トランプ大統領はあと2年?6年?それが問題だ

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  • 下院は失っても上院は盤石ならば大統領は勝者?
  • 再選の可能性をどう見るかで付き合い方が変わる 
  • トランプ2.0は日本への厳しさもパワーアップ

2020年トランプ再選の見極め

6日投開票が行われたアメリカ中間選挙で、トランプ大統領の与党・共和党は、連邦議会下院は民主党に奪還されたが、上院では現状のギリギリ過半数から議席数をさらに上積みした。大統領が7日の記者会見で述べた「勝利だっ!」という強弁も、根拠がないわけではない。

この選挙結果について各国のとりあえずの反応は、例えば菅官房長官は「日米同盟は揺るぎない」。中国外務省の華春えい報道官「お互いに尊重し、意見の相違を適切にコントロールすることを望む」。ロシアのペスコフ報道官「米ロ関係の正常化について明るい見通しは見えない」などとコメントしている。

当たり障りのない反応の裏側で、各国政府が中間選挙を分析し必死に見極めようとしていること。それは、トランプ大統領が2020年に再選される可能性はどれだけあるのか?という一点に尽きる。その見極め次第で、トランプ大統領とはあと2年の付き合いと考えるか、それとも6年の長きを覚悟することになる。2年と6年では付き合い方も根底から変わってくる。

あるいは2年間は判断を保留し、実際に再選となってからその先の4年間を考えるか。

2年か6年か 各国の付き合い方は?

例えば日本。

トランプ大統領の対日貿易赤字に対する異常な敵意と赤字削減圧力にはうんざりな訳だが、それも2年と思えば我慢も続くし、得意の時間稼ぎ先延ばし作戦でいけるかもしれない。

しかし、あと6年となるととても無理だ。早いうちに傷が小さくて済む取引に応じる方が上策という判断があっておかしくない。安倍総理の後継者たちからすれば、シンゾー・ドナルドの間で決着しておいてほしいに違いない。

北朝鮮の金正恩委員長にとっても同じだろう。

あと2年というのなら、2回くらい首脳会談をやってみせ、ICBMの発射も核実験も停止しておけば、核武力は温存したまま非核化も掛け声だけでやり過ごせるというものだ。しかし、6年となるとごまかし続けるのはなかなか大変だ。いずれかのタイミングで譲歩が必要になるかもしれない。どうせなら2020年大統領選挙に間に合うタイミングで花を持たせるか?なんてことを考えたとしても不思議ではない。

5日に発表されたポンペオ国務長官と金英哲朝鮮労働党副委員長のニューヨーク会談が、中間選挙翌日の7日に、唐突に延期と発表されたのも、北朝鮮側が中間選挙の分析をじっくり行う必要性を感じたからかもしれない。

そして中国の習近平国家主席。

アメリカ側からは中国に対する強硬姿勢はトランプ政権後も続くという声が高まっているが、それはある種の宣伝戦でもある。現実にはトランプ大統領とともに対中強硬路線の旗頭ピーター・ナヴァロ補佐官らが2年で去ってくれれば、米中関係が別の局面に入るよう仕向けることは可能だと考えているだろう。

中国政府は2年前にトランプ当選を想定すらしておらず、慌てて情報収集に走り回ったという。大恥をかいた反省からトランプ再選の可否については絶対に外せない。今回は分析に一段と力が入っていることだろう。

トランプ2.0は日本への厳しさもパワーアップ

そのトランプ大統領。下院は野党民主党の手に渡ってしまうが、それでも「勝利だ」とするトランプ2.0がこれまでのやり方を変える理由は何もない。2020年の大統領再選に向けてやることは、パワーアップして「アメリカ・ファースト」を徹底し、2016年にトランプ当選を実現させた支持層を駆り立て沸騰させ続けることだ。

大統領が望む法案・予算案が議会で成立する可能性はほぼゼロなので、大統領令を駆使してみせる。そして大統領権限で進められる外交や貿易交渉で支持層に一層アピールしようとすることは目に見えている。

日本に対しても二国間交渉でアメリカに有利な貿易合意を押し付けようとかかってくる。年が明けて1月半ばにも始まる日米物品貿易交渉では、とりわけ農業分野で早急に成果をだそうとするだろう。米中貿易戦争で畜産農家・穀物農家には出荷量・出荷額の大幅減という悪影響が出ているし、TPP11の年内発効、日EUのEPAも来年2月に発効見通しとなり、米農業界は大いに焦っているに違いないからだ。

11月末にブエノスアイレスで開かれるG20首脳会議には安倍総理とトランプ大統領が参加する。それに合わせて中間選挙後初めての日米首脳会談が行われる可能性が高い。その席にトランプ大統領は、中間選挙の敗者ではなくて勝者として臨み、厳しい対日要求を携えてくるだろう。一方の日本側は、大統領の強さ弱さをどのように見極めて相対することになるのだろうか。

シンゾー・ドナルドの第二幕の始まりだ。

(執筆:フジテレビ 解説委員 風間晋)