55年ぶりに万博が大阪で開催されることになった舞台裏。圧勝の裏に見えた大阪の魅力とは

カテゴリ:国内

  • 世耕大臣のプレゼンから見えてくる大阪の魅力
  • ライバル・ロシアとの違いは“親しみやすさ”
  • 開催決定の一方で、見えてきた不安とは?

「ええおっさんが皆立ち上がり、自然と抱き合うんやから。むちゃくちゃ嬉しかったですよ」
25日、パリから帰国後、喜びをこう表現した松井一郎大阪府知事。
決定が決まったその瞬間、パリだけでなく大阪・難波の街も喜びに沸いていた。

日本時間の先週土曜日、1970年以来55年ぶりとなる2025年の万博開催が決まった大阪。
開催予定地はベイエリアに位置する「夢洲(ゆめしま)」で、大阪府はここにカジノを含む統合型リゾート施設の誘致も目指している。

「初開催が売りの『ロシア』と『アゼルバイジャン』が有利」との声もあった中、勝因は何だったのだろうか。

大阪の技術力の高さ

『いのち輝く 未来社会のデザイン』をテーマに人工知能などの最新技術を活用した、体験型の万博を目指す大阪。
開催地3カ国の最終プレゼンの後、世界150カ国以上の投票の前に行われた日本のプレゼンでトップバッターを務めたのは、世耕経産大臣だった。

そのプレゼンで、世耕大臣は「1124店舗の“すし屋”を大阪で見つける事が出来ます。もし“カラオケ”で大声で歌いたくなったら、大阪でたくさん見つけることができますよ」と、すし店やカラオケ店の多さをアピール。

嘉悦大学経営経済学部の髙橋洋一教授は、実はこの言葉に、1つ目の勝因ポイントがあったと話す。

左上:太陽の塔 右上:大勢の入場客 右下:ワイヤレスフォン 左下:月の石

48年前に日本中を沸かせた『大阪万博』。
アポロ計画でアメリカが持ち帰った『月の石』を一目見ようと長蛇の列ができ、延べ6000万人が世界中から集まった。
この時、初めてお披露目されたのが、携帯電話の先駆け『ワイヤレスフォン』に『電気自動車』。さらに大阪万博に出店された『回転寿司』もここから全国区となったのだ。

1970年の大阪万博で回転寿司を出店した、元禄寿司の2代目白石博志社長は「東大阪には何十年も蓄積された技術を持つ工場主がたくさんいるんですね。そんなみなさんが知恵を磨いて完成したのが回転寿司だったわけです。こんな街だからカラオケや回転寿司も出来た。2025年にはもっと面白いことを出来るようにしたい」と意気込む。

白石さんが語ったように、大阪の“技術力の高さ”が開催地決定の1つ目のポイントだ、と嘉悦大学経営経済学部の髙橋洋一教授は指摘する。
「大阪が自分達の技術をアピールしたかったという事で、世耕大臣はあのプレゼンテーションをしたんだと思います」

大阪の親しみやすさ

また、髙橋氏が語る2つ目のポイントが“親しみやすさ”だ。

例えば、ビデオメッセージで登場した安倍首相は「2025年大阪万博は、あなたの万博となります」と、笑顔で大阪の良さをアピールし、親しみやすさを全面に押し出した。

他にも大阪万博のイメージ映像の中で、世界に誇る「ピカチュウ」を映像に登場させ、投票会場にも「キティちゃん」を呼びよせた大阪。楽しさや親しみやすさをアピールしていた。

一方、これに対するロシアは、安倍首相と同様、プーチン大統領もビデオメッセージに登場したが「エカテリンブルグは大規模なイベント開催の経験が豊富。皆様には最終的な選択をするという光栄かつ責任の重い使命が与えられています」と笑顔ひとつ見せず、いつもどおりの表情でロシアへの投票を呼びかけていた。

前述の髙橋教授は、「今、大阪の“親しみやすさ”から、実際に観光客も多く来ているわけですからね。それをそのまま強みとしてアピールしたんだと思いますよ。まさしく大阪らしいじゃないですか」と分析する。

結局ロシアとの決選投票では、31票差の圧勝で、大阪は見事55年ぶりの万博を勝ち取った。

不安の声も聞かれる大阪万博

政府によると、期待できる経済効果は『1兆9000億円』だというが、課題も見えてきた。
例えば、懸念されているのがアクセスの問題だ。現在、開催予定地の夢洲に行く交通手段は、車やバスのみ。実は交通インフラの整備に掛かる費用は700億円以上と試算される。

きのう、大阪市内を取材すると喜びの一方で、「お金の面で僕らにマイナスの負担が来るのであれば、多少嫌だと思います」や「これ以上の税負担は家庭的にも厳しいとは思いますね」などと不安の声も聞こえてきた。

大阪行政に詳しいジャーナリストの吉富有治氏は「一時的な経済効果で終わらせないのが大切です」と警鐘を鳴らす。さらに「参加した企業・研究所・人材が、万博が終わった後でも大阪に残ってくれて。そういうことまで考えておかないと、本当の意味で万博の成功とは言えないんじゃないかと」と指摘する。

また、5月から11月までの開催ということで、台風の影響も心配されている大阪万博。

前回は高度経済成長期での開催だったが、経済状況が違う昨今、いかに国民への負担を食い止めるかということもポイントになりそうだ。

(「めざましテレビ」11月26日放送分より)

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