航空会社で相次ぐ“飲酒トラブル”…「飲酒ルール」の驚きの実態とは?

  • 相次ぐパイロット飲酒問題受けJAL・ANAが再発防止策発表
  • アルコール検査器の変更・飲酒量の明文化など
  • 国の規定でアルコール検査が義務化されていない現状も 

大手航空会社で相次ぐ“飲酒トラブル”

16日午前10時過ぎ、日本航空と全日空の幹部がわずか15分違いで国土交通省の同じ部屋を訪れ、相次ぐ“飲酒トラブル”を謝罪した。

日本航空では10月、乗務直前に規定値の9倍以上のアルコールが検出された副操縦士(42)がイギリス警察に逮捕され、現在も身柄を拘束されている。
一方、全日空では同じく10月、沖縄県で子会社の機長(40代)が乗務前日に飲酒し、翌日に体調不良で乗務できなくなり5便が遅れるなどの“飲酒トラブル”があった。

これらを受け、2社は16日、ともに再発防止策などを提出したが、飲酒検査の“あきれた実態”も浮かび上がった。

アルコール検査に“抜け穴”

日本航空の副操縦士の過剰飲酒は、乗務直前に送迎バスの運転手が「酒のにおいに気付いた」ことで発覚。
しかし、その前に受けていた日本航空のアルコール検査はクリアしていたという。

検査はどのように行われたのか。
当時、実際に検査に立ち会った機長が再現したビデオが公開された。

再現ビデオによると、副操縦士が検査器に息を吹きかける様子を、同じ部屋で“監視”しなければならないはずの総括機長は見ていないことが判明。
その後、副操縦士は検査器を見せ「グリーン(OK)です」と申告。副操縦士は機長が見ていない隙をつき、不正に検査をすり抜けたとみられる。

日本航空の赤坂祐二社長は「(息を)吹きかける量や角度を微妙に調整すると、吹いているにもかかわらずアルコールを検知しないということが発生しうると判明している」とコメント。

ずさんな検査の実態が浮き彫りとなったことを受け、日本航空ではストローで息を吹き込むタイプの検査器を国内外の全ての空港で導入することを決定した。

この「ストロータイプ」の検査器は、カチッとロック音がするまで強く息を吹き込まないとエラー表示が出るため、不正に検査をくぐり抜けることが難しいという。
国内の空港ではこの検査方法を去年8月に導入しているが、すでに基準を超えたケースが19件発覚し、このうち12便で出発時間が遅れているという。

全日空でも同様のストロータイプの検査器を国内外で導入することを決定。
平子裕志社長は「運航の責任を負う“ザ・ラストマン”の気持ちを持って運航しているが、決して1人の力量に頼るものではなく、組織的にこういった問題を解決していく」と語った。

「飲酒」自体へのルールは?

相次ぐ飲酒トラブルを受け、再発防止策を発表した2社。
他にも、検査時にはパイロット以外の第三者を必ず立ち会わせることを決定した。

では、そもそもの「飲酒」へのルールはどうなっているのか。

日本航空の場合は「乗務開始の24時間前から飲酒を禁止」。
全日空では「乗務する12時間前までに飲むことができる飲酒量を明文化する」としている。
この「12時間前までに可能な飲酒量」は、ビールであれば500ml缶を2本まで、ワインであれば小グラス400mlを4杯までだという。

さらに、日本航空では、飲酒による遅延が発生した場合、これまでは「乗務員の体調不良」と説明するようになっていたが、今後は機内アナウンスやホームページで「アルコールに起因する乗員交代」という内容で乗客らに説明するという。

「人が息をチェックするだけ」の航空会社も…

一方で、その他の航空会社のアルコール検査方法にはばらつきがあるという。
その理由は、国の規定で「乗務開始前8時間以内の飲酒は禁止」となっているものの、検査については義務付けられておらず、またアルコール濃度についても明確な基準値がないこと
そのため、以下の航空会社ではアルコール感知器を使った検査が義務付けられていないのだという。

・ジェットスター・ジャパン
・アイベックスエアラインズ
・日本貨物航空
・新中央航空
・東邦航空
・オリエンタルエアブリッジ
・天草エアライン


これらの航空会社では、対人同士で息を「ハー」と吹きかける程度で飲酒のチェックがされているのが現状だという。

石井国土交通大臣は諸外国の基準を踏まえて基準の強化を図るとしており、年内に新しい飲酒のルール案をまとめる方針だという。
空の安全を守るルールが今、真に求められている。


(「プライムニュース イブニング」11月16日放送分より)

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