新名所2019:「1時間手伝えば1食タダ」飲食業界の常識覆せ!女性店主が起こした“親切の輪”【岡山発】

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  • 女性店主が一人で切り盛りする小さな食堂で「テゴ制度」
  • 「きっと何か縁があるから来る」女性店主の思い
  • 「大家族みたいに…」テゴで広がる“親切の輪”

テゴ(手伝い)で1食無料…女性店主の思いは?

1時間店を手伝えば1食タダ!という食堂が岡山市の中心部に誕生。
異例のシステムには女性店主の思いが詰まっていた。

岡山市北区国体町にオープンした小さな食堂「ぽん太」。
この食堂で導入されているシステム…、それは「テゴ」制度。岡山弁で手伝いの意味だ。

この日も、初めてのテゴをしに金融機関に勤める男性がやってきた。

テゴをしにきた男性

テゴをしにきた男性:
一度(テゴを)体験してみようかなと。(上司の了解も得て)協力してこいと快く(言ってくれた)。 

仕事の合間の1時間、ネクタイ姿にエプロンをしめ、早速開店準備の手伝い。
一番忙しいランチの時間。料理の盛り付けの他、接客も笑顔でこなしていく。

そして、1時間店を手伝うと、800円分の食事券を進呈!つまり、1食がタダになる。

テゴをしにきた男性:
見たことがないので、他の店では。非常に面白い。こんな経験できるところない。

普段は、店主の横田都志子さんが、1人で切り盛りしている。

「きっと何か縁がある」子どももテゴ体験

「ぽん太」店主の横田都志子さん

店主の横田都志子さん:
(どんな人がテゴを?)会社員、主婦、子どもなどみんないます。きのうは70代の方が来て、人と話をしてみたいから今度テゴに来たいと…。きっと何か縁があるから来る。そう思ったらきっと何かの縁だから、来たい人は受け入れたい。

「きっと何か縁があるから(テゴに)来る」と語る横田さん

店では効率化を追求し、昼の定食は1種類。旬の野菜を使った12種の小鉢から2つの副菜を選ぶスタイル。
メニューを絞り込むことで、食材の種類も少なくなり、仕込みのロスを減らせるメリットも。

昼の定食は1種類のメニュー

メイン料理は魚。しかも、種類は鮮魚店におまかせで、毎日安くておいしいものが届く。白米と玄米を選べるのも健康を気にする客への配慮だ。
営業時間は午前7時から午後3時までで、開店前や閉店後の作業も含め、1日最大4人がテゴできるという。

テゴは、雇用関係ではなくお手伝い。賃金が発生しないので子供でも体験できる。
この日は小学6年生の女児がテゴにやってきた。

店主の横田都志子さん:
お名前は?

小学6年生の女児:
愛子です。よろしくお願いします。

店主の横田都志子さん:
早くやろうと思わないで安全に…。

子供でもできる作業として、ハシを袋に入れたり、イスやテーブルを掃除したり…。休憩をはさみつつ、3時間2400円分の食事券を受け取った。

2400円分の食事券を受け取り笑顔を見せる女児

小学6年生の女児:
仕事してみたいと思って…。優しく教えてくれる。楽しかった。    

女児の母親:
面白そうと思って、子どもも働けますかと聞いたら「大丈夫ですよ」と。良いことも悪いことも体験してくれたら面白いなと。ただ楽しんでもらいたい。

2018年9月の開店から2カ月で、延べ約30人がテゴ制度を利用したという。

テゴで広がる“親切の輪”

店主の横田都志子さん:
働くのは苦しいことではなく楽しいこと。人が喜んでくれることは良いこと。働くのは苦しい、お金のためじゃないと学んでもらえたらいいなと思う。

入口横にあるボードには、客が無償で提供する食事券が貼り付けられている。中には、テゴでもらった食事券をそのまま貼って帰る人もいる。
誰かが貼った食事券には「テゴしてもらった券です。だれかがこれで元気がでるなら差し上げます」とのメッセージも…。
店から受けた恩を次の人に…。親切の輪が広がっていく。

男性客:
この券(客が無償で提供した食事券)使って良いですか?

店主の横田都志子さん:
取って使って!(ご飯をよそって)大盛り。いっぱい食べて。へこむことあった?

「今はへこんでない」と笑顔で話す男性客

座席数は11。知らない客同士でも不思議と会話がはずむ。
人手不足に悩む飲食業界の常識を覆すテゴ制度。温かい食事が人をつないでいく。

店主の横田都志子さん:
今は1人でご飯を食べる人が多い。8人から10人で食べる楽しさ。何もごちそうがなくても、たくさん(の人と)で食べるってそれだけでおいしいと思った。それでここで大家族みたいに、ご飯を食べることができたらいいなと。

岡山市の中心部に誕生した小さな食堂「ぽん太」。
優しさがじんわりとしみわたる。

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