社会人しか受験できない医学部入試がある! 科目が少なく、倍率も低い?

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  • 受験科目や難易度は?
  • 文系出身でも合格可能か

「他学部卒業者」のための入試

昭和大学医学部でも得点操作が明らかに(10月15日)

昭和大学が、6年前の医学部の一般入試から、2浪以上の受験生が不利となるような得点操作が行われていたことを明らかにしました。大学は「不適切だった」として、謝罪をしています。
入試における不正はあってはならないことですが、「多浪すればするほど、医師として活躍できる期間が短くなるから」といった考えが背景にあると指摘する声もあります。
しかし、4年制大学を卒業して、社会経験があり、ある程度年齢を重ねた社会人にこそ、受験資格がある医学部入試があるのです。
それが「医学部学士編入制度」です。

「医学部学士編入制度」とは、医学以外の学問分野を専攻し、明確な目的意識を有する学士=学部の卒業生(卒業見込みを含む場合も)を医学部2年次または3年次に編入させる制度です。
現在、国立大学を中心に35の大学で、この制度が実施されています。
最初の大学受験の時には考えなかったが、社会経験を経た今だからこそ「医師として働きたい」と考える人は、少なからずいるのではないでしょうか。

「多浪生」並みの年齢になるが…

とは言え、既に大学を卒業している訳ですから、一般入試で言えば「4浪」以上の年齢に当たります。
では、なぜこのような入試制度があるのでしょう。
現在のように、多くの大学で編入試験が行われるようになった背景には、2000年に文部科学省から全国国立大学医学部に出された以下の主旨の通達がありました。
「良医育成のため、いちど大学を卒業し、社会経験を積んだ人材を、積極的に医学部に編入させること」
大学によって、基礎研究をする医師や地域医療に貢献する医師を求めたりといった違いはありますが、学士編入の学生には、大学での専攻や社会経験などを踏まえた上で、医学を志す明確な目的意識が期待されます。

小論文と面接だけの大学も

では、具体的にはどういった試験が課されるのでしょう。
高3生などが受験する一般入試では、学科試験+面接というのが一般的ですが、「医学部学士編入制度」でも、
1次試験:学科試験 ⇒ 2次試験:面接(集団討論含む)
というのが主流です。
ただし、ほとんどの大学では一般入試よりも学科試験の科目数は絞られています。また、センター試験も課されません。
学科試験の前に、書類審査がされる大学や、TOEICのスコアを求める大学もあります。

学科試験の科目ですが、多くの大学は
●英語+生命科学
英語+生命科学+物理化学
英語+生命科学+物理化学+数学
…という3つのパターンに分けられます。

中には、群馬大学のように、1次試験が「小論文I」と「小論文II」で、2次試験が面接と言う大学もあります。
東海大学は、1次試験が英語と適性試験、2次試験が面接です。

「生命科学」とはどんな科目?

物理化学、数学、英語の難易度ですが、一旦大学を卒業した学士を対象とする試験ですから、一定レベル以上の知識と考察力を要求されます。
とは言え、試験難度は大学によって、高校レベルから大学教養レベルまで、ばらつきがあるようです。

また、ほとんどの大学で課される「生命科学」(他の名称の場合もあり)という科目ですが、多くの方にとって「初耳」の科目ですよね。
「医学部学士編入試験」専門の予備校によると、“高校で学ぶ生物をベースとして、人体に関連する部分を深めた科目”ということになります
内容は、分子細胞生物学、生化学,生理学,神経科学,免疫学,組織学まで多岐にわたる…ということです。と言っても、なかなかピンとは来ませんが…。

“初耳科目”「生命科学」という科目があることや、大学による出題傾向の違いもあり、多くの受験生は、先述したような「医学部学士編入試験」専門の予備校などで学ぶことが多いようです。
また、学士編入試験では、面接や小論文を重視する大学も多いとされています。

“実感”としての倍率は

医学部人気の過熱で、近年の一般入試の倍率は、20~50倍も珍しくなくなっています。
では、学士編入試験の倍率はどうでしょうか。
各大学の募集人員は5~15名程度。倍率は10~20倍となっています。
やはり高倍率!…と感じてしまいますが、学士編入試験を経て医学部に入学した医大生からは「実感としては、そんなに高くない」という声が聞かれました。
学士編入試験は、試験日程が各大学でバラバラなので、ほとんどの受験生は5校以上の大学を受験します。
当然のことながら、優秀な受験生は複数の大学に合格するので、多くの大学で補欠合格が出ます。
また、ひとつの大学に合格すると、出願していた他大学の受験は辞退するケースも多くなります。
複数の学生からは、「他の受験生とも話しての実感としては、実質倍率は3倍程度では」との意見が聞かれました。
もちろん、それが実態に近いとしても、低い倍率だとは言えないと思いますが…。

文系出身の合格者も

学士編入の入試は、一般受験とは違って冬には行われません。
大学によって違いますが、1次試験・2次試験は、5月下旬から10月初旬の間に行われます。
仕事を続けながら受験する人も多いので、試験は土曜や日曜日に実施されます。
受験生には、もともと理系学部の卒業生が多いのは確かなようですが、文系学部の出身者も珍しくはなく、その中から合格する人もいるそうです。

今年の試験は、既に各大学で終了しました。
来年度の出願は、早い大学では4月から受付が始まります。
経験した医大生からは「学士編入試験は、トライしてみる価値はあると思う。ただ、入学してからの勉強量は多く、途中から編入するだけに大変」という声もありました。
チャレンジする場合には、各大学の入試情報を収集し、意志を強く固めた上で臨む必要がありそうです。

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