「私はロボットではありません」画像選択の難易度が高すぎない? 理由を専門家に聞いた

カテゴリ:暮らし

  • 「私はロボットではありません」画像選択の難易度についてのツイートに共感多数
  • 画像選択は、ボットがWEBページを不正に利用することを防ぐ技術
  • 「もはや画像選択では、人間と機械を判別できなくなってきている」

インターネットのサイトにログインする時に表示される「私はロボットではありません」と、その後の「横断歩道」や「信号機」などの画像選択。

「人間である」ことを証明するために、慎重に、慎重に、画像を選択した経験は誰しもあるだろう。
そんな画像選択に関するツイートが9000以上リツイートされ、話題になっている。

グーグル

投稿者は、「信号機」と「道路標識」の選択でミスすることが多いようで、「難易度高すぎないか?」と嘆いている。

最近、目にすることが多くなった「私はロボットではありません」の画像選択における難易度の高さについて、SNS上では、「めっちゃわかる」「私も早く人間になりたい」など、共感する声が上がっている。

そもそも、なぜ画像選択が必要なのか?また、なぜ難易度が高く設定されているのか?
情報セキュリティが専門の静岡大学創造科学技術大学院・西垣正勝教授に話を聞いた。

ボットがWEBページを不正に利用することを防ぐ技術

グーグル

――「私はロボットでありません」と表示される、“アレ”はいったい何?

WEBページの目的は、通常、ユーザー(人間)へのサービス提供ですが、実は、インターネット上にはボット(人間のふりをしてWEBページを利用する自動プログラム)もたくさん存在しています。

ボットがWEBページを利用する理由は様々ですが、多くの場合は、不正者が悪い目的でボットプログラムを作成して動かしています。

このため、WEBページ運用者(サービス提供者)側は、「ボットが自分のWEBページを不正に利用することを避けたい」というニーズを持っています。

このニーズを達成するために利用されている技術が「CAPTCHA(Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart)」であり、「reCAPTCHA」はGoogleが使用している「CAPTCHA」の名称です。

難易度を高めないと機械に突破されてしまう

――何のために画像の選択をさせる?

「CAPTCHA」の目的は人間と機械(自動プログラム)の判別です。

これを達成するために、「人間には容易に解けるが、機械には解くことが難しい問題」を出題し、「その問題が解けたら人間、解けなければ機械」という形で判断を下します。

画像の認識や選択は、(一昔前までは)機械にとっては難しい問題でした。
このため、これまで様々な「CAPTCHA」の中で画像選択の問題が採用されてきました。


――選択しづらい画像が多い。難易度を高めるのには何か理由があるの?

昨今のAI技術の進化によって、機械の画像認識・識別能力が飛躍的に発展してきています。

このため、問題を難しくしないと、機械にも「CAPTCHA」が突破されてしまいます。
したがって、問題の難易度を高める必要があるのです。

――画像選択には「自動車」「信号機」「道路標識」など、いくつかパターンがある。これはなぜ?

「CAPTCHA」の問題がいつも同じだと、あらかじめ機械にその回答を覚えさせておけば、機械が「CAPTCHA」を解くことができてしまいます。

これを防ぐために、バラエティー豊富な問題を用いる必要があるのです。

バージョンアップによって画像選択は必要なくなる

――グーグルは10月30日、バージョンアップした「reCAPTCHA」を公開した。これによって画像選択は必要なくなる?

多くの場合で不要になると思われます。


――画像選択が必要なくなる理由は?

先ほど、「昨今のAI技術の進化によって、機械の画像認識・識別能力が飛躍的に発展してきています」と述べましたが、実は、最近のAIの画像認識・識別能力は、ある意味、すでに人間を超えた領域に達しています。

このため、もはや画像選択では人間と機械を判別できなくなってきています。

そこでGoogleは、「WEBページ閲覧の時点で問題を解かせる」というタイプのCAPTCHAから、「ユーザーがWEBページを閲覧・利用する際の様々な情報を使って、その様子から人間であるか否かを判定する」というタイプのCAPTCHAへと、その様式を変更しました。

これが、今回Googleが発表した「reCAPTCHA v3」です。

「reCAPTCHA v3」では、「画像を選択する」という、ある特定の行為ではなく、ユーザーのいろいろな情報を使って当該ユーザーの「人間らしさ」を数値化します。
このため、画像選択が不要になったのです。

なお、「reCAPTCHA v3」によって「人間らしくない」と判断された場合には、2段階目の認証として画像選択問題を出題するという運用のされ方もあり得ると思います。

1つ前の質問に対する私の回答が、「完全に不要になる」ではなく、「多くの場合で不要になる」となっていた理由が、これです。

難易度の高さが話題になっている、「私はロボットではありません」の画像選択。
今後は、多くの場合で不要になりそうで、「人間でありたい…」と頭を悩ませることは少なくなりそうだ。