大事なのは「謙虚さ」…盆栽の達人に学ぶ“流行に流されない生き方”【長野発】

カテゴリ:暮らし

  • 日本で唯一の女性「盆栽技能保持者」の山本千城子さん
  • 長野県須坂市で150年続く「松山園」の4代目園主
  • 山本さん曰く「盆栽は自分の鏡…手入れを怠ると痛む」

日で唯一の「盆栽技能保持者」

昔は年配の男性の趣味といったイメージだった「盆栽」だが今や海外でも人気。
女性では、ただ1人という資格を持つ長野県須坂市の盆栽師はそうした海外の愛好家にも奥深い盆栽の世界を伝えている。

150年続く長野県須坂市の盆栽園の「松山園」。
園内には樹齢500年以上の「真柏」。鮮やかに色付いた「カエデ」。芸術作品とも言える数々の盆栽が並んでいる。 初心者向けの500円程度のものから上級者やコレクターが愛でる数百万円のものと様々だ。

松山園の4代目園主 山本千城子さんには「ある」こだわりがある。

松山園  山本千城子園主:
「やわらかい細い、しゃれた枝を作りたい、いかに味わいのある細い枝を作るか、植物は太らせるのは楽、
“じゅくじゅく”と全体が動くのが、その味わいが捨てがたいところがある」

盆栽の世界では、現在の主流は早く太く熟成させる手法。しかし山本さんは肥料などを工夫し可能な限り小さく育てている。

松山園  山本千城子園主:
「若いときは大きいのをどんどん売ったりしていたけど、ある年齢から楽しめる盆栽がいいなと思い始めた。玄関とか床の間とかに置き、そうやってお客さんを迎える。そのためには持てる大きさが最高にいい大きさだと分った」

山本さんは150年続く松山園 4代目。
子どものころから家業を手伝い園芸高校を卒業後、本格的にこの世界に入った。
芽つみや剪定といった技能、病害虫の防除など専門的な知識を身につけた「盆栽技能保持者」では日本で唯一の女性で、数々の賞も受賞している。山本さんは盆栽と向き合う上で大事なのは「謙虚さ」だと話します。

松山園 山本千城子園主:
「季節の変わり目が楽しめる、1日ごとに変わっていく、そこの魅力はいいけれど盆栽は自分の鏡なので、きちんと手入れをしないと痛む、謙虚にしないといけない、ずくだして(長野県の方言:やる気を出して)やらないといけない、そこの繰り返し」

盆栽歴50年でも1年生

山本さんは「盆栽教室」も開いている。この日は愛好家7人が参加していた。
松山園 山本千城子園主:
「これは赤松の種まいて3年目、小さいときに我慢して小さい鉢で育てるのが重要」
「一番気をつけないといけないのは、若い根っこは取る、古い根っこにして植えつける、
ずっと我慢する、植え替えしない、肥料もあまりあげない、上にいっちゃう」

枝ぶりのよさ、全体の味わい・・・年々、成長する盆栽に終わりはない。

盆栽教室の生徒(盆栽歴50年)
「40~50年やっているけど1年生 盆栽は勉強だね、これって言うのがないから、今年こうやって来年形変えるのがいい」

盆栽教室の生徒(盆栽歴12年)
「木と付き合っていると木も少しずつ変わってくるから面白い」

日豪を繋ぐ“BONSAI”の絆

盆栽の魅力は海外にも伝わり愛好家が増えている。
この日、到着したバスから降りてきたのはオーストラリアからやってきたBONSAI愛好家6人。
京都や奈良を観光したあと大好きなBONSAIを見に松山園に立ち寄った。

本場の「盆栽」を見てオーストラリアの愛好家たちも大興奮!到着するなり園内のBONSAIに興味深々!

「ビューティフル、ワンダフル」
「とても美しくていくつか家に持って帰りたいくらいだよ、それは無理だけど」
「私の盆栽とは比べ物にならないわ、この実がこんなにいい状態で保てるなんて信じられない」

今回、オーストラリアの盆栽愛好家を松山園を紹介したのはオーストラリアで盆栽教室を開くベネットめぐみさん。彼女は、およそ40年にわたり盆栽文化を広めた功績から2007年、日本の外務大臣から表彰されている。山本さんとベネットさんは古くから交友関係がある。

ベネットめぐみさん:
「オーストラリアの盆栽はすごい人気がある。オーストラリアの人たちはガーデニングが好き、その延長のように、こだわらず、日本のようにいい盆栽というより、自分で作って楽んでいる」

山本さんが手がける小さい盆栽は、乾燥したオーストラリアの気候では育てるのが難しい。しかし鉢を2重にしたり古い根を残したりすればうまく育つそうで、オーストラリアからの愛好家は、植え替えの仕方などを体験した。

松山園 山本千城子園主:
「みなさん、すごく熱心で楽しんでいただけているなと…こんなに小さい盆栽を作れるんだって覚えてもらえればうれしい」
人生の大半を盆栽と過ごしてきた山本さん。盆栽が、多くの人の暮らしに彩りを与えるものになってほしいと願っている。

 

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