「慣れだれ崩れ=去れ」創立65周年『劇団四季』の世界戦略

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  • 劇団四季の今後の経営戦略について椿原キャスターが吉田智誉樹社長を直撃
  • 「ライオンキング」などの代表作品は海外からライセンス購入した『レプリカ公演』
  • 今後は『レプリカ公演』収益で「恋におちたシェイクスピア」などオリジナル制作へ

俳優から技術、経営スタッフまで、あわせておよそ1300人の団員を抱える日本最大の演劇集団『劇団四季』。
誕生から半世紀以上の歴史を誇る劇団四季の吉田智誉樹社長に、今後の経営戦略について椿原キャスターが聞いた。

劇団四季・吉田智誉樹社長

「慣れで芝居がだれて崩れるような人はいらない」

日本の演劇、ミュージカル界を引っ張ってきた劇団四季は、7月で創立65周年を迎えた。

舞台裏に張られた、「慣れだれ崩れ=去れ」という言葉。
「慣れで芝居がだれて崩れるような人はいらない、いつでも新鮮な気持ちで」という、今年7月に亡くなった劇団四季の創立者であり、演出家の浅利慶太氏の教えを掲げたものだ。

劇団四季・吉田智誉樹社長:
われわれが今まで手がけてきた作品は、ほとんどがロンドンやニューヨークで上演されているものを、そっくりそのまま持ってくるというものです。これを業界では『レプリカ公演』と呼んでいる。

代表作品である「ライオンキング」など、劇団四季のミュージカルの多くは、海外からライセンスを購入し、日本人が日本語で演じる以外は、海外版の作品にほぼ忠実に上演されてきた。

『レプリカ公演』

「ライオンキング」

しかし、6月より上演されている新作舞台「恋におちたシェイクスピア」は、アメリカ映画が原作だが、舞台装置や衣装などは独自に制作し、海外の舞台版とも異なる劇団四季のオリジナル演出で制作されている。

劇作家・シェイクスピアの恋と、芝居作りに情熱を懸けた人々の姿を描いた作品で、実は、これが劇団四季のこれからのビジネス戦略を体現しているという。

劇団四季のオリジナル制作「恋におちたシェイクスピア」

『レプリカ公演』の収益で、オリジナル作品を作っていきたい

吉田社長:
創立65年を契機に劇団のクリエーティブの力も高めなきゃいけないと思いました。今の劇団四季の作品の構成比率的に、海外からライセンスを受けた完全な『レプリカ』公演の方が多いんです。
そして、多くの収益を生み出してくれています。
そこで生まれた利益などを、一種の研究開発費として新しいオリジナル作品に投入して、いいものを作っていけたらなと思います。両方をしっかりやっていきたい。

一方、劇団四季は2017年4月、オリジナルのミュージカル「人間になりたがった猫」のライセンス契約を中国の劇団と締結。
中国からライセンス料を得るという新たな収入源を獲得した。

吉田社長:
日本は少子高齢化になるので、日本のマーケットだけで劇団四季が今までと同じように生きていくことは難しくなるだろうと思ってましたので、これは一つのきっかけだなと。
いい反応で、もうすでに何回か上演していて、最終的には120回くらいの公演になると思う。

長い歴史をつむいできた劇団四季。世界への一歩を踏み出している。

吉田社長:
過去の劇団四季は、常に新しいものを取り入れて成長していった。
それを続けるんだという思いで、新しいことにチャレンジしていきたいと思います。

経営コンサルタントの松江 英夫氏は、「日本から世界に向けてコンテンツを作っていく団体はまだ限られている。日本人は客の目も肥えているし、文化性、伝統性があるので良いものができる素地がたくさんある。その先駆けなのかなと思った。これから訪日外国人が増えるし、2020年オリンピックもあるので、日本で作っているものが世界から評価される良いタイミングに来ている。そこで日本の良さを見直して発信していければ存在価値が高まると思う」と指摘する。

(「プライムニュース α」10月2日放送分)

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