「そのメニュー、50点!」 子どもが描くごはんの絵から“栄養バランス”を採点する動画に賛否両論?

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  • 子どもの描いた「晩ご飯」の絵を栄養バランスで採点する動画が話題 
  • 食事量は十分、栄養は足りない「新型栄養失調」の広がりが背景に
  • ハウス食品「食事の“色”を改めて意識して欲しい」

保護者はヒヤリ?子どもの栄養バランスチェック

育ちざかりの子どもを持つ親ならば、毎日の悩みのタネだろう「食事」。
お弁当なども含め「彩りは?」「栄養バランスは大丈夫?」と、いろいろ考えながら日々の食事を作っているに違いない。

そんな中、保護者たちにとって“ショッキング”と言っても過言ではない、子どものごはん事情に関する動画が登場した。
それが、ハウス食品株式会社が10月29日に公開した『満点栄養教室』だ。 

動画は、子どもたちに夕食の絵を描いてもらう企画から始まる。
カレーや焼き魚、親子丼などなど、おいしそうな絵が勢ぞろいしたが…絵が貼られた教室に招かれた保護者たちは、いっせいに複雑な表情に。

たとえば、焼き鮭と思われる魚とごはんの絵には100点満点中「18点」など、それぞれ点数がつけられているのだが、実はこれ、絵の上手い下手ではなく、栄養バランスの評価なのだ。
 
自分の子どもが描いた絵の点数を見て「ちょっとショック…」と落ち込む人もいれば、「バランス悪い~!」と思わず笑いだす人も。

実はこの動画は、多くの子どもがリスクを抱えている「新型栄養失調」を防止しようというPR動画なのだ。


栄養失調というと、十分に食事がとれず痩せてしまうというイメージを持っている人も多いと思うが、この「新型栄養失調」は「隠れ栄養失調」とも呼ばれるもので、食事の量もカロリーも十分だが、その中身を見てみると必要な栄養素が足りていないというもの。

ハウス食品の調べによると、1日に必要な「鉄・カルシウム・食物繊維・ビタミン類」の量を、3日間のうち1日以下しか摂取できていない状態を「新型栄養失調のリスクあり」と定義して調査したところ、6~8歳の子どもの実に86%にこの「新型栄養失調」のリスクが見られたというのだ。( 2018年9月、25~49歳で6~8歳の子を持つ東京都在住の女性100人、web調査)

子どもたちが晩ご飯の食材をすべて描き切れているかということはさておき、今回の平均点は48.3点だった。たとえば、炊き込みごはんと味噌汁・焼き魚というメニューは37点
一見健康そうで何の問題もないのでは……と思えるが、この企画を監修した管理栄養士によると、ビタミンやカルシウムなどが不足しているため、副菜として野菜の小鉢をつけてほしい、とのこと。

動画では、肉や野菜・乳製品などがたっぷり摂れる「クリームシチュー」をおすすめして終わっている。クリームシチューとごはん・サラダだと91.5点、クリームシチューのみだと75.6点になるのだという。

動画内の保護者らの座談会では「子どもが好きなメニューを中心に食事を作ってしまう」「冷蔵庫にあるもので作ろうとすると、どうしても偏ってしまう」などの“食事の悩み”が語られた。

この動画は公開から2週間で56万回再生を記録(11月14日現在)。
SNSでは「もっと気を付けよう」という声の一方で、「バランスの良い食事を作っても、子どもが食べないこともあるのに」などのリアルな声や、そもそも親の料理に点数をつけるというPRの手法に疑問を呈する声も挙がっていた。

子どもの健康という、親が何より気にするデリケートな問題。
今回、なぜこのような動画を作ったのだろうか?ハウス食品グループの広報担当者にお聞きした。

絵から「食事の色」を意識してほしい

――「満点栄養教室」を作ったきっかけは?

「〇〇抜き」といった食事制限による偏った食事や、日常の忙しさから「〇〇だけ」といった簡易的な食事になってしまうことも多い今日において、いま改めて「食」や「栄養」について考えていただくきっかけになればという思いで制作いたしました。


――なぜ「子供の絵を採点する」という方法に?

厳密に栄養をバランスよく摂ろうとすると専門的な知識が必要になってしまいます。日常の家庭の食事の中で比較的簡単に栄養バランスを改善できる方法として、「赤」「緑」「黄」「黒」「白」など食事全体の色のバランスを意識する方法があります。絵という身近なモチーフを選ぶことで、色のバランスをより意識してもらうきっかけになればと企画いたしました。


――「タンパク質」や「ミネラル」など、一部の栄養について採点していないのはなぜ?

子どもたちにとっては、炭水化物・たんぱく質・脂質だけでなく、ビタミン・ミネラル・食物繊維といった栄養素をバランスよく摂ることが大切だと考えます。
管理栄養士監修のもと、新型栄養失調の子どもに不足しがちと言われている「鉄」「カルシウム」「ビタミンA・B1・B2・C」「食物繊維」 で算出しました。


栄養バランスを「色」で見る方法は、誰もが一度は家庭科の授業で習ったことがあるだろう。
今回、子どもたちの絵を採点するという方法を選んだのは、この「色」を改めて意識してほしいという思いからだという。

今回、調査の対象となった6~8歳の子どもは、小学校低学年にあたる。
一日一度は学校給食で栄養バランスばっちりの食事をとっているはずだが、それでも家庭の食事で「栄養失調」になってしまうのだろうか?


――家庭の食事が栄養失調の原因になってしまうことはある?

給食についての調査を実施しておりませんので、回答は控えさせていただきます。
当社としては、家庭で食べる際のバランスのよい食事のご提案をしていきたいと考えています。


――「子どもが食べてくれるよう、あえて好きなメニューにしている」という意見についてはどう捉えている?

お仕事や育児など多忙な日々の中で、十分な栄養価があり、かつ子どもたちが飽きないようにバリエーションある献立を考え、作ることは大変なことだと思います。
少しずつでも、好きなメニューが増えていくように、当社といたしましてもお子様が気に入っていただけるような商品開発やメニュー提案を進めて参ります。

ハンバーガーは鉄分OK。カルシウムが足りない?

――『満点栄養教室』を見た保護者・子どもたちに伝えたい一番のメッセージは?

「食」や「栄養」について考えていただくきっかけになればという思いでこの動画を制作いたしました。

栄養バランスの取れた食事の一助になればと考えております。ただ、厳密に「ビタミンを〇〇グラム摂取しよう」というのは困難です。そこで、栄養バランスのとれた食事をするヒントを動画やサイトの中でご紹介いたしました。

管理栄養士・旬菜料理家の伯母直美(うば・なおみ)先生から、「赤」「緑」「黄」「黒」「白」など食事全体の色のバランスを意識していただくことで、栄養バランスが整いやすい献立になるとの説明をいただいております。


「ごはん事情」には家庭それぞれの背景があり、保護者の意見も様々。
一部で議論を呼んだこの動画だが、けっして「家庭の食事が原因で子どもが不健康に…」と責めているわけではない。
また、この動画をきっかけに「新型栄養失調」というものを知った人もいるだろう。
食事はおいしく、楽しくが基本だが、たまに親子で「このメニューなら80点かな」などと採点してみることで、改めて食事の大切さに気付けるかもしれない。