外国人受け入れの未来予想図?西葛西の祭りがインド人ばかりになるワケ

  • 荒川にガンジス川を想起し、40年前から西葛西に住むインド人が多い
  • しかし食文化の違いから日本人とインド人の間に繋がりが生まれない
  • 「本音では、外国人労働者の受け入れを議論したくない与野党」

10月下旬、東京・西葛西でインドのお祭り『ディワリ祭』が開催された。この祭で撮影された映像を見てみると、日本人にも参加を呼び掛けているが、多くの人で賑わう会場はインド人ばかり。日本人の姿はほとんど見えない。

映像を撮影した、ユーチューバーに話を聞くと、「9割以上がインド人だと感じた。日本で、あんなにインド人ばかりの光景を見ることは少ないので、すごくビックリした」と答えていた。

撮影:人見まよ氏

なぜインド人ばかりなのだろうか?

外国人労働者受け入れ拡大の課題検証・第4弾、11月25日放送の報道プライムサンデーでは西葛西を取材した。するとそこには日本人とインド人の間に立ちはだかる大きな壁が浮かび上がってきた。

西葛西にインド人が集まるワケは“荒川”!?

東京メトロ東西線・西葛西駅の乗降客を見ると、インド人を多く見かける。西葛西は東京都内に住むインド人、1万人あまりのうち3700人ほどが住んでいることから 『リトルインディア』と呼ばれている。

一体なぜインド人は西葛西にやって来るのだろうか?

20年前から西葛西で営業するカレー店『カルカッタ』の店主は、西葛西に住む理由について「荒川です。地下鉄東西線が西葛西駅に来る時と出る時は、鉄橋の下が川。それが『ガンジス川みたい』って、それがインド人がみんな西葛西に住む理由です」と教えてくれた。

約40年前から多くのインド人が西葛西に移り住み始めたのは、聖なるガンジス川に似たイメージの、関東平野を流れ東京湾に注ぐ“荒川”があったからだという。

しかし、この街には約40年間くすぶり続ける問題もあった。

「6割がベジタリアン」というインド人に立ちはだかる壁

東西線の高架脇にある、インドの生鮮食材を扱う商店。バナナフラワーなど日本のスーパーでは扱わないインドの商品も多い。毎週1回インド直送の生鮮野菜を入荷していて、インド人に人気の店だ。その社長に話を聞くと、インド人には日本の食材が口に合わないという。

西葛西のインド人たちに日本の食事はどうか聞いてみると、やはり「私たちベジタリアンだから、肉も魚もダメなの」「私は一家でベジタリアンなんです。肉と魚は食べません」などという答えがあった。

インドは、国民の6割程度がベジタリアン。ここに問題の根源があった。
ではインドから日本に移り住んだ彼らは、一体日本でどんな食事をしているのだろうか。

自宅にあった祭壇

夫がインド料理店のシェフを務めるインド人夫婦の部屋を訪ねると、部屋自体はなんとも和風だが、押入れには“祭壇”もある。
これからオクラと玉ねぎを使った料理を作るという。オクラはインドでもよく食べる食材で、カレー風味で炒めていた。

この料理を作った、日本に来てまだ6か月という女性も、またベジタリアンだ。日本で外食したことはなく、日本人の友達はいない。その理由は日本の食事になじめないからだという。

「日本人と一緒にどこかに行くと、いつもちょっと、自分の食べ物のことが心配なことがあるから、あまり…。いつも『じゃあ一緒に行かなくてもいい』と思ってしまう」と少し悲しそうな顔を見せた。

来日歴4年の男性も「食事が違うから、なかなか日本人の友達ができないことが多い」と答えていた。住んでいる場所で日本人との交流が深まらないため、ここで行われていた『ディワリ祭』がほとんどインド人ばかりの祭になっていたのだ。

トラブルはない。それでも交わらない現実

一方、西葛西に住む日本人は、ここに住むインド人のことをどう考えているのだろうか。

インド人の友達がいるかどうか聞いてみると、多くの人が「インド人の友達はいない」と答えていた。そしてその理由について「インド人同士が固まっているから」と答えた人がほとんどだった。
さらに「インド人の友達はいません。もう彼らにはお仲間がいっぱいいるから、インドの。私たちに、声をかける必要がないじゃないですか」と話す人も。

西葛西で行われている『日本語サロン』

西葛西では、NPO団体が日本人とインド人の垣根をなくそうとボランティアが日本語サロンを開催するなど、地道な努力を続けている。それでもなかなか埋まらない日本人と外国人との距離を、外国人労働者受け入れが拡大したとき、どう埋めていけばいいのだろうか?

佐々木恭子キャスター:
日本人とインド人は、トラブルもない代わりに交流もないといいます。最大のネックになっているのがどうも食にあるということ。食って大きな壁になりますか?

パトリック・ハーラン:
大きな壁ありますよ。アメリカ人はまだいいです。アメリカのチェーン店も日本に多く入っていますから。でも地元の味が恋しくなることは日本の皆さんも多分分かると思うんです。
震災時にはあったかい地元料理を食べると落ち着くじゃないですか。それが海外に行って食べることができないインドの方の気持ちも、私は察することができるかなと。

本音は議論したくない 国会の現実

佐々木恭子:
大きなコミュニティーになればなるほど、インド人の方も日本で独立して生活できるということの裏返しなんだとも思いますね。古谷さん、国会の議論を見ていると、外国人を受け入れて日本がこの先どのような社会を目指していくというような議論では“ない”ところに終始している現状ですが、どう見ますか?

古谷経衡氏(文筆家)

古谷経衡(文筆家):
僕は思うんですけど、与党と野党が本音のところではガチンコの議論をしたくないんだと思います。
何故かというと、与党側は、外国人労働者の受け入れ拡大については経済界・業界の要望がある、これは推進ですよね。じゃあ野党が反対かっていうとそうじゃない。野党の支持基盤は、ほぼほとんどのところで労働組合、あるいは最大の連合だったりする。そういうところは、正社員の雇用と福祉が守られていれば、自分たちの仕事が楽になれば、外国人労働者はもっと増えてくれてもいいわけですよ。だってそれがなければ、自分たちの正社員の仕事がもっとハードになっちゃう。
だから実は与野党の支持基盤が、両方とも心の中では外国人労働者が欲しいよ、と。だからほんとは議論したくないんだと思いますよ。

パトリック・ハーラン:
でも両方が合意できるんなら、それこそ暮らしやすい環境の整備に力を入れていただきたいですね。

外国人労働者の受け入れ拡大を目指す出入国管理法改正案の国会での審議は、場外戦ばかりで、実質的な審議は行われないまま、政府・与党は27日の衆議院通過を目指している。

一方、今月17日・18日に行われたFNN世論調査では、外国人労働者の受け入れ拡大の賛否は、賛成48.4%、反対42.5%と拮抗している。今回の西葛西での取材でも、法案成立の前に考えておくべき課題が浮かび上がってきた。この“未来予想図”を見て、あなたはどう考えるだろうか。
報道プライムサンデーでは今後も今、考えるべき課題を追う。


外国人労働者受け入れ拡大の課題検証
第一弾:日本は既に世界4位の移民大国? 岸田政調会長が明かす、政府が“外国人労働者”受け入れへ大転換したワケ
第二弾:健康保険が狙われる…外国人受け入れで懸念される“穴だらけ”の実態
第三弾:外国人受け入れの未来予想図?埼玉のチャイナタウンで見えた“軋轢”と“和解”と“共生”

(報道プライムサンデー 11月25日放送より)

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