「将来の夢は何?」ポイ捨てを楽しく防止する画期的な“ゴミ箱”に一票 

カテゴリ:暮らし

  • 粋なアイデアでゴミの分別を促進・ポイ捨てゼロに
  • 割り箸や串専用のゴミ箱を「将来の夢は?」というアンケート投票箱に
  • 作成したのはPTA役員「子供たちがゲーム感覚でゴミ捨てまで楽しめる」

 あなたはどこに“投票”? 子供から大人まで楽しめるゴミ箱

日本でもすっかり定着したハロウィーンだが、思い思いの仮装を楽しむ一方で、一部の若者たちの暴徒化とならんで問題となったのは、ゴミ問題だ。
翌日の路上には、飲み物の空き缶類や仮装の道具などが溢れ、ボランティアによって行われた清掃活動が注目された。

このように大勢が集まるイベントでは、発生したゴミが正しく分別されなかったり、会場内外にポイ捨てされることも少なくない。
その対策のひとつに、係員が来場者に分別を案内・指導する対面式のゴミ捨てブースがあるが、ハロウィーンの騒動も落ち着いた11月4日、東京都墨田区の柳島小学校で行われた祭りでは、ゴミのポイ捨てを防止し、分別を促すある画期的なゴミ箱が目撃された。

思わずゴミを捨てたくなってしまう仕掛けがあるというゴミ箱がこちら!




イスの上に置かれた段ボール箱。内部は縦4列、横6行に仕切られ、無数の木の棒が入れられている。
箱の縦列は「小学生男」「小学生女」「大人」「幼児」と年代に分けられていて、横には「社長になりたい」「先生になりたい」「スポーツ選手になりたい」「ユーチューバーになりたい」「警察官になりたい」「はたらきたくない」の文字が並んでいる。

実はこれ、食べ終わった割り箸や串専用のゴミ箱。
ゴミ箱を「将来なりたい職業」を問うアンケートの投票箱に見立ててゴミを“票”にすることで参加者の好奇心に働きかけ、割り箸と串を確実にこのゴミ箱に捨ててもらえるように誘導しているのだ。ゴミを持っていなくてもつい立ち止まってしまいそうだ。

ツイッターに写真を投稿したのは、ぽんた(@777_ponta)さん。
柳島小学校に通う5年生の娘さんと1年生の息子さんと一緒に「柳島まつり」に参加したお父さんだ。

アンケート形式のゴミ箱を発見して「よく考えついたな。面白いなぁ」と感心し、「分類にユーチューバーが入る時代なんだな」と感慨にふけっていると、息子さんは「ユーチューバーになりたい」に箸を投票!
息子の将来を案じたぽんたさんだったが、話を聞くと「本当は新幹線の運転手になりたいけど、分類にはなかったから入れた」ということが分かったという。
新たな職業に時代の変遷を感じるとともに、子供とのコミュニケーションのきっかけにもなったそうだ。

投稿はたちまち拡散され、4万超の“いいね”をつけたユーザーたちからは「ナイスアイデア大賞を差し上げたい!」「こういう想像力が世界を救う気がする」「食べ物をわざわざ買ってでも入れに行きたくなる」「『幼児になりたい』枠も作ってほしかった」といった賞賛のコメントが寄せられた。

なぜこのようなユニークなゴミ箱を設置することになったのか?
祭りの運営に携わり、アンケート形式ゴミ箱を作成した柳島小学校PTA役員の金子さんに話を聞いた。

「子供たちがゲーム感覚でゴミ捨てまで楽しめる」

ーーなぜアンケート形式のゴミ箱を設置することに?

「柳島まつり」は、小学校の児童や保護者、周辺地域の方々との交流を深めることを目的として、この時期に開催されているお祭りです。
小学生や敷地内にある幼稚園の園児たちのために、保護者がクラス単位で模擬店を開きます。

今回は4年ぶりの開催だったのですが、前回のお祭りでは、模擬店で出た焼きそばの割り箸やフランクフルトの串専用のゴミ箱として牛乳パックを活用しました。
しかし、そこへゴミを入れてくれる人はあまりいなかったので、参加者の興味を引くような何かいい案はないかとネットで調べました。
ある地域の商店街でのお祭りで、アンケート形式のゴミ箱を設置したという例を見つけて、これなら簡単に作れるし終わったら丸ごと捨てられるし、何より子供たちがゲーム感覚でゴミ捨てまで楽しむことができて、ぴったりだと思いました。


ーー設問を「将来の夢」にした理由は?

子供たちのためのお祭りなので、どんな設問にしたら楽しいかなと考えた結果です。
お祭りに一緒に来ている保護者や友達と、将来の夢の話で盛り上がれたら面白いのではないかと思いました。
ちなみに、アンケート形式ゴミ箱はもう1種類作っていて、少し離れた場所に置きました。
内容は、町内会のみなさん作の焼きそばや校長先生自ら売り子をしてくださったフランクフルトがどれくらい美味しかったかを聞くもので、選択肢は「お母さんの方が美味しい」「これくらいなら自分でも作れる」などです。

(画像提供:ぽんたさん)

どんな職業が人気だったのか気になるが、投稿写真を見ると、幼児に人気の警察官は大人では得票とならず、小学生は男の子がスポーツ選手と社長、女の子は先生とユーチューバーが票を集めた。
どの層でも「はたらきたくない」が一定数を獲得していることも興味深い。
残念ながら祭りの途中で雨が降ってきたため、集計する前にゴミ箱は片づけられてしまい、最終的な投票結果はわからなかったという。

ーー6つの選択肢の選出方法は?

実は、選択肢を考えてからゴミ箱を作ったのではなくて、ゴミ箱の仕切り用に地元の酒屋さんに譲っていただいた酒瓶の間仕切りのマス目に合わせて、6つの職業を設定していきました。
お祭りの準備作業中に他のPTA役員たちにも相談しながら、男女問わず子供たちが憧れるのではないかと思う職業を考えました。
私自身が小学生の頃のことを思い返しながら、「お金持ちになりたい」と思っていたから職業でいうと社長かな、という感じです。


ーー「はたらきたくない」だけ平仮名なのはなぜ?

「働く」という漢字は難しいので平仮名がいいかなと思ったのですが、一緒に参加した大人が読んでくれるから大丈夫だろうと他の選択肢には漢字を使いました。
なので深い理由はないのですが、結果的に本当に「はたらきたくない」のだなという脱力感が出せたような気がしています。
私の娘は「はたらきたくない」に投票したようです。


ーー児童や保護者たちの反応はどうだった?

子供たちは喜んで投票してくれていましたし、他の役員の方からは面白いねと声を掛けていただいたり、保護者の方もこうしてツイッターに投稿されるくらい大人にも楽しんでもらえてよかったです。

割り箸と串専用の他にも可燃・不燃のゴミ箱を設置したのですが、家庭ゴミと事業ゴミの仕分けの違いで、プラスチックのゴミは家庭では可燃ゴミになる一方、学校では不燃ゴミとして処理しているんです。
子供たちが混乱しないように「燃える」「燃えない」ではなく、「紙」「紙じゃない」という表記にして、とにかく小学生にわかりやすいように話し言葉を使うよう心掛けました。
「将来の夢」の投票箱も「紙じゃない」という表記も、子供たちが楽しみながら自主的にゴミを捨ててくれるといいなと思って考えたものなので、「面白かった。楽しかった」という感想を聞くことができて嬉しかったです。

可燃・不燃ゴミ箱もポップで明解(画像提供:ぽんたさん)

今回、画期的なアイデアによって「ポイ捨てをなくし分別ルールを順守する」という狙いは成功。
楽しいゴミ捨ては子供たちの記憶にも残り、この経験は今後の日常生活でも活かされることだろう。

「選択肢にも振り仮名をつけたり、幼児が投票しやすいように縦横の軸を逆にした方がよい」という意見がツイッター上に挙がっていたことを金子さんに伝えると、「パイプ椅子の上に置くので身長が低くても届くだろうと考えていたのですが、その方が親切ですね。ご指摘いただいたご意見は、来年の運営に活かすべく引き継ぎます」と答えてくれた。

ちなみに、アンケート形式ゴミ箱の作り方はとても簡単。
段ボールの蓋をL字に2辺切り取り、それを利用するなどして内部に仕切りを作り、残した2辺に投票者カテゴリと選択肢を書くだけだ。

以前にも、病院に設置された「真実の口」に思わず手を入れると自動で消毒液が噴射されて、インフルエンザ予防になるという仕掛けを紹介したが、自発的に「こうしたい」と思わせることが様々な問題を解決に導く近道なのかもしれない。