「仕事と子育ての両立を」イマドキ就活生が疑似体験

国内

5月は、大学生にとっては就職活動が本格化する季節。「共働き家庭」が過去最多となった今、「仕事と育児を両立したい」と望む男子学生も増えている。悩めるイマドキ就活生のためのユニークな取り組みを取材した。

明治大学4年生の池田 颯さん(21)。午後4時すぎ、就活スーツを身にまとい向かった先は、長男・伊織くん(3歳8カ月)を育てながら夫婦共に働く渡辺さんのお宅だ。

株式会社「manma」が企画運営を行う「家族留学」に参加するためだ。

「家族留学」とは、大学生や社会人1~3年目の男女が子育て家庭に1日“留学”して、家事や育児を体験するというプログラムだ。子どものお世話、夕食の準備、共働き夫婦との交流を通して、「仕事と育児の両立」のヒントを学ぶ。

この日初めて参加した池田さんは、現在就活真っただ中だ。将来、自分も育児休暇を取得し、家事に積極的に取り組みたいという。「就職説明会で『育休に関してですが』と企業に質問すると、“え...?”という空気感になってしまう。仕事と育児の両立のリアルを知りたくて」と参加の理由を打ち明けた。

日々、コンサルタントとして働く佐知子さん(37)が夕食の支度をする間、池田さんは子どものお世話に挑戦した。距離を縮めようとしても、あちこち動き回る伊織くんにあたふた。家事もお手伝いするが、奥さんの指示にもあたふた...。午後6時半すぎ、仕事から夫・会社員の智和さん(47)も帰宅した。普段から皿洗いと洗濯を担当しているという。智和さんは、「どんなに忙しくてもこれが日常で、これをやらないと落ち着かない」と話した。

これまでに5回「家族留学」を受け入れている理由について、佐知子さんは「これまで働くことばかりにクローズアップしすぎて、結婚・出産適齢期・両立などを全く考えてこなかったし、考えるきっかけすらなかった。ぜひ若い段階から、結婚後の生活を知ってほしくて」と語った。参加した池田さんは「楽しかった。平日は、仕事から帰ってきてからの家事・育児は大変なことだと学んだ」と話した。

企画・運営を行う株式会社「manma」の代表で、慶應義塾大学大学院2年の新居 日南恵さん(23)は、自身が大学3年生のときに友人たちとこの取り組みをスタートさせた。「今の若者は、就職先で子どもが産めるのか、仕事と子育ての両立ができるのかについて、非常に考えている世代。家族留学が、結婚・出産・子育てに向き合っていくことの助けになればうれしい」と話す。

ホームページなどを通し、参加者と受け入れ家庭を募集する。これまでに300人を超える学生が参加し、そのうちの半数が男性の参加だという。また、北海道から沖縄まで21の都道府県での「家族留学」が実現するなど、その活動範囲も広がっている。

「家族留学」に参加する若者たちの親世代は「父親が働き、母は専業主婦」というのが当たり前だった。共働き世帯が増えている今、彼らは自分たちの家族以外の「ロールモデル」を探している。