これも外交戦術?トランプ大統領とペンス副大統領が「悪い警官」と「良い警官」を演じ分け中国へ揺さぶりか

カテゴリ:ワールド

  • ペンス米副大統領の中国に対する厳しい批判が両国の対立を煽ったか
  • 米紙「トランプ大統領はペンス副大統領の忠誠度に疑問を表明」
  • 今月末のG20でトランプ大統領はどんな警官を演じるのか?

トランプとペンスの不思議な関係

APEC首脳会議の記念撮影に臨む首脳ら

パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、首脳宣言を出せないという異例の事態となった。米中の対立からと言われるが、中でもペンス米副大統領の中国に対する厳しい批判が両国の対立を煽ったと言われる。米国は中国と新たな冷戦を始めたのだろうか。

同じ頃ホワイトハウスではトランプ大統領が中国側から貿易問題で妥協案を送ってきたことを明らかにし「中国は合意を望んでおり、追加制裁措置は不要かもしれない」と楽観的に語っている。

米国の正副大統領が全く異なった態度を示しているわけで、ニューヨーク・タイムズ紙電子版は16日(現地時間)複数のホワイトハウス筋を引用して「トランプ大統領はペンス副大統領の忠誠度に疑問を表明しており、2020年の再選選挙では別の副大統領候補を指名するかもしれない」と伝えた。

「良い警官」と「悪い警官」

「ニューヨーク・タイムズはいつものようにインチキニュースを流した。彼らは情報筋をでっち上げて私には聞こうともしない。その話なら誰よりもよく知っているのに」
トランプ大統領はツイッターでこう反論した。

政権内に亀裂があるのかどうかは定かではないが、それは中国側を惑わすための外交戦術なのだという指摘も出てきた。

「マイク・ペンスが中国に対して『悪い警官』を演ずるのはなぜか」
米国問題の分析に定評ある中東アブダビのニュースサイト「ザ・ナショナル」がこういう見出しの記事を掲載していた。

「悪い警官」とは、容疑者の取り調べの際に高圧的にのぞみ自白を引き出そうとする警官で、次に「良い警官」が入れ替わり同情的に容疑者に接して自白を得るという取り調べ方法のことを言う言葉だ。「ザ・ナショナル」はペンス副大統領が「悪い警官」トランプ大統領が「良い警官」を演じ分けて中国から妥協を引き出そうとしていると分析している。

あとは「良い警官」の演じ方次第

実は、ペンス副大統領は以前にも北朝鮮に対して「悪い警官」を演じたことがある。
「金正恩は叔父(張成沢元国防副委員長)を一万人の前で処刑した」

ペンス副大統領は今年初め金体制の排除をも示唆するような発言をしたが、この後トランプ大統領と金正恩委員長の首脳会談が実現したのは副大統領の「悪い警官」役が功を奏したからだとも考えられている。

今回の中国に対するペンス副大統領の「悪い警官」役も、とりあえず中国側から142項目の妥協案を引き出すのに成功したわけで、この後は「良い警官」の出来次第ということになる。

今月末に予定されているアルゼンチンでの20カ国・地域首脳会談(G20)で、トランプ大統領は習近平中国国家主席に対して「ペンスは厳しい奴だが、私がうまくまとめるからもう少し妥協してくれないか」とでも説得するのだろうか。

(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし)

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