今年のトレンドは「懐古」と「ライフシフト」。2019年“ネット市場”の予測も興味深い!

「楽天市場 ヒット番付2018」を発表

カテゴリ:テクノロジー

  • 平成の30年間を懐かしむ流行の再燃、スポーツに沸いた2018年
  • 2019年のトレンド…発表された以外のキーワードも教えてもらった
  • “トレンドハンター”清水さん「リアルよりもネットが先」

あなたも買った? 2018年トレンド商品

大相撲九州場所千秋楽で、小結・貴景勝関が初優勝を果たした翌26日、今年の消費動向や社会情勢を振り返る「楽天市場 ヒット番付2018」の発表会が行われた。

楽天市場での購買データ分析をもとに流行やトレンドを東西に分け、横綱、大関、関脇、小結、前頭と番付形式で2018年を象徴する10個のキーワードを選出。
さらに、2019年の流行を予測した「期待株」も公開された。

まず、今年のトレンドはこちら!

東の横綱には「懐古消費」、西の横綱には「スポーツ特需」が選ばれ、「猛暑特需」や「キャッシュレス化需要」が東西の大関にランクインするなど、納得のキーワードが並んだ。

【横綱】
懐古消費(東) スポーツ特需(西)

【大関】
猛暑特需(東) キャッシュレス化需要(西)

【関脇】
刺激系グルメ(東) クリア系グッズ(西)

【小結】
女の時産(東) 男の家時短(西)

【前頭】
eスポーツ需要(東) ライフシフト消費(西)

「懐古消費」は、2019年4月末に天皇陛下が退位されるため「平成最後の」という言葉が飛び交う中で起きた80~90年代の懐かしいアイテムの再燃のことで、ロングブーツやタピオカ、レトロ調理家電、ゲームの復刻版やカセットプレーヤーなどが人気を集めた。

「スポーツ特需」は、今年のスポーツ界の盛り上がりが伺える消費動向だ。
冬季過去最多13個の金メダルを獲得した平昌五輪や、日本代表がベスト16進出の成績を残したサッカーW杯の影響で、自宅での観戦を充実させる有機ELテレビやポップコーンの売り上げが伸びた。

番付を発表したのは、楽天株式会社で「トレンドハンター」という肩書を持ち、2億点に上る商品の購買データを分析して次のトレンドを発掘している清水淳さんだ。

清水さんは、「ポップコーンは製造マシーンまで売り上げが伸び、話題になった競技のスポーツ用品だけでなく、選手が実際に使っていたアイテムや観戦を楽しむグッズなど、幅広くスポーツ需要があった」と振り返る。
平昌五輪フィギュアスケート女子の金メダルのお祝いとして、ロシアのアリーナ・ザギトワ選手に秋田犬が贈呈されたことを受けて、秋田犬のぬいぐるみが人気を集めたことを例に挙げ、「実店舗ではなかなか販売していないような関連商品が売れるのは、ネットショッピングならではの動向」と説明した。

「働き方改革」で生活スタイルが変化

東西の小結「女の時産」「男の家時短」には、社会的背景が大きく影響しているという。
働き方改革の推進で残業時間が減り、家で過ごす時間が増えていることから、男女ともに自ら時間を産み出して有効活用するためのアイテムが目立ったというのだ。

女性は自動調理器やサバ缶などの便利食品を駆使して「時産」をして、不慣れながら家事に参加する率が上昇したという男性は、汚れ落ちやシワ防止の効果がある洗濯ボール、機能とデザインにこだわった調理器具を求めているようだ。

この傾向は、西の前頭の「ライフシフト消費」にも繋がってくるという。

アクアリウムや人工観葉植物が人気を集めた他、マッサージ用品ではビーズクッション、インテリアではローソファなどの低い家具が売れ筋で、子供と遊ぶカードゲームの売り上げは急増したという。
また、ひとり暮らし層では、英語教材などの資格本の検索・購入数が伸びているそうだ。

清水さんは、この動きを「『時短』の意味が進化して、いかにうまく時間を生み出して家族や友人と楽しく過ごすかということに意識が変化している。その結果、自分の時間を大切にするための消費が生まれた」と分析した。

2019年のトレンドは…

そして、気になる2019年のトレンドの傾向を表した「期待株」には、「増税前駆け込み需要」「元年消費」が選ばれた。

消費税率が改定される来年10月を前に、8%への引き上げがされた2014年と同様に、トイレットペーパー、PCや家電、非常食などの消費行動が見られると考えられる。
また、新天皇の即位で改元の年となる2019年は、日本全体でお祝いムードが盛り上がると予測。
結婚や出産など幸せなライフイベントへの期待感から、結婚式のドレスやおむつケーキといった関連商品の検索数が、すでに伸び始めているそうだ。

この来年の「期待株」は、清水さんが毎年10月に20個のキーワードを挙げ、その中の2つを発表会で公開しているという。
発表されなかったキーワードにはどのようなものがあるのか? ネットならではの特徴はあるのか?
また、膨大なデータの分析はどのように行われているのか?

情報をまとめているというA4サイズの黒いノートを手に発表会に臨んだ清水さんを取材した。

「去年の予測は、当たったといえばそうかもしれない」

ーー2018年の傾向をひと言で表すとしたら?

ひと言でまとめるのは難しいですが、すべてのキーワードが生活に深く関連しているのではないかと思います。
平成を懐かしく思うのも、スポーツを楽しむのも、子供と過ごすのも、背景にはライフスタイルの変化を見ることができます。

懐古でおもしろいのは、若者の消費が大きいということです。
タピオカドリンクに行列をつくっているのは中高生や大学生で、80年代に登場したウォークマンもその世代に人気です。
商品が登場した当時を知らない世代には目新しく映り、お洒落なものとして取り入れている。
一方で、流行した頃を知っている40~50代は、懐かしんで購買意欲が高まります。

時間を作るという意味での「時産」も、根底にあるのは生活の変化です。
昨年は「SNS映え」一色でしたが、今年は「平成最後」「元年(新元号)」「働き方改革」の影響が大きいですね。 

2017年の発表会では、2018年の期待株として「季節・男女逆転アイテム」を選び、西の前頭「ワンタイム消費」は引き続き注目のポイントとしていた清水さん。


ーー去年の予測の結果をどう受け止めているか?

予測が当たったといえば、そうかもしれませんね。
男性用化粧品の充実や「日傘男子」「パフェ男子」というワードの登場など、これまで女性のものだと思われていた商品に対して、男性からの需要が高まっています。
ファッションでも、女性向けにテーラードアイテム、男性向けにピンク色のアイテムなどが流行していますが、それらの動向をいち早く見つけて、「逆転アイテム」と名付けて予測したということです。
「ワンタイム消費」は、購入したが一度使用してすぐ売ること。
ファッションアイテムの売買、駅近くで自転車や傘などをレンタルできるシェアリングエコノミーの動きも広がっています。


ーーデータ分析はすべて1人で行うのか?

データの収集はエンジニアたちにお願いしていて、世界中から流行や社会情勢の情報を集めていますが、そのデータをチェックするのは私ひとりです。
各ジャンルの商品データを確認し、関連性を持たせてマッピングする際に、複数の人で分担をすると視点がブレてしまいますから。
データを分析する時には、私自身の気持ちというか、主観は入れないように気を付けています。


ーーその分析方法とは?

詳しくは企業秘密です(笑)
でも、分析はAIには出来ないことだと思っています。キーワードの抽出は人間よりも速いですが、キーワード同士の結びつきや社会的背景を考えるといった分析は、現時点ではAIには難しいのではないかと。

もちろん楽天市場のデータも見ますが、海外の情報をきっかけに動向を探ることが多いです。
SNSでグルメ関連のキーワードの投稿数や検索数の推移を毎日、AIを使ってウォッチして、その中から注目すべきキーワードをピックアップしていきます。
SNSも大きな情報収集源ですが、海外の展示会に参加した人たちのコメントや評価を探して、客観的に分析しています。
それらの情報と楽天市場内の検索・購買データをすり合わせて、楽天市場でもすでに売れているとか、これから売れそうだとか、分析するというスタイルです。

「データは裏切らない」時代の先を行くネットから流行を見極める

ーー他のランキングやネットショッピングならではの特色はあるか?

雑誌「日経トレンディ」がその年のヒット商品を発表していますが、これはアイテムのランキングです。
楽天市場らしさを出すために、私たちは商品の背景まで踏み込んで考察し、キーワードとしてまとめています。

ネットショッピングならではの特色は、やはり「ネットでしか買えない商品」が売れるということが一番ですね。
例えば、東の横綱「懐古消費」のロングブーツは、安室奈美恵さんのコンサート前になると非常に売れる商品ですが、実店舗ではあまり見かけませんよね。
大きいので幅を取りますし、複数の種類を取り揃えるのが難しい商品なので、ネットショッピングでしか購入できないのです。
秋田犬グッズも同様です。欲しくても、近くのお店に必ず置いてある商品ではありません。

また、ネットには流行や世相が速く反映されるという特徴もあります。
西の大関である「キャッシュレス化需要」も、最近のキーワードだと思われるかもしれませんが、実は、楽天市場では結構前からコンパクトな財布が売れ始めていました。
西の小結の「男の家時短」では、世間的にはまだ認知度は低いですが、楽天市場では男性用の大きなゴム手袋が売れていたり、先駆けという面は強みでもあります。
新しい商品が登場するスピードは、リアルよりもネットの方が先なのです。


ーー2019年の「期待株」は20個の案があったというが?

大きなキーワードとして、「環境」があると予測しています。
ストローなどの使い捨てのプラスチック製品の使用を廃止する動きがあり、楽天市場でもすでに紙ストローの販売を始めています。
また、動物愛護の観点からも服飾にフェイクファーを使用することが増えていたり、2019年に向けて各国でリサイクル素材が開発されています。

昨年には、英高級ブランドのバーバリーがブランド保護のために売れ残り商品を焼却処分したことが話題になりましたが、「環境に優しい世界をつくろう」という考えに基づいたグッズがたくさん出てきます。
古着のリユース、カット野菜など、ムダをなくすという動きも見られ、レジ袋有料化の動きを受けて、エコバッグの需要も高まってきます。
楽天市場では、買い物かごからエコバッグへの商品の入れ替えの手間を省くことができる、買い物かごに被せて使うレジカゴバッグが売れ始めていますし、エコバックは「男性化」が進むと思っています。
昼休憩や会社帰りに立ち寄った店で使用できる、ビジネスバッグにも似合う男性向けのデザインのエコバッグが出てくると思います。


最後に、平成最後の「ヒット番付」発表ということで、これまでのトレンド分析と予測を振り返って何を思うのかと尋ねると、「『データは裏切らない』ということを実感しています」という答えが返ってきた。

清水さんによると、データは事実を表しているので、それを基に分析していけば間違えることはないのだという。
「インターネットは先行性があるので、分析結果に関連する商品がコンビニに並んでいるのを見ると、やったなと思いますね(笑)」と話す清水さんのトレンド分析に、今後も注目だ。