「出来るものはなんでも検討」 消費者に何が一番お得なの? 増税対策でばらまき懸念も

カテゴリ:国内

  • 「できるものは何でも検討」の増税対策
  • ポイント還元から商品券、住宅・車減税まで
  • 過大な歳出・減税で大盤振る舞いにならないか

前回増税の反省から「何でも検討」

「できることは何でも検討する」

来年10月の消費税増税に向けた景気対策づくりでは、そんな政府の姿勢が浮き彫りになっている。
2014年4月に消費税率を8%に上げたときには、増税後に個人消費が大きく落ち込んだ。この時の反省から、 増税前に買い込み、その後は購入を控えるという消費者行動をなるべく平たくしようと、景気の下支えに徹底して取り組む方針だ。

キャッシュレス決済を普及させるために

現金を使わずに、キャッシュレスで買い物をした際、中小の店舗などでの場合に限り、2%分をポイントで還元する仕組みは、国内でキャッシュレス決済を普及させるきっかけにする狙いもある。
この仕組みは、軽減税率の対象となる飲食料品を含め、中小事業者であれば、すべての商品・サービスを原則対象にする案を軸に検討されている。

テイクアウト商品は、増税前より安くなる?

持ち帰りの食料品などでは、還元分を考えると、実質的な税率が6%になり、増税前より負担が減るケースも出てくる可能性がある。

手数料負担を嫌って、カード決済導入に二の足を踏んでいる店舗側に配慮して、クレジットカード会社に対し、加盟店が払う手数料を抑えるよう要請する措置もとられる方向で、政府が民間の取引に関与するという異例の取り組みとなる。

店側が支払う手数料率は、中小の場合、決済額の5~7%に設定されていることが多いとされていて、この上限を全国平均である3%台にまで抑制するよう、カード会社に求めることで調整に入った。

住宅新築でポイント、ローン減税拡充も検討

一方、住宅や自動車など、消費税負担が重い「高額の買い物」をめぐる検討も始まっている。

住宅需要の落ち込み対策で上がっているのが「ポイント制度」の復活だ。
2015年に実施した「エコポイント制度」では、一定の省エネ基準などを満たした新築やリフォームで、ポイントが発行され、商品券やプリペイドカードなどに交換できた。この仕組みを参考に、対象となる住宅や改築の条件などを含め、制度の詳細の調整が本格化する。

さらに、税制や給付金での手当ても検討材料だ。
現在の住宅ローン減税は、年末のローン残高について、一般住宅の場合、4000万円を上限にその1%分が税金から控除される仕組みだ。減税を受けられる期間は10年で、合計で最大400万円が所得税などから差し引けるが、仮にこの期間が15年に延長されれば、最大控除額は600万円にまで増える。

期間延長のほか、対象となるローン残高上限や控除率の引き上げも検討される。購入費の一部を補助する「すまい給付金」の拡充も候補のひとつ。増税に伴い、年収に応じ、最大50万円を給付することになっているが、給付額の増額や条件緩和が俎上に載せられる。

自動車も取得・保有の税金軽減?

住宅と並ぶ大型消費が自動車だ。

自動車は、取得・保有・利用の各段階に応じて税金がかかっていて、「ユーザーに多くの負担がかかりすぎ」という業界の声が強い。取得時にかかる税金では、消費税増税と同時に、従来の「自動車取得税」はなくなるものの、「環境性能割」という新たな税の仕組みが導入されることになっていて、燃費性能に応じて、最大3%の税率で課税される。

業界や経済産業省は、この税金の凍結のほか、車を保有していれば排気量に応じてかかる「自動車税」の軽減も求めている。

一筋縄ではいかない対策の具体化

さまざまな案が上がる景気対策だが、具体化は一筋縄ではいきそうにない。
対策の目玉であるキャッシュレスでのポイント還元では、対象となる「中小」事業者の線引きが大きな課題だ。

ポイントをもらえる店ともらえない店が見た目ではわかりにくく、消費者が混乱する場面が想定されるうえ、中小での決済に限ってポイントが付与されるようデータ管理のシステム改修が間に合うのか疑問視する声も出始めている。

中小事業者の景気対策と、キャッシュレス推進というもともとベクトルの異なる政策を組み合わせたために、仕組みづくりが複雑になってしまった観は否めない。

そのうえ、公明党からは、「キャッシュレスを利用できる人は限られる」と、低所得者対策として、プレミアム商品券の発行を求める声が上がり、この選択肢も検討せざるを得なくなった。

大盤振る舞いにならないか

政府は、消費冷え込みの回避に全力投球の構えだが、減税や給付金・補助金には、それに見合う財源が必要となるうえに、生活への影響配慮という点では、増税と同時に、軽減税率が導入されることになっているのを忘れてはならない。

今回の増税は、少子高齢化で増大する社会保障費の財源を増やし、財政健全化の取り組みを加速させるというのが本来の目的だったはずだ。

政策を並べた結果、歳出や減税が過大に膨らみ、「何のための消費増税なのか」ということにならないよう、大盤振る舞いに陥らず財政規律に目配りした精緻な対策の構築が求められる。


(フジテレビ解説委員 智田裕一)

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