ゴーン容疑者「日産会長」解任へ…ルノーによる「経営統合」を阻止する秘策とは?

  • 解任の提案は賛成多数で可決される見通し「取締役」は臨時株主総会で決議か
  • フランス政府の経営統合計画にゴーン容疑者が関与?日産・ルノーの行方に注目
  • 「経営破綻寸前に次ぐ危機」の日産…経営統合防止の秘策はルノー株の“買い増し”

11月22日午後4時半過ぎ、横浜市の日産自動車本社前には、直前から始まったとみられる臨時の取締役会の様子を見届けようと、多くの報道陣が集まっていた。

臨時取締役会では報酬の過少記載の疑いで逮捕されたカルロス・ゴーン容疑者(64)の会長職などの解任が提案される。
日産の取締役は日本人5人、外国人4人の合わせて9人。解任を可決するには出席する人数の過半数の賛成が必要だ。

22日の出席者は、ゴーン容疑者とグレッグ・ケリー容疑者(62)を除く7人とみられ、仮にルノー出身の取締役2人が反対しても、賛成多数で解任の提案は可決される見通しだ。

20年近く続いたゴーン体制にとって、事実上の最後の日。
横浜市民の声を取材すると、「捕まっても当然だし、解任されても当然だと思ってます」「会社のトップとしてはよろしくないので、致し方ない」といった声が聞かれた。

現時点では、まだ両容疑者とも取締役の立場は残るが、日産は近く臨時株主総会を開いて取締役からも外す決議を行う見通しだ。

ルノーによる「経営統合」阻止のシナリオは?

ゴーン・ショックの今後の焦点となるのは、日産とルノーの行く末。

日産自動車の志賀俊之取締役は22日朝「アライアンス(提携)を結んできたパートナー企業同士ですから、建設的な議論ができると思っていますので」と話した。

日産自動車・志賀俊之取締役

しかし、その前夜の取材で9月の取締役会でゴーン容疑者から話が出た日産とルノーの経営統合について質問されると、「いや…えーと…私が知る限りですね…正確に申し上げづらいんですけれど…」と明言を避けた

ルノーは現在、日産の株を43%保有し議決権も持っているため、日産の経営に大きく関与することができる

そんなルノーから日産が独立性を保つ方法の1つが、ルノー株の買い増しだ。
現在、日産が保有している15%のルノー株を25%以上に買い増せば、日本の会社法によりルノーの議決権を停止させることができるのだ。

日産では今後、ゴーン容疑者の穴を埋める形で暫定的に西川社長が会長職を兼務
また、これまでの経営体制などを検証するガバナンス(企業統治)委員会を設置する方向だ。

「経営破綻寸前に次ぐ危機」日産・ルノーの“ねじれ”とフランス政府の狙い

日産自動車は今後どうなっていくのか?
長年、自動車業界を見続け、日産自動車にも詳しい佃モビリティ総研代表の佃義夫さんに伺った。


倉田大誠キャスター:
まず、日産自動車は現在、どのような状況なのでしょうか?

佃義夫
危機再び」ということですね。
日産にとって、1999年台後半の経営破綻寸前に次ぐ2度目の大きな危機に直面しているということです。

倉田大誠
では、改めてルノーと日産の関係を整理していきます。
両社は資本提携を結んでいて、日産はルノーの株を15%、ルノーは日産の株を43.4%持っています。
そしてルノーは日産に対して経営などの議決権を大きな割合で持っているわけですが、佃さん、車の売り上げでいうと日産のほうがルノーよりも上回っているという状況ですね。
なぜ、こういったねじれた関係になっているのでしょうか?

佃義夫
1999年にルノーと日産が資本提携、つまり、ルノーが日産を救済したことから始まっています。
日産は43%の出資をしてルノーの傘下に入った、要するに子会社になったということです。
そこからの始まりということでの今の流れですね。

倉田大誠
では、このあと日産はどうなってしまうのか。
その重要な要素となるのが、ルノーの大株主であるフランス政府であるという見方があります。
フランス政府としてはルノーと日産を経営統合して、フランスの会社にしようと考えているのではないかという報道があります
その狙いは何なのでしょうか?

佃義夫
もともとルノーは、ルノー公団というフランスの国営メーカーだったんですね。
1996年に民間化していますが、基本的にはルノーはフランスのいわゆる国営メーカー的な存在です。
フランス政府は、フランスの自動車産業の振興あるいは雇用、経済の向上のために、ルノーを以前のような状態に戻したいという思いが根強いんです。

ゴーン容疑者の“心変わり”…統合計画への対策は?

倉田大誠
その経営統合計画とゴーン容疑者の関わりを見てみましょう。
2014年、マクロン大統領が経済大臣だった時に、株式を2年以上持つ株主の経営などの決定権を2倍に引き上げる「フロランジュ法」を作りました
これによって、株主であるフランス政府の意向も当然大きくルノーに反映されます
その意向というのは、やはり「経営統合したい」ということで、日産は危機を覚えます。
そこで、カルロス・ゴーン容疑者が日産側の矢面に立ったという指摘がありましたが?

佃義夫
当時のカルロス・ゴーンとしては、ルノー・日産の国際企業連合を作って、この枠をキープしたいと。
ですから、ルノーと日産を統合するとゴーンの存在価値がなくなるということです。

倉田大誠
そんな中、ゴーン容疑者の転機となったのが、2018年2月のルノーでの会長兼CEOの続投です

佃義夫
2022年まで続投できるということで、あと4年間、ルノー・日産・三菱自動車の3つの会社のトップでいられるということの条件として、ルノー・日産の資本構成の見直しということをフランス政府から提示されたようなんです

反町理キャスター:
資本構成の見直しとは何ですか?

佃義夫
不可逆的な資本構成。
不可逆というのは日本語でも難しいですが、元に戻らないような資本構成にということですね。

反町理
日産は永遠に子会社化するような工作をちゃんとやりなさいと?

佃義夫
それが非常に微妙で、両面なんです。
日産が15%から更に引き上げて、ルノーの議決権を持たせるようなことでの見直しもできるわけです。
一方で、統合に向けた方の資本構成の見直しもできるという両面があるんですね。

倉田大誠
矢面に立っていたゴーン容疑者の向き合い方が、少し変わったようだということですね。

反町理
日産の中の人たちは、この統合には当然、反対したわけですよね。
その日産側の反発の理由は何ですか?

佃義夫
現在43%持たれていて統合するということは、日産が吸収されるということです。これは平等な統合ではないですね
日産にとっては、例えばルノーの日本支社になる可能性のほうが強いということで、当然、耐えられる内容ではありません。

反町理
日本の日産の持ち株を増やすという手もありますが、日産は法的にルノーに対抗できる手段はあるのでしょうか?

佃義夫
とりあえずは日産のルノー株の持ち分を25%まで上げて、ルノーに対して日産が議決権を持つことが、まず第一ですね。
そして、フランス政府に日産への経営に関与しないことを約束させることが考えられます。

(「プライムニュース イブニング」11月22日放送分より)

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