老舗寿司「久兵衛」がホテルオークラ提訴 移転で「格落ち」主張…勝算は?

  • 寿司の名店「久兵衛」が入店するホテルオークラを提訴
  • 久兵衛はホテル建て替え後の入店場所について「格落ち」「ありえない仕打ち」
  • 老舗同士が争う裁判の行方は?

「ありえない仕打ち」と久兵衛がホテルオークラを提訴

創業は1935年。83年の歴史を誇る寿司の名店「久兵衛」。
本店は東京・銀座。美食家・北大路魯山人が愛し、久兵衛のために焼いた器が今も店で使われる。
帯のように海苔を巻き、ウニやイクラを載せる軍艦巻きは久兵衛が発祥とされている。

この久兵衛が、入店するホテルオークラを提訴した。
その理由は、訴状によると、「明らかに格落ちした立地」「長年の貢献に対しありえない仕打ち」という異例のものだった。

建て替え後の出店場所をめぐり、請求した損害賠償の額は1000万円。
両者に一体何があったのか。

ともにホテル寿司の文化を作ってきたが…

現在、建て替え工事が行われ、来年秋に装いを新たに開業するホテルオークラ。

かつてイギリスのダイアナ元妃も訪れるなど、歴史を飾る外交や政治の舞台として、国内外のVIPをもてなしてきた。

ホテルオークラと寿司の名店・久兵衛が出会ったのは、東京オリンピック景気に沸く1964年。
久兵衛側の訴状では、ホテル側の要請で出店が実現したとし、「オークラの寿司と言えば『久兵衛』という存在だった」としている。

日米首脳の会談の場として使われるなど、日本のおもてなしを代表する“一大ブランド”を築き上げてきたホテルオークラと久兵衛。

両者の関係について、ホテル評論家の瀧澤信秋氏は、「久兵衛とオークラがホテル寿司という日本の文化を作った」と語る。

「格をおとしめられた」…久兵衛がこだわった出店場所

久兵衛は、オークラが経営する高級和食店「山里」と同じ本館のメインエリアで50年以上にわたって経営してきた。

その久兵衛がこだわったのが、ホテル建て替え後の出店場所の格だ。

店舗の位置が主要エリアから遠く離れた“片隅”を指定され、格を著しくおとしめられた」(訴状より)

訴状によると、来年開業する新たなオークラに2棟建つタワーのうち、久兵衛が入るのは「山里」が入る新たな本館タワーとは別の棟。
しかも、出店先はショッピングアーケード街の片隅で、事前の協議などが一切なく、ホテル側は一方的に指定してきたという。

指定したアーケードは格落ちであり、他の高級ホテルでは、アーケード街を設けていても、ファッションや宝飾、雑貨や本屋、薬局などの物販店がほとんどを占め、医院や歯科が置かれることすらある。
高級飲食店が出店するような場所ではない」(訴状より)

さらに、新たな本館と久兵衛が入るタワーとは、宿泊料金にも大きな違いがあるという。

2つの老舗が争う裁判の行方は?

出店場所をめぐり争うことになった2つの老舗。
フジテレビの取材に、両社はそれぞれ「訴訟中につき、コメントは差し控える」としている。

久兵衛側に勝算はあるのか。不動産トラブルに詳しい2人の弁護士に聞いた。

阿部栄一郎弁護士(丸の内ソレイユ法律事務所):
今回のケースのように、配置、出店の場所というのは、事件としては比較的珍しいのではないかと思う。
確定的な場所の約束合意は形成されてない可能性が高いのではないかと思う。
となると、久兵衛の方が少し部が悪いのではないかと考えている。

久兵衛側の勝ち目は薄いだろうと予想する阿部弁護士。
一方、坂尾陽弁護士は、訴訟の狙いは別にあるのではないかと指摘した。

坂尾陽弁護士(アイシア法律事務所):
裁判の中で話し合いを行って落としどころを探るという狙いがあるのではないかと思う。
従来と同様に山里の中で営業を行うと。そういう場所に変えてくれというのがベストの解決かなと思う。

(「プライムニュース イブニング」11月14日放送より)

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