一貫2000円の“肉寿司”がインスタを席巻 紅葉の京都で燃えるインバウンド争奪戦

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  • 京都の外国人宿泊客数は東日本大震災の年の7倍に
  • 外国人観光客の2人に1人が訪れる祇園で“唯一”のチャレンジで勝負
  • 寿司職人が放つ「肉寿司」ならではの想像を超える工夫

清水寺にあふれかえる外国人観光客 震災から7倍に

紅葉の見ごろを迎えハイシーズンの、古都・京都。いま、その京都はインバウンドが急増し、外国人観光客であふれかえっている。

日本政府観光局によると、京都の外国人宿泊客数は3年連続で300万人を突破。受け入れ施設の増加なども追い風となり、その勢いはとどまることを知らず、去年ついに過去最高となる353万人を記録した。東日本大震災が発生した2011年には52万人まで落ち込んだものの、それから6年でおよそ7倍に増加したのだ。

その外国人観光客が京都市内で訪れる観光地のトップが清水寺。たしかに360度どこみても、必ずそこには外国人観光客。その外国人が清水寺の次に足を運ぶスポットが祇園だ。京都観光総合調査によると、約50%の外国人観光客が祇園を訪れたと回答。2人に1人が訪れているのだ。

その祇園が位置する京都市東山区は1500店の飲食店がひしめく、グルメ大激戦区。

この激戦区に「祇園で唯一」という存在感と「インスタ映え」を武器に、ことし10月、松阪牛をメインにつかった肉の寿司店「おにくのおすし 京都祇園店」がオープン。祇園はもちろん、全国的にも肉寿司を専門で出す店はかなり少なく、まだメジャーと言える存在ではない。そうした中、勝負を挑む「ネタ」は果たしていかなるものか探ってきた。

1貫2000円のシャトーブリアン寿司 シャリにはまさかの牛脂

私は1貫2000円の寿司を食べたことはない。しかし、ほぼ毎日なにかしら肉を食べる大の肉好きとして肉には一家言ある。歳も間もなく40歳。頻繁とはいえないが、それなりの名店も行ってきた。さっそく食してみると…

ほのかな甘みに適度な弾力。深い味わいをくちのなかに残しながら自然に溶けていくシャトーブリアン。さすが一口単価が人生史上最高値なだけあり、「最高」以外の言葉がみあたらない。

数量限定 希少部位・シャトーブリアン寿司 1貫2000円

「おにくのおすし」を握る寿司職人は、もともと、いわゆる本来の魚の寿司を握ってきた職人。その職人がもっとも苦慮したのが、身の厚みの調整だったという。

魚の要領で切った場合、魚と同じ身の厚みでは、肉の寿司に合わなかった。なぜなら、魚より身が固い肉の場合、魚と同じ身の厚さにしてしまうと、口の中にシャリがなくなってもまだ肉が残ってしまい、肉が「固い」と感じてしまうのだ。この厚みを連日1ミリ単位で調整。朝から晩まで切り続けること一週間、やっと肉とシャリが口の中でちょうどなくなる厚さにたどり着いた。だから、口の中ですべてが溶ける感覚が味わるのだ。 

さらにシャリにも寿司(魚)とは異なる秘密が。肉寿司に使われるシャリには、牛脂がいれられているのだ。そのため、シャリの一粒一粒に油のコーティングが施され、いつまでもシャリのみずみずしさが保てるのだという。さらに、普通のコメより満腹感が味わえるそうだ。

外国人が来ない

珍しく、かつ存在感抜群の「肉寿司のインスタ」が若者を中心に急速に広まったことで、店は祇園にオープンしてわずか1か月で、ランチタイムには店外に行列ができるほどに。しかし課題は、インバウンドだ。来店客のうち6割が観光客(そのほかは地元の常連客)。しかし、これほどまでに外国人観光客が急増しているのにも関わらず、ほとんどが日本人観光客だという。

祇園という激戦区で成功をおさめれば、そのブランド力を活かし世界にも挑めると踏むのはこの店の経営に携わる元フレンチシェフ。料理のプロだからこその発想力で、肉の部位(29種類ある。シャレではなくたまたまニクと一緒)それぞれに合う調理の仕方の研究を重ね、メニューを充実させ、これからは外国人観光客を取り込みたいと意気込む。

今後、店が飛躍的に伸びることができるかどうかは、外国人観光客が圧倒的に増加している中、それをいかに取り込めるかがカギとなるが、この「圧倒的な個性」が受け入れられるか注目だ。

(執筆:フジテレビ プライムオンラインデスク 森下知哉)

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