむつリサイクル推進協会によると、尿や便などの⽔分を⼤量に含んだ使⽤済み紙おむつは、焼却炉の⼤敵。

おむつは、⽔分を⼤量に含んでいるので最初は燃えにくく、⽯油化学物質を含んでいるので ⼀旦燃えだすと⾼温になるといった問題に⾃治体は直⾯している。

こうした中、環境省は来年度、自治体に対し、使用済み紙おむつのリサイクルを促すガイドラインを策定する方針を固めた。
ガイドラインでは、先進的な取り組みを参考に、リサイクル技術や分別回収の方法などを示すことにしている。

環境省も動き出した紙おむつのリサイクルは、現状どこまで進んでいるのだろうか?
2005年から「水溶化処理」という方法を用いて、紙おむつのリサイクルに取り組んでいる、トータルケア・システムの担当者に現状と課題を聞いた。

リサイクルによってCO2を40%削減

――使用済みおむつのリサイクルに取り組み始めたのは何年前から?

大牟田の工場が稼働した2005年4月からです。

当社の社長は、会社の設立時、別のおむつを販売する会社の社長で、販売する以上は回収することも義務と考えました。

これに加え、当時はダイオキシンの問題も出てきていて、おむつも燃やさずにリサイクルできるのでは、とも考え、おむつのリサイクルを担うトータルケア・システムを立ち上げました。

――おむつをリサイクルすることのメリットは?

「紙おむつの再資源化」と「CO2の削減」、この2つの効果が得られると考えます。

なお、トータルケア・システムが行っている、おむつの「水溶化処理」は、焼却するのに対し40%のCO2削減効果があり、そのことを示した論文を日本LCA学会誌に北九州市立大学の松本亨教授が出しています。

「水溶化処理」によって、おむつをリサイクル

――おむつをリサイクルする「水溶化処理」というのはどのような方法?

まず、回収したおむつを袋ごと、分離槽に入れ、水と薬品を使って、おむつを袋ごと破袋(すべてが細かくなっている状態)します。

ポリマー(吸収材)に含まれたし尿は、薬品を投入することで、浸透圧を利用し、外に出すことができます。

分離槽に残ったプラスチックは、その後、脱水し、圧縮梱包機にかけて、排出されたのち、RPF(固形燃料)として生まれ変わります。

パルプ、ポリマーは次の工程にて、比重差を利用して分離します。
パルプは脱水して、洗浄。

薬品を使って殺菌した後、もう一度、脱水して乾燥すれば、再生パルプの出来上がりです。

再生パルプは建築資材として活用されている

――1日、どのぐらいの再生パルプを製造している?

1日16トンほどのおむつを処理していて、そのうち15%が再生パルプになります。

――再生パルプはどのような用途で活用されている?

建築資材として、年間600~700トン販売しています。

――再生パルプは普通のパルプよりも安い?

バージンパルプ(100%の純度のパルプ)よりも安く提供できています。

リサイクル紙おむつを作る技術はすでにある

――おむつの再生パルプでは、まだ、おむつは作れていない?

おむつメーカーの協力のもと、試作品もすでにつくっています。

ただ、おむつの再生パルプを作れる工場が大牟田の1工場しかないので、供給量が足りないんです。

おむつがリサイクルできるという認識が広がり、リサイクルできる工場が増えていけば、「リサイクルおむつ」の販売につながるかもしれません。


これから迎える高齢化社会の課題の1つとなっている「おむつ問題」。
環境省が「紙おむつのリサイクル」を推進する一方、国土交通省は「紙おむつをトイレにそのまま流せる仕組み」を検討。
環境省によると、これらは同時並行で進められていくのだという。