消費増税での自動車「新税」めぐる攻防  燃費がいいのに「減税なし」?  

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  • 来年10月の消費増税では、自動車購入での新たな税のしくみが導入される
  • 「環境性能割」は、燃費がよいほど税負担が軽くなり、税率は0~3%
  • 買い控え対策での恩恵が、燃費性能のよい車では受けられない問題点が浮上

新たな税のしくみが「自動車」で導入される

来年10月の消費税増税で、 政府・与党が進める対策の柱の一つが 「自動車」の買い控えの緩和だ。
その税金の軽減は、来年度の税制改正での焦点となる。

現在、車を買う際には、「自動車取得税」という税が課されているが、 この税金は、消費税が増税されるのに伴い、なくなる。 代わって、燃費性能に応じて課税される 「環境性能割」という新たな税金のしくみが導入されることになっている。

燃費がよいほど税負担が軽い「環境性能割」

「環境性能割」は、燃費がよい車ほど税負担が軽くなるしくみだ。

一般の乗用車の場合、電気自動車やプラグインハイブリッド車をはじめ燃費性能レベルが最も高い車の0%から、燃費が悪い車の3%まで、1%刻みの4段階で設定される。 最新の2020年度燃費基準の達成度合に、税率を具体的にどう位置付けるかは、 この先の議論で決まる見通しだ。 いまの自動車取得税にもエコカー減税はあるが、 環境性能割では、対象基準を見直して、 燃費のよい車の取得をさらに後押しすることになっている。

「環境性能割」の一時凍結・減税案を検討

消費税増税での車の買い控え対策では、購入時の税金である「環境性能割」を、 一時的に凍結もしくは減税するかが大きな論点だ。

減税幅については、3%以上にすると、消費税率引き上げ幅の2%を超え、 減税分が増税分を上回ってしまうため、 最大で2%にとどめる案を含め、検討材料に上がっている。

減税されても「燃費のいい車」は恩恵がない?

こうしたなか、浮かび上がってきたのがある矛盾だ。

「環境性能割」で仮に2%分が減税された場合でも、 もともと税率0%で非課税となっている電気・プラグインハイブリッド車や燃費性能が優秀な車では、減税の恩恵を受けられない。

その反面、燃費が悪く3%のはずだった車の税率は1%にまで減り、2%のはずだった車は電気自動車と同じ0%に引き下がる。 燃費が悪い車で、消費税増税分が打ち消される形になるのに、 燃費に優れた車では、減免するすべがないケースが出てくるのだ。

このため、「環境性能割」の減税により、消費落ち込み対策を行えば、 燃費のよくない車を購入する人にメリットが大きくなって、 「環境性能割」が目指すはずのエコカー普及がかえって進まなくなる可能性がある。これは、地球温暖化防止の流れにも逆行する。

「ユーザーの負担が重い」VS「税収は道路整備に使われる」

自動車をめぐっては、購入・保有・走行の段階で税が課され、ガソリン車の場合は、消費税以外に、車体や燃料に4種類の税金がかかっている。

業界団体や経済産業省は「ユーザーの負担が重すぎる」として、 購入段階の「環境性能割」の凍結や減税だけでなく、 保有段階で排気量に応じてかかる「自動車税」の税率引き下げも 求めている。

一方で、こうした自動車の税金は、地方自治体の財源となっていて、 地方財政を所管する総務省は、 「道路整備などに使われ、ユーザーの利益になっている」として、恒久的な税収減には反対の立場だ。

「クルマ離れ」のなか、効果的な対策を打ち出せるか

「環境性能割」で減税を行った場合、エコカーを購入する人に恩恵が及ばないという問題を解決するには、補助金などで購入者を支援する方法がある。しかし、減税に加えて補助金も支給となれば、手当てしなくてはならない財源の規模も膨らむ。

若年層を中心にクルマ離れが進むなか、 消費下支えに、財源に見合うだけの効きめをもたらすことができるのか。

政府・与党での議論は、年末に向け大詰めを迎えるが、制度設計にあたっては、政策効果の検討が十分に尽くされる必要がある。

(執筆:フジテレビ 解説委員 智田裕一)

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