フジツボも付着… “海底で熟成した”ウイスキーはまろやかになる!?

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  • 南伊豆の海底で貯蔵した“海底熟成ウイスキー”が発売
  • ボトルには、フジツボなどがついたまま
  • 官能テストで「味がまろやかになった」との声が多数

スッキリとした飲みやすさで人気のハイボールだが、ハイボール派の人はもちろん、ロックで風味を楽しみたいという人にも、ちょっとロマンを感じるウイスキーをご紹介したい。

それが、日本の会社が11月25日に発売した、一定期間、海中で貯蔵したという“海底熟成ウイスキー”だ。

場所は静岡・南伊豆の水深20メートルの海底。蝋で密封した瓶をケースに収納し、さらに巨大な金属の檻に入れて、海底に固定した。

南伊豆の海底に寝かしていた時の状況(画像:株式会社トゥールビヨン)

種類は、スコットランド・アイラ島にある蒸留所で2006年蒸留の「海底熟成ウイスキー・Tourbillon アイラ10年」(3万円、税別)と、スコットランド・ハイランドにある蒸留所で1972年蒸留の「海底熟成ウイスキー・Tourbillon グレーン43年」(8万円、税別)の2本。

なぜウイスキーを海に沈めたのか? そして、海底で熟成するとどうなるのか?
販売を手掛ける株式会社トゥールビヨンの代表取締役・柳谷智宣さんに話を聞いた。

海中の振動で瓶内熟成が進行

――地上で貯蔵するのと、どのような点に違いが出るの? なぜ企画した?

海底熟成の方が何倍も早く大きな変化が得られました。具体的には、水中の振動による効果でウイスキーがまろやかになったと思います。超音波などではなく、数か月をかけて変化することで、瓶内熟成も進みます。

きっかけは「海底で熟成されたワイン - SUBRINA」を購入したときに、代表の方と知り合ったことでした。現場を見学させていただいたことからご一緒するようになり、ウイスキーは私がやってみたい、という流れになりました。


―今回の2種類はどのようにして決めた?

これまで20数年の間に数百種類のウイスキーを飲んできた経験から、クオリティに信頼できる蒸留所で作られたウイスキーを数種類取り寄せて試飲して決めました。

“海底貯蔵”が初めての取り組みということもあり、ウイスキー造りの背景なども含め、自分が「美味しい」「最高級のクオリティ」と判断した2本を選んでいます。


――どのくらいの期間、海底で寝かせた?

10月末から翌年6月くらいまでの7~8か月です。今回のロットは2016年に沈めて2017年の夏に引き揚げたものですが、それまで何年にもわたって実験を繰り返してきました。

ボトルにフジツボなどが付いた状態で出荷

海底に沈める前のウイスキー(画像:株式会社トゥールビヨン)

――海底熟成で大変だったことは? 水圧などでボトルが割れたりはしなかったの?

水圧ですごい力が掛かることから、頑丈な蝋封を施しています。瓶は割れないのですが、蝋封にひびが入り、ウイスキーが海水になってしまうことがあります。今回のロットでも何本かありましたが、これは苦労します。

――ボトルにはフジツボなどが付いたまま?

はい、その通りです。

官能テストで「まろやかになった」と評価

――海底貯蔵すると、どんな味になった?

海底熟成は基本的には、まろやかになる傾向があります。木の樽の中の熟成とは異なる方向性ですが、熟成が進んでいることがわかります。特に、アイラ10年のほうが変化を感じます。

アイラ10年はスモーキーでヨード香もありながら、上品でどっしりしたイメージです。グレーン43年は、芳醇な長熟感があり、バニラのような樽のニュアンスもたっぷりです。バターやチョコレートのような甘い印象もあります。

また、ウイスキー製造などに携わるプロや一般人ら数十人を対象に官能テストを行っています。全ての参加者が「味が変わった」と感じ、ほぼ全ての人から「まろやかになった」と評価されました。

海底熟成ウイスキーは専用の木箱に入って届く(画像:株式会社トゥールビヨン)


ボトルにフジツボなどが付着したまま専用の木箱に入って届くという“海底熟成ウイスキー”。
海底で眠っていたというロマンを感じながら、夜更けにグラスを傾けるのも味わい深いかもしれない。