ネットビジネス、次のビッグウェーブは? 業界キーマンが本音を明かす

B Dash Camp 2018 FALL リポート

カテゴリ:テクノロジー

  • VR普及のカギは「ハード」と「キラーコンテンツ」
  • ブロックチェンーン技術はユーザーに利益を還元
  • モビリティの未来はどうなる?

600人以上ものスタートアップ起業家と投資家が集結する、日本最大級の業界カンファレンス「B Dash Camp(ビーダッシュキャンプ)」。

インターネットビジネスのトップシーンを走る業界キーマンは、いま何を考えているのだろうか?

去る10月4、5日に開催された当イベントから、「インターネットのビジネス、次はどう進化するのか?」と題されたセッションの模様をリポートしたい。

次のビッグウェーブはVR?

國光 宏尚(gumi代表取締役会長)

『VRの普及には「適切なハードウェア」と「キラーコンテンツ」が必要』、TOKYO XR Startupsを立ち上げVR(仮想現実)、AR(拡張現実)のインキュベーションも手がける國光氏(gumi代表取締役会長)は、まずVRがブレイクする要因について語った。

先月、FacebookはOculus Quest(オキュラス クエスト)を発表、PCを必要としない一体型VRヘッドセットで、両手にコントローラーを握ればポジショントラッキングも可能になる。来春に399ドルで発売予定だ。この「ハード」に「キラーコンテンツ」の提供が重なれば、一気にVRの時代が到来するという。

また、AR(拡張現実)の未来については、『空間すべてがディスプレイになる。それはほぼ間違いなく来る未来』とし、2020年頃とされているApple Glassの登場を経て、2022年にはARも現在のVR市場と同規模になるとの予測を示した。

仮想通貨・ブロックチェーン

続いてトピックは「仮想通貨・ブロックチェーン」に。

木村氏(AnyPay取締役会長)は、国内のハッキング事件もあり、今の日本の仮想通貨は『世界から1年半遅れている』と言う。

木村 新司(AnyPay取締役会長)

モデレーターの渡辺氏(B Dash Ventures代表)は『ブロックチェーンの技術はインターネットをディスラプト(破壊)し、非中央集権化により管理者がいなくなり、プラットフォームは無くなるのではないか』と問いかける。

渡辺 洋行(B Dash Ventures 代表取締役社長)

舛田氏(LINE取締役CMO)は、先日発表したLINEの仮想通貨「LINK」と「LINEトークンエコノミー構想」を例に、これらは『ユーザーと提供者の垣根を無くしていく取り組み』、つまりプラットフォームに貢献したユーザーには利益が還元される仕組みであるとした。

また、LINEも本格参入を示している「DApps(分散型アプリケーション)」にも話は移り、ブロックチェーン技術によって、これまではコピペ可能だったデジタルデータがユニークな資産性を持ち、価値の移転も出来るようになったことで、DAppsはUGC/CGM(ユーザー参加型メディア)といったコンテンツ領域とも相性が良いと言う。

舛田 淳(LINE 取締役CSMO Chief Strategy & Marketing Officer)

モビリティの未来はどうなる?

DeNA守安氏(代表取締役社長兼CEO)はモビリティ領域への関心を示す。

自動運転に関しては『人間が運転する方が危ない事は目に見えている』とし、一気に移り変わるかは別として、5年後には自動走行車が実用化されているのでは?との見方を示した。

この分野でのスタートアップは時間もコストもかかり難しいとの問いに対して、「例えば地域を限定して始めることで、モデルを作り、エコシステムがペイする事を証明して、その後大企業に話しを持ちかける」という取り組み方を提案した。

守安 功(ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO)

これからは「人」と「資産」がつながりはじめる

モビリティ領域に関しては「木村氏もインドで車やバイクに投資をしている」と紹介されたところで、残念ながら本セッションは終了時間となってしまった。続きが気になる筆者は翌日、個別インタビューを申し出た。

――トークセッションの最後に少しだけ紹介がありましたが、木村氏がモビリティ領域に投資する理由をあらためて教えてください。

パーツが少しつづ揃ってきたんです。フィンテックでスマホのペイメントが普及、4G、5GでいわゆるIoT、モノとインターネットがつながり、何かをしようと思った時に、スマホですぐに決済出来る環境が整ったのがこの2年でした。

これまで、飛行機や電車やバスなどは、公共物と言いますか、それぞれの会社が運営していますが、車やバイクや自転車などもっと小さいものになると、シェアしたり決済する仕組みがないので個人がオーナーになっていました。

しかしこれからは自転車なども、電車に乗る時に切符を買うような感覚で、スマホでピッと払って使うことが出来るようになります。

つまり、電車やバスなど公共物として社会にプール(蓄積)されていたものが、車や自転車、もちろんそれら(乗り物)に限らず、いろんな物で起こり始めるだろうなと。

ネットのサービスは、人と人、人と情報をマッチングするような、比較的軽いものだったのですが、これからは、人とモノ、人と資産のマッチングへと、つながり方が変わっていくと思います。

木村 新司(AnyPay取締役会長)

――モビリティ領域に、どのような未来のビジョンを持って取り組まれているのでしょう?

基本的に都市は競争だと思っています。

東京ってニューヨークやシンガポールや香港やいろんな都市と実は競争していて、どこに住みたいか自由に選べる時代に、既になっているんですね。

そんな時に、スマホ決済使えません、Uber使えません、デリバリーもありません、となると、例えば働いてお子さんもいる女性はこのようなサービスが無いと生活がワークしない、でも東京ってないよねと。都市をアップデートする必要があるという強い思いはあります。

たとえばシェア自転車が普及すると、今度はフードデリバリーが拡がるんですね。さらに、買い物行ってきて、薬局行ってきて、といったサービスも始まり、ラストワンマイルの物流が変わっていく。

結局、GDPって価値を運んでいると思うのですが、価値を運ぶときって、モノか情報か人が移動するしかなくて、生産性を上げるには人やモノが動く速度は重要で、今のままではダメなんだろうなと。

たとえばインドやインドネシアでは車の保有率がもともと7%くらいなので、カーシェアリングがどんどん進んできて、我々も投資や支援をしているのですが、新興国は地下鉄のような時間もコストもかかるインフラ投資をしなくても、このようなシェアリングの仕組みを使うことで、街中を人やモノがビュンビュン移動しているんですね。

日本でも新たなインフラ投資をしなくても、小さいモノどうしがつながり、生産性が上がっていくという事が、いま起きつつある事なんだと思います。

果たして次のビックウェーブは?

VR、AR、仮想通貨、ブロックチェーン、モビリティ、果たして何が次のビックウェーブなのか? B Dash Campのセッションで必ずしも一つの答えに収束した訳ではないが、生活の中の資産が様々な形で流動化し、人(個)とつながりはじめる、というトレンドは大きな潮流だろう。変化の為には社会システムの大胆なアップデートを要するケースもあり、規模の小さな国や新興国の動きも見逃せない時代になりそうだ。