「安田純平さん解放」なぜ今なのか?身代金は?…専門家はこう見る

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  • なぜカタールから解放の連絡があった?
  • 「カタールが身代金を払った可能性は十分ある」
  • トルコで発生したサウジ記者殺害事件との関係は?

安田さん本人と確認

3年前からシリアの武装組織に拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんについて、菅官房長官は23日に緊急記者会見を開いて「解放された可能性が高い」と発表した。

日本時間の23日午後9時ごろ、安田さんが解放され、トルコの入管施設にいるという情報がカタール政府からもたらされたという。

その後、24日午後6時に河野外務大臣が、解放された男性が安田さん本人であることを確認したと発表した。

安田純平さんは、2015年6月にトルコを経由して内戦状態が続くシリアへと入国。
その後、国際テロ組織アルカイダ系武装組織に拘束され、武装した男が安田さんとみられる男性に銃を突きつけている映像などが公開されていた。

最も新しい7月25日に撮影したとされる映像では、「とてもひどい環境にいます。今すぐ助けてください」と救助を求めていたが、なぜ今、このタイミングで解放されたのか? そして、身代金は払われたのか?

様々な疑問を専門家はどう見るのか、中東情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センター研究理事の保坂修司さんに伺った。

カタールが身代金を払った可能性は十分ある

――なぜこのタイミングで解放されたのか?

今のところその情報がないのでタイミングについて正確な理由は分かりません。

ただ、これは想像に過ぎないんですが、理由の1つにはシリア情勢の変化が関係しているかもしれません。
安田さんが捉えられていたと思われているシリア北部は、アサド政権軍あるいはロシア軍の圧力が強まっていて、そこを拠点にしていた反政府勢力の多くが逃げ始めています。
そのため、安田さんをこのまま拘束し続けることが武装組織の重荷になり、とりあえず解放したとも考えられます。


――拘束されたシリアではなく、なぜカタールから解放の連絡があり、トルコで保護されたのか?

カタールはこれまでも武装勢力に誘拐された人質の解放に関して、調停など様々な働きかけをしてきた経緯があります。
ここからは想像ですが、おそらく今回も日本政府やどこかから仲介を依頼された可能性は非常に高いと思います。
私自身が把握しているだけでも、カタールが人質解放にあたって仲介や身代金を支払ったのではないかと思われることは何件もありますから、今回もそういう可能性は十分あると思います。

トルコで保護されたことについては、シリアのすぐ北部がトルコ国境ですから、そちらに移送したという事なのでしょう。

サウジ記者殺害事件と関連は?

――なぜカタールが日本人のために身代金を払うのか?後で請求されないのか?

これはカタールとあまり仲の良くない国などから出ている報道レベルの話なので全く確証はないんですが、これまでカタールはシリア国内の過激組織に資金援助をしていたと言われていました。
当然、国際社会の非難が集まり援助は難しくなります。
その結果、人質の「身代金」という、誰からも文句を言われない形で過激組織にお金を支払っているいう説が出ているのです。

したがって誘拐された外国人の人質の本国に対して後で請求書が行くようなことはありません。


――サウジ記者殺害事件が起きたすぐあと解放となったが、なにか関連はあるのか?

う~ん…もちろんそういうこともありうるとは思いますけれど、分からないですね。
サウジアラビアに国家としての殺人疑惑がささやかれる中で、トルコやカタールが日本を含む西側諸国に対して「いいことをしている」と見せている可能性があることは否定はできないと思います。
安田さんの解放がごく最近決まったなのなら、サウジ情勢と連動している必然性はないと思いますが、もちろん関連している可能性もあります。


――解放された安田さんに聞きたいことは?

安田さんが解放されたことは非常に喜ばしいことです。
私の専門は過激組織の研究ですので、安田さん自身のことより、拘束していた組織について関心があります。
どういうグループで、どういうイデオロギーをもっていて、どういうことをしているのかを知ることは、今後の対策を考える上でも非常に重要な情報になります。


河野外務大臣は会見で「安田さんの健康状態はいいようだ」と語り、その後、トルコ当局が解放後の安田さんの動画を公開した。
安田さんが帰国後、拘束されていたときの状況を詳細に語ることはあるのだろうか。