中間選挙 トランプの命運を握るのはほんのわずかの有権者

カテゴリ:話題

  • 大統領選での“成功体験”を中間選挙でもう一度
  • 激戦州で勝つために寸暇を惜しんで応援キャンペーン 
  • 最後に効くのはトランプのロック・スター性かも

“究極の選択と集中”キャンペーン

アメリカの中間選挙の投開票まであと20日。ここまできたら全米世論調査でトランプ大統領の支持率が上がった下がったを論じてもほとんど意味はない。なぜなら、議会上院、下院、それぞれで与党共和党が過半数を維持できるかは、極めて限られた選挙区で共和党候補者が勝てるかどうかで決まるからだ。これまでの選挙情勢分析で共和党候補者が勝てそうにない選挙区では、いくらトランプ支持率が上がっても大勢には影響しない。逆に、共和党候補者が勝つ見込みが残っている選挙区では、大統領の支持率の上下とは関係なしにありったけの選挙資源を投入していく。“究極の選択と集中”キャンペーンが局地的に繰り広げられるからだ。

トランプ大統領は、2016年の大統領選でも“究極の選択と集中”キャンペーンで世界を「まさか!?」と言わせた勝利を収めた。
カリフォルニア州やニューヨーク州など、どう頑張っても勝てない州は戦わずに捨て置く。一方で、忘れられた白人労働者が多数いて訴求しやすく、それでいて選挙の大勢を決する上で重みがある中西部のラストベルト諸州で徹底的に攻めたことが勝利につながった。この中間選挙も2年前の『成功体験』に裏付けられた選挙戦略で戦い、共和党を勝利に導こうとしている。それは、最終的な結果=上下院の多数確保を決定づける数が限られた選挙区で勝つことに集中し、その他の大多数の選挙区は放っておく‥という大統領のキャンペーン戦略だ。

『成功体験』に裏付けられた戦略

2018年8月 オハイオ州の応援キャンペーン

トランプ大統領は、共和党候補者にとって最強の選挙資源は、大統領本人が現地入りして候補者の応援を行うことだと考えている。例えば、今年8月に行われたオハイオ州第12区の連邦下院補選では、共和党候補者が僅差で辛勝したが、それは大統領本人が投票3日前に現地入りして応援キャンペーンをやったことが決定打になったと自画自讃している。また、2016年に共和党の大統領候補を争い合ったテッド・クルーズ上院議員から応援要請を受け、かねてからの軋轢はひとまず横に置き、22日にテキサス州ヒューストンを訪れて応援キャンペーンを行う予定にしている。

大統領の選挙応援は効き目があるという自信。一方で上下院で共和党多数を維持しないと残り2年の任期中はロシア疑惑などの追及が厳しくなり弾劾の可能性も‥という懸念と焦り。その2つがトランプ大統領を選挙キャンペーンへと駆り立てる。
だからこそ、「2度目の米朝首脳会談は中間選挙後。それまでは選挙で忙しい」という大統領の発言が出てくる。
選挙活動に費やす日数も、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ両大統領を超え、投票日までの100日のうち少なくとも40日に及ぶ(ブッシュ氏は2002年に33日、オバマ氏は2010年が36日、2012年は22日)。ワシントンで最も手に入れにくい希少材は「大統領の時間」だと言われるが、トランプ大統領は公務の合間を縫ってこれだけ精力的に各地に出かけていくのだ。

トランプのロック・スター性が勝利を招く?

各地で遺憾なく発揮されるロック・スター性

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、上院選35州のうち、8州が「接戦」となっている。そのうち共和党が議席を持っていて何が何でも勝たねばならない4つの州(アリゾナ、ネバダ、テネシー、テキサス)には、いずれも10月19日以降に応援に入ったか間もなく入る予定だ。民主党が現職の4州(フロリダ、インディアナ、ミズーリ、ノースダコタ)にも夏以降キャンペーンで訪れている。

キャンペーンでトランプ大統領が訴えているのは、北朝鮮でも、NAFTA改定(=USMCA)でもない。「アメリカ経済を絶好調にしたのは俺だ。」「金利政策がめちゃくちゃなFRBはクレイジー」「民主党はアメリカを潰そうとしている!」などという民主党批判だ。
これもまた大統領選の成功体験のリピートで、トランプ・トークを起爆剤とし、共和党支持層の怒りという爆薬を爆発させ、投票所へと向かわせようというものだ。

もちろん、野党民主党も残る20日間で日々変わっていく選挙区情勢を分析しながら、重点選挙区を決め、選挙資源を集中投下する。民主党はこの選挙では人も組織も資金も豊富で、足りないのはトランプ大統領に匹敵するロック・スターだけだ。
果たしてその違いが最後の最後で勝敗を分けることになるのかどうか。見るべきものは大統領が出かけていく接戦選挙区の行方に絞られている。

(執筆:フジテレビ 解説委員 風間晋)

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