レトロゲーム機“復刻版”ブームも追い風! 「ゲームセンターCX」15周年イベントに1万人集結

  • レトロゲームをしているところを見るだけのイベントに1万人が集結
  • ゲーム業界では、レトロゲーム機“復刻版”を各社が続々発売
  • “復刻版”ブームのきっかけはこの番組?有野課長に聞いてみた

10月28日幕張メッセ。

シンガーソングライターの米津玄師さんが、大ヒットシングル「Lemon」を初披露した2daysライブが話題となったが、その隣の会場では、全く違う客層の熱気がほとばしるイベントが行われていた。

それが「ゲームセンターCX 15th感謝祭 有野の生挑戦 リベンジ七番勝負」だ。会場に集まった観客は約1万人!

最近ではeスポーツが日本でも話題になってきているとはいえ、いわばゲームをしているところを見るだけのイベントにこれだけの人数が集まるとは驚きだ。

 

レトロゲームをひたすらプレイ

「ゲームセンターCX」は、2003年11月にスタートしたフジテレビCS放送で放送中の人気ゲームバラエティ。

よゐこの有野晋哉さん(番組では通称“有野課長”)が、ファミリーコンピュータ(1983年発売)などのレトロゲームをひたすらプレイし続け、エンディングを目指す「有野の挑戦」をメインとした番組だ。
ゲーム自体もそうだが、家で友達のゲームを後ろで見ているような懐かしい感覚が話題となり、番組DVDの売り上げは累計65万セットを突破している。
ゲームをプレイしながら自分で実況する「ゲーム実況」は、今YouTubeの有力コンテンツになっているが、この番組がベースになったとも言われている。

番組の15周年記念として開催された過去最大イベントの会場には、家族連れの姿も見られたが、やはり“ファミコン世代”の30~40代の男性が多かった。中には、有野課長の作業着のコスプレで来ている人もちらほら。
イベント開始前の関連グッズ売り場には長蛇の列ができ、次々と「SOLD OUT」の文字が並び、人気のほどが伺える。

会場で番組の魅力を聞いてみると、「ゲーマーほど上手くないがあきらめないところ」(20代男性)、「プレーヤーとしてはうまくないがミラクルを起こすところ。ダメなところも面白い」(40代女性)と、ゲームの腕前の“丁度よさ”が自分の子供の頃の体験と重ねられて感情移入しやすいこともクセになる秘密のようだ。


「思ったより多くて緊張している」

いよいよイベントがスタート!
ド派手な電飾付き自転車で登場した有野課長は、ステージに上がると「思ったより多くて緊張している」と笑いを誘う。

過去に番組でプレイし挑戦失敗に終わったソフトに再び挑むという、今回の「リベンジ七番勝負」。
「パンチアウト!!」(1987年ファミコン版発売)や「スーパーマリオブラザーズ2」(1986年ファミコン版発売)など、懐かしの7つのソフトが並ぶが、果たして約1万人の観客が見つめる中、ミラクルを起こすことができるのか。

約1万人が見つめる中でのゲーム…

「有野の挑戦」リベンジが始まった。

ボクシングゲーム「パンチアウト!!」では、観客が敵の動きを把握しているのか、一挙手一投足に合わせての大歓声。
1万人が見守るゲームというのは筆者も初めてだったが、失敗したときの「あーっ」という悲鳴は地鳴りのようだし、「頑張れ!」という声援は格闘技観戦のようでもあった。

スタッフも出演者として登場するこの番組、ピンチにはADが時々助っ人に入ったり、天の声と軽妙な掛け合いをしたりしてイベントは進んでいく。
しかし、案の定、ファンの間で「課長クオリティ」と言われる、誰もが昔経験した“あるある”な失敗が繰り返される…ヘタクソだからこそ観客は息を詰めて成り行きを見守り、その分うまくいった時の達成感は大きいのだ。

レトロゲーム機“復刻版”を各社が続々発売

ところで、ゲーム業界に目を向けてみると、2003年にスタートしたこの番組の歩みと重なるように、レトロゲームに触れる機会が増えてきたことをご存知だろうか。

それまでは、本体とソフトを中古ショップで購入してプレイするしかなかったが、2006年に任天堂から発売されたWiiでは、ネットから懐かしのソフトをダウンロード購入して遊べる「バーチャルコンソール」サービスが始まった。

そしてここ数年は、ゲーム機本体の“復刻版”が続々登場する熱い市場となっている。

2016年11月、手のひらサイズになったファミコン本体に懐かしのソフト30本が内蔵された「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が発売されると、瞬く間に品切れとなるほどの大ヒットとなり、3カ月ほどで全世界で150万台を販売した。
翌2017年10月には「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」が発売。
そして、今年7月に発売されたのは、家庭用ではなく業務用の筐体をミニチュア化したSNKの「NEO GEO mini」。

手のひらサイズの「プレイステーション クラシック」

さらに、11月3日に一般予約を開始したSIEの「プレイステーション クラシック」(数量限定で12月発売)は、今週、「バイオハザード ディレクターズカット」など内蔵されるソフト20本全てが発表され、そのラインアップについて「これが入っててうれしい」「あのソフト入れてほしかった」などSNS上で早くも話題となっている。数量限定ということなのでかなりの競争率となりそうだ。

いわゆる“ファミコン世代”が、ある程度自由にお金が使える年代の大人になり、マーケットとして成立しているので各メーカーが力を入れるという流れにつながっているのだろう。

「マリオ」vs「冷却シート」

さて、イベントに話を戻すと、挑戦ソフト「スーパーマリオブラザーズ2」は、14年ぶりの再挑戦だが、当時と変わったところもあった。

ファミコン版だと、ゲームオーバーになると、やり直しは面の最初からで「あ〜またここからか…」とガックリしたものだが、今回プレイしたWiiU 版なら、「まるごと保存機能」を使うとやりたいところから再スタートできるのだ。 ハード面の進化も有野課長を後押しする。

それでも、同じ場面で何度も失敗したり、難局を切り抜けたと思ったら凡ミスをしたりと観客も次第にヒートアップ。
集中力が切れそうな場面になると、番組お約束の“冷却シート”を有野課長と一緒に観客たちもおでこに貼って声援を送る。

会場ではアドバイスが飛び交い、有野課長がそれに応える場面も見られるなど、一体化し1万人全員で1つのゲームをやっている感覚になっていった。

「冷却シート」をおでこに貼って集中…

こうして、4時間に渡った「リベンジ七番勝負」は盛況の中、幕を閉じた。
結果については差し控えるが、いろいろなミラクルが起きたことは言ってもいいだろう。
観客も満足気で、友達の家から帰るように会場を後にしていた。

イベント終了後、幕張メッセの大舞台でたったひとりでレトロゲームに挑んだ男、有野さんにお話を聞くことができた。

“復刻版”ブームを作ったのでは?

ーー1万人の前でのゲームはどうでしたか?

楽しかったです。
プレッシャーはあるんですけど、クリアすると絶対みんな喜んでくれるというのがあるから、普段の収録よりかは、よかった結果を思いながらやってる感じが楽しかったですね。


ーー15周年を迎えて、今日もそうだが、なぜここまでファンの熱量が続いていると思う?

懐かしいのをずっとやってるからじゃないですか。「知ってる!」っていうのと、子どもは知らんけどもやらせるにはちょうどいいソフトってことですよね、ゲームの中では。
ボタンの数も少ないし、オンラインのゲームではないから、のめりこまないくらいのとこだと。


ーー2年前からレトロゲーム機の“復刻版”がブームになっているが、その現状をどう思う?

いいと思うんですよね。大きい敵がやってきて姫をさらってってすぐ面が変わる。「あ、姫を助けに行くんだ」ってわからせる。
今のゲームで言ったら何分かのムービーとかになると思うんですけど、これがこの人たちなんだって想像して進められるところとか、無い部分を膨らませられるからいいと思う。本を読む感じになるんですかね。


ーー“復刻版”ブームを作ったきっかけの一つが「ゲームセンターCX」では?

そんな大きく言うていいんですかね?…そうでしょうね(笑)


番組のため何時間もゲームをし続けるのは大変だと思うが「何歳までいけそうか?」と聞くと「おじいちゃんになってもじゃないですかね」と答えた有野さん。
懐かしさもあって人気のレトロゲームだが、その操作性の簡単さもあって、プレイする親を横で見ている子どもも興味を持ち、親から子へと受け継がれていく。レトロゲームの人気はまだまだ続くかもしれない。


(執筆:松井信樹)




【「ゲームセンターCX 15th感謝祭 有野の生挑戦 リベンジ七番勝負」2019年1月1日(火)00:10~3:10 フジテレビONEで放送】


「ゲームセンターCX DVD-BOX15」12月21日発売予定 予約受付中