消費税0%で、住民には年12万円のボーナス。中国のマカオが発展した理由

マカオに学ぶ日本のIRの未来(前編)

カテゴリ:ワールド

  • マカオは消費税0%など社会制度が整えられている。
  • 財源は3兆7000億円ものカジノ収入だが、ずっと順調ではなかった。
  • 魅力的な施設でカジノ以外の観光客を呼び込むことにも成功している。

4人家族なら年48万円のボーナス

消費税0%、所得税は最高税率でも12%。失業率は1.8%と低い。

年に一度の定額給付金は1人約12万円。住民であれば子どもにも配られるので、4人家族なら約48万円のボーナスが政府からもらえることになる。

そんな、日本では考えられないような社会制度が整えられているのは、中国の特別行政区・マカオ。1999年にポルトガルから返還されてから、まもなく20年の節目を迎える。

マカオ返還10周年の記念に中国政府から送られたパンダの子どもたち

面積は30.8平方キロメートルと、東京・大田区の半分くらいしかない行政区で、これだけ潤沢な財政状況。それを可能にしているのが、カジノによる収入だ。

2017年は約3200万人の観光客が訪れ、カジノによる収入は2657億パタカ(3兆7000億円)にのぼる。歳入に占めるカジノの割合は8割を超えるという。

マカオのコタイ地区を訪れると、カジノが入ったIR(統合型リゾート)の巨大施設がいくつも立ち並んでいる。パリやヴェネチアなど、それぞれテーマを持っていて、豪華な建物を見ながらそぞろ歩きをするのも楽しい。

ヴェネチアがテーマ

IRが多くあるコタイ地区は、その多くが埋め立て地だ。もともと2.28平方キロメートルしかなかった地区が、埋め立てによって現在は6平方キロメートルと3倍近くに広がった。そうして新たにできた土地に、マカオ政府主導で都市計画が進められているため、巨大施設が次々に誕生しているという。

カジノの施設数はマカオ全域で40以上。6000超のテーブル数、1万5000台のスロットで、24時間遊ぶことができる。コタイには10のカジノ施設が存在しているが、街中には建設中の場所がいくつも見られ、さらに拡大中だ。

ただ、マカオが観光客を呼び寄せる理由は、今やカジノだけではなくなっている。ホテル「JWマリオット」では、すでに宿泊客のおよそ5割がカジノ以外を目的として滞在しているという。

宿泊客へのおもてなしは余念がない

カジノ以外を目的とした滞在者の急増

確かに街を歩くと、家族連れや若いカップル、女性グループなどをよく見かける。マカオ市内のホテルやIR施設を見せてもらうと魅力的なアトラクションが多く、無料で楽しめるエンターテインメントも数多く存在している。

例えば、2018年2月にオープンしたホテル「MGMコタイ」では300点以上のアート作品が展示されていて、誰でも無料で見ることができる。清朝の皇帝が所有していた300枚の絨毯のうち28枚がこのホテルにあるそうで、乾隆帝の部屋にあった「隆翔九天」と名付けられた絨毯は、金糸が大量に使われていて実に見事だった。

担当者に購入金額を聞いてみたが、「それはすみません」と苦笑いされた。

乾隆帝の部屋にあった絨毯「隆翔九天」

そのほかのホテルやIR施設には、全長575メートルの流れるプールや、130メートルの高さにある観覧車など、子どもでも楽しめる見どころが多い。

全長575メートルの流れるプール
縁起が良いとされる「8」の字から風景を見る観覧車

治安が非常に良いため、夜はライトアップを楽しみながら散歩することもできる。音楽と光に合わせて動く巨大な噴水ショーも無料だ。

パリがテーマ。エッフェル塔もある。
噴水は音楽と光に合わせて動く。ゴンドラも無料。

実は、マカオのカジノは必ずしもずっと上り調子であったわけではない。2014年から2016年にかけてのカジノ市場は、26か月連続の前年同月比マイナスと低迷。2015年にはGDPが20.3%減少する状態となった。

原因は中国の景気減速と、習近平指導部による徹底した汚職対策で、党や国有企業の幹部がカジノから足が遠のいたためと言われている。

しかし、カジノのライトユーザーやカジノ目的以外の観光客も呼び込むことでV字回復を果たし、今では連続成長を続けている。

10年以上前は「香港観光のついでにマカオに寄る」という人が多かったが、今は逆に「マカオ観光のついでに香港に寄る」という人が増えているという。それも納得できるほど魅力を増し続けているマカオ。新交通システムや国際会議場の建設なども計画されていて、さらに観光客やビジネス客を誘致することになりそうだ。

美食もマカオの魅力。金魚の形のエビ餃子。

(取材協力:マカオ政府観光局 http://en.macaotourism.gov.mo /キャセイパシフィック航空)

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