“上司と部下”の立場を逆転してみた動画…「電話取る気ゼロ!」若手のホンネ連発

カテゴリ:ビジネス

  • 上司と部下の立場を逆転してみたドキュメント動画が話題
  • 「コピーは自分で(…雑用のやり方、忘れたの?)」24歳“上司役”は不満連発
  • 耐える42歳“部下役”にも言い分が…リアルな“あるある”本音を引き出した動画制作の裏側

「ゆとり」や「さとり」と呼ばれる世代の20代会社員を部下に持つ管理職の悩みとして、「若手が何を考えているのかが分からない」という声を聞く。
しかし、そう思っているのは上司だけではないようだ。

男女18~59歳の会社員を対象にしたある調査では、「コミュニケーションが憂うつな相手」に「会社の上司」と回答した人は、47%で最多だった。(JTBコミュニケーションデザイン調査 2017年)

その理由は、「気を遣うから」「本音を言えないから」だというが、コミュニケーションがうまくいっていないと指示や報告が正しく伝わらず、業務に支障をきたす可能性がある。

互いの考えを理解するためには必要だが、なかなか言えない“本音”。それを明らかにする、あるドキュメンタリー動画が話題となっている。

24歳の上司 vs 42歳の部下

今回行われたのは、「42歳の上司と24歳の部下の立場を逆転させる」という実験的なドキュメント企画。舞台は、ホームページ制作やWebコンサルティングを手掛ける東京・日本橋のイートラスト株式会社。

部下を上司にしてしまえば、若手社員は普段言えないでいる意見や不満を率直に発言できるし、上司は自分が部下になることで「理想の若手社員像」を見せることができるのではないか?という狙いだ。

企画スタート前には、互いの“理想の姿”を主張した2人。

「ゆとり教育を受けているかいないかがすごいわかりますね。僕ら世代はホントに全然ゆとってないんで」と言う上司は、部下として業務にあたることについては、「自分、若い頃は頑張ってきたんで、それをそのままやればいいのかなと。今後の若手の仕事っぷりというか、そこにいい影響を与えればいいのかなと思いますけど」と語った。

一方の部下は、「最近の若い子はって言われるの、僕はすごい嫌い。どの時代でも言われてることじゃないですか」として、「自分の出来ないことは下には注意しないというのを、僕はスタイルとしてやっていくつもりではあります」と持論を述べた。

そして、立場を逆転しての企画がスタート!
仕事が始まると、24歳上司から「先日の案件はどうなった?」と進捗を尋ねる質問が…42歳部下が資料の原本を差し出すと、すかさず「自分でコピーして来て」との指示が出た。
さらに、42歳部下が片面印刷で出力した資料に対して、24歳上司は「これ両面じゃないよ」と指摘、やり直そうとすると「もったいないから、もう一回はいいよ」と却下。

その後も、会議での休日出社の担当決めや電話対応をめぐっての“逆転”上司と部下の対立が繰り広げられた。
事後インタビューを元に画面上に表示された互いの本音には、この通り。みなさんも思わず頷いてしまう内容ではないだろうか。

【24歳上司の本音】
・「無理ならいい」は「絶対やれ」だよね
・オヤジギャグにいつも笑ってあげていることに気づいて
・自分あての電話が多いのに、取る気ゼロ!
・スーツのサイジングがおかしい
・寝てないアピール、別にかっこ良くない

【42歳部下の本音】
・スマホいじりすぎ
・横文字をたくさん使う
・情報ソースがほとんどSNS
・(仕事より)プライベート優先するよね
・すぐ「無理」って言う

そして、普段の上司の業務である社長への売り上げ報告では、24歳上司が説明するもうまくいかず、「ぬるい考え」とダメ出しを受けてしまう。

答えに詰まった24歳上司をフォローしたのは、42歳部下だ。
目標設定の改善を力強く打ち出し、なんとか切り抜けることができ、これには「いざという時、心強い」と本来の上司を頼りに思ったようだ。
退室後、「何も話せなかった」と落ち込む24歳上司に対して「大丈夫、すぐに慣れるよ」と肩を叩いて元気づけた42歳部下。共に困難に立ち向かったことにより、2人の間にさらなる信頼が生まれた瞬間だ。

今回の実験では、立場を逆転することによって、お互いのホンネがわかり、距離も縮まる結果になった。実はこの動画、20代の部下を持つ上司のための指南書『誰も知らない!20代の動かし方~現代の若者に言うべきこと、言ってはいけないこと~』(若山雄太 著 きずな出版)のプロモーションとして制作されたもの。
ユニークな発想の動画はどのようにして生まれたのか? この映像を企画・制作した曽我将さんに話を聞くことができた。

感情移入しながら見てもらえるドキュメンタリー

ーー書籍のPRに「6分間のドキュメンタリー映像」を選んだ理由は?

「現代の20代の会社員はこうだ」という内容の書籍を紹介するにあたって、どんな映像がおもしろいのかと考えた時、「作り手が一方的にストーリーをつくると説教くさくなってしまう」ということが気がかりでした。
だから、どこか身近に感じられないフィクションよりも「あるある」と感情移入しながら見てもらえるドキュメンタリーが向いていると判断しました。 
当初は2分の予定でしたが、事前インタビューから始まり業務に打ち込む様子、仕事終りの飲み屋での反省会など、どの要素も切り捨てられずに、結局6分という長めのPR動画になってしまいました。


ーー上司と部下の「立場入れ替え」というアイディアはどこから?

書籍は読者を上司と想定して書かれていますが、動画を同じような目線で描くと、意見が偏ってしまうのではないかと考えました。
せっかくなら20代の若手社員に発言権を与えて、流行の「やってみた」動画をテーマに、多くの社会人が知りたいと思っているけれど簡単には出来ない“逆転”にチャレンジするのは面白そうだなと。
企画に協力していただいた会社は、著者の若山さんが普段指導している20代たちの紹介で決定しました。

ーー上司・部下の“あるある”な言い分をどう引き出した?

2人の言葉やリアクションは、すべて自然に出てきたものです。
ただ、事前に互いへの悩みや不満などを聞き出すヒアリングを個別で行い、出てきた本音を相手に伝えることをミッションにしましょうと伝えてから、1日の仕事に密着して撮影しました。
その結果、立場を入れ替えて同じ状況になった時に、いつも感じていたことが表出したのだと思います。


ーー曽我さん自身も「立場逆転」をやってみたい?

私は、個人で会社を経営しているので現在は上司も部下もいませんが、制作現場で一緒に仕事をする20代の若手社員たちを見ていると、控えめでやさしい印象です。
言われた仕事はきちんとこなすのですが、例えば上司からの期限直前の指示に対しても、昔の私のように「もっと早くに言ってよ。あなたはこの時間でできるの?」というような厳しいことを思わない若手が多いような気がしていて。
でも、それも私がそう思っているだけで、実際は違うのかもしれません。動画のラストにも「みなさんの会社でもやってみませんか?」というテロップを入れようか迷ったくらいなので、私も部下の立場を体験できたら面白いだろうなと思っています。

「撮影をきっかけに以前よりもよく話すようになった」

ーー撮影後、この上司と部下の2人の関係に変化はあった?

実は、ラストの仕事終りに飲みに行くシーンは構成にはなかったもので、社長へのプレゼンを機にこれまでの不満を越えて和解した雰囲気があったので、私から提案しました。
職場全体での飲み会の他に2人だけで飲みに行くことはなかったそうなのですが、信頼関係が深まったようで、リラックスして語り合っていました。
さらに、撮影をきっかけに以前よりもよく話すようになったそうです。
もともと仲が悪かったというわけではありませんが、必要以上に会話をしたり、協力したりということが多くはなかったそうなので、良いきっかけになったと思います。
また、部下が「サイジングがおかしい」と言っていたスーツですが、後日、2人で紳士服店にも行ってみたそうです。
上司はこれまで「自分に似合う」という視点でスーツを考えたことがなかったそうなので、部下からのアドバイスはうれしかったのかもしれませんね。

この動画が公開されたのは、書籍が発売された8月20日から約2か月後の10月12日だが、その理由は「編集にこだわり、5回ほど直した」からだ。
若手社員の主張だけをまとめたバージョンを検討したり、動画再生時間を2分以内に収めようと苦心したり、「上司と部下 互いの立場から見て共感を得られるいいものにしたかった」のだという。

反響については、部下層と上司層のそれぞれから「確かにこれは“あるある”だね」と共感の感想が寄せられたり、「映像を通して、今後の自身の行動を振り返ろうと思った」という声が届いているという。
また、立場を入れ替えた上司と部下を間近で見ていた今回の企画に参加した会社の社員たちからは、次のような意見が聞かれた。

【20代社員】

・今まで上司の気持ちとか、きちんと考えたことが無かった。改めてみたい
・上司に突っ込んでみたかったこと、たくさんあった(笑)
・時にはイラっとすることもあるけど、協力すればもっと良い仕事ができると感じた
・これからは、上司と部下で協力し合うことが大事なんだなと思った

【40~50代社員】
・「これだからゆとりは」とか考えていたけど、時代背景を考えたら妥当なことなのかなぁと
・20代の意見を取り入れて、一緒に補う形で仕事ができれば良いなと思った
・純粋にこんな入れ替わったりできたら面白い
・20代の動かし方をより深く感じたし、本も読んでみようと思った


「自分が若い頃は…」と思い描く“理想の部下像”が、今の時代にマッチしてないこともあるし、逆もまた同じ。現実に、上司と部下の立場を入れ替えることは難しくても、互いの立場になって状況や心情を考えることはできる。
みなさんは、職場の仲間と気持ちよく仕事を進められるような「本音を言い合える関係」を築けているだろうか?

【書籍情報】
若山雄太 『誰も知らない!20代の動かし方〜現代の若者に言うべきこと、言ってはいけないこと〜』(きずな出版、2018年8月20日発売)

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