eスポーツ市場は3000億円以上に!?日本の成長が2倍どころじゃない理由

カテゴリ:国内

  • eスポーツの観客数は増え続け、5年後には29億ドルの市場規模予想も
  • 日本も今年2月に統一団体設立し、Jリーグ・NPBもチームを作っている
  • 今後日本のeスポーツはどうなっていくのだろうか?

9月2日に幕を閉じたアジア競技大会では、公開競技としてされた「eスポーツ」。人気サッカーゲーム「ウイニングイレブン」の試合では、日本がイランを下して優勝を果たした。
今、ゲームの腕を競うeスポーツが世界的な広がりをみせ、さらには五輪種目への議論が交わされている。

浜村弘一氏

そんな中、FNNプライムセミナー#03「eスポーツ 世界の現状、日本の未来」と題したセミナーでは、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)副会長で、元週刊ファミ通名物編集長、そして現在もファミ通グループの代表としてeスポーツ業界を牽引する浜村弘一氏(株式会社Gzブレイン取締役会長)が講師を務め、eスポーツの基本から未来の姿まで、幅広く語った。


市場規模・観客数は跳ね上がっている

eスポーツは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、電子機器を使う娯楽競技、つまりパソコンやゲーム機、スマホを使う競技です。海外ではパソコン中心で行われていることが多いですが、最近では家庭用ゲーム機や、モバイル(スマートフォン)のeスポーツが大きなムーブメントとして起きています。

市場規模に関して、2017年で15億ドルというと、まだ小さいとお思いかもしれませんが、これから大きくなってくるという予測が立っています。さらに、5年で1.5倍の規模と言われていましたが、最近出たゴールドマンサックスの分析では29億ドルの規模と発表され、月ごとに数値がどんどん跳ね上がっている印象です。

そして、eスポーツは放送コンテンツなんですね。観客数がすごく重要な指標になります。オーディエンス数の予測では、2016年が2億8000万人でしたが、これが21年には5億5700万人になるだろうと言われています。視聴は主にネットとなり、海外ではテレビで放送されることも多いです。こちらは約2倍に成長するとの予測ですが、日本の場合は現在の視聴者が少ないので、2倍どころではないと考えています。

また、特に注目しているのが、一般ファン層の伸びです。これまではコアなゲームファンが見ていることが中心だったeスポーツが、だんだんと一般のファンに浸透していることが分かります。

賞金総額が110億円の大会も

eスポーツというと賞金の話題をよく聞かれると思いますが、これが大きなKPIとなっています。

例えばアメリカに「Dota(ドータ)」というゲームがあり、Dota2の大会には2478万ドル(約28億円)もの賞金が懸けられました。他に大きなところでいうと、中国のeスポーツ大会「ワールドサイバーアリーナ2017」では、優勝賞金が約2億円、賞金総額約34億円でした。そして、今発表されている中で一番金額として大きいのは「フォートナイト」というゲームで、来年行われる大会の賞金総額が110億円となっています。

一方、日本でいうと「モンストグランプリ」が約6000万円と大きな金額ではあるのですが、世界から見たらまだまだ小さいということになると思います。
こういう形で見ると日本は遅れているなという感じがあるかもしれませんが、その中で発足したのが日本eスポーツ連合(JeSU)で、今年の2月1日から活動を始めています。3つの団体がひとつになったのですが、その理由は今年9月に行われたアジア競技大会です。選手を送り出すためには、バラバラの団体では意思が統一できないだろうということでまとまりました。

特徴的なのは、この団体にCESA(コンピューターエンタテイメント協会)とJOGA(日本オンラインゲーム協会)も入っていることです。CESAは、コナミやスクウェア・エニックスなど主に家庭用ゲーム機のメーカーが約170社、日本のIP(知的財産を使ったコンテンツ≒ゲームタイトル)ホルダーの約9割が加盟している組織です。JOGAは、ガンホーやミクシィなどオンラインゲームのメーカーが約70社入っています。このふたつで、ほぼ日本のIPホルダーの9割以上が集まっています。

実はこれ、世界的にみてすごく珍しいことなのです。世界ではeスポーツの団体とIPホルダーの仲が良くなかったりします。

eスポーツの団体ができるときは、多くの場合、有志が集まって「大会をやってゲームを盛り上げよう」と、最初は持ち出しで始まります。それが、次第に規模が大きくなっていき、会場代などの経費がかかることから、結果的に入場料を取るようになるのです。

そうなるとIPホルダーは、その団体に著作権料を要求します。一方で、団体からしてみれば、「IPホルダーの宣伝をしてあげているんだからプロモーションだと思ってください」という風になり、関係がギスギスすることが多いのです。

そのような世界の現状の中で、日本はIPホルダーを巻き込んだ形で団体を作りましたので、世界中から注目されています。いろんなところから一緒に何かやりませんかという提案もいただいています。

我々日本はeスポーツの最後進国だったと思います。しかしスキームを変え、IPホルダーを抱えることによって、一躍、世界のeスポーツのキーマンになることができたのです。

500万を超える人が視聴した初イベント

闘会議でeスポーツ国際親善試合に臨む浦和レッドダイヤモンズの選手達

そしてJeSUが2月1日に発足しまして、その10日後に早速イベントを行いました。元々ニコニコ動画のイベントだった「闘会議」を共催という形で行い、プロライセンスを発行しました。イベントには7万2000人以上が来場し、ネットでの視聴者が約513万人(延べ数)。2日間で2800万円の賞金を出し、ここで発行されたプロライセンスの数が15人となりました。

ここから「プロライセンスを持っている選手には賞金をIPホルダーが出すことができる」という流れとなり、ゲームメーカーの方がたくさん大会を開きました。
これまでに合計28大会で、約51万人が大会に参加してくれています。賞金金額は約8カ月の延べで1億1850万円。去年までは賞金付き大会がほとんどありませんでしたが、こうやってIPホルダーがお金を出し始め、約半年間で賞金が1億円を超えるところまで環境が日本に出来上がってきました。

一方、環境が整いつつある中で、私達が重要だと考えているのが国際大会です。先日のアジア競技大会では、見事日本人選手が金メダルを取りましたけども、2020年の東京オリンピックでも何らかの形でエキシビションをやりたいと考えています。

現在、2024年パリオリンピックで正式種目になるかどうかの議論が行われておりますが、先日はローザンヌでeスポーツに関する公聴会を開かれました。トーマス・バッハ会長にも来ていただきましたが、そこで行われたのは、「eスポーツを採用するかしないか」の議論ではなかったと聞いています。むしろどのゲームまでをeスポーツをとして採用するかということだったようです。

こうしたムーブメントに合わせて、JeSUも日本オリンピック協会(JOC)への加盟の動きを進めていますが、加盟条件は3つあります。

1つ目は当該競技における唯一の国際団体・国内統一団体であることで、これはクリアしています。

2つ目がオリンピック競技大会・アジア競技大会、その他の国際大会に参加した実績を有していることです。今回のアジア競技大会はエキシビションでしたので、4年後のアジア競技大会では正式競技になることから、この大会への参加で決まるでしょう。

そして、3つめがIOC承認の国際団体に加盟していることです。JeSUは国際eスポーツ連盟(IeSF)の傘下でして、IeSFが申請中の国際オリンピック委員会(IOC)への加盟が決まればこちらもクリアになります。

プロサッカーやプロ野球などもeスポーツに注目

明治安田生命eJ.LEAGUEに参加した選手たち

ゲーム産業以外でもeスポーツへの注目がすごく集まっています。

Jリーグが「明治生命eJリーグ」を発足させ、日本野球機構(NPB)もパワプロを主体にプロリーグを作るというような形でeスポーツに参入してきています。

実は世界中でも、リアルスポーツがeスポーツを作るという動きが増えています。野球もサッカーもですが、世界中でリアルスポーツを観戦する年齢層がどんどん上がってきています。一方でeスポーツはといいますと、見ている方の年齢が10~20代前半と若いのです。

そして、野球やサッカーのゲームの中には、選手が実名で登場することが多いですよね。先にゲームで名前を覚えてもらい、それからリアルな試合で選手を見てもらえるように誘導したいという考えがあるようです。

メジャースポーツ同様、実況や解説もされるeスポーツ

eスポーツは野球やサッカーなどのメジャースポーツと同じで、放映にスポンサーが付いて収益を上げているという環境があります。放映権もすでに結構高額なものがあって、「オーバーウォッチ」というゲームでは、アメリカを中心に、中国や香港、イギリスなどにチームを置き、全世界12カ国でプロリーグが行われています。この放映権が2年間90億円で発売された例もあることから、放映権販売も大きなビジネスとなっています。

実はeスポーツと放送はものすごく親和性が高いんです。成り立ちの説明のために少し野球の話をします。野球が日本にやってきたのは1872年でした。そして1915年から高校野球、25年に東京六大学も始まり、都市対抗という流れなのですが、あまり目立った動きはありませんでした。

ところが、ラジオ放送が24年に始まった途端にアメリカの大リーグがボンっと、日本にきます。その年に巨人が誕生して、野球のプロリーグができてしまうんですね。つまりラジオの放送が野球を育て、プロ野球チームが生まれるという状況になったのです。そして第二次世界大戦後に野球が再開し、今度はテレビ中継が始まります。そこで、金田正一さんや長嶋茂雄さん、村山実さん、王貞治さんといったスター選手が生まれた結果、野球の黄金時代が来るというふうな形になりました。

一方でゲームですが、元々は1人で遊ぶものでした。この時代が長かったのですが、ネットワークにつなぐ時代になり、さらにはプレーステーション4などで常にハードディスクに自分のゲームプレイを録画して自動的にネットに上げる機能が付きました。

結果的に自分たちのプレイをネットで放送する母数がものすごく増え、コミュニティやイベントが生まれ、さらには販促につながるとメーカーがファンイベントを始めました。カッコいい選手も誕生し、ファンが生まれるという構造が出来上がり、この流れの中でイギリスのBBCなどの放送局もテレビで放送にするようになり、広がりを見せています。

選手の地位と認知度向上を目指して活動

最後に、今後の展開ですが、我々は理念として「eスポーツを通じて青少年の心身の育成をしたい」ということを目標に掲げています。そのためには日本においてeスポーツを普及させ、産業構造を大きくしていかなければならないと考えています。ポイントとしてはeスポーツ選手の活躍の場を増やすことだと思っています。テニスもゴルフもそうですが、将棋の藤井聡太さんのようなプロがひとり出てくると、いきなり競技人口が増えるんですよね。

具体的には、国際大会に非常に注目しています。ゲームを知らない人にアピールできることでいうと、オリンピックがものすごく注目されます。すると間違いなくeスポーツの認知度は上がります。国の旗・日の丸が掛かった試合になると、普段はゲームに興味がなかった人も見てくれます。そういった人たちのためにも、国際大会や都市交流戦など、いろんな大会を開催してきたいと思っています。

こうすることで選手そのものの地位と認知度が向上していきます。国内では国体でもどんどんやっていただきたいと思っていますし、そして権威ある大会があり、eスポーツのIPホルダーによるプロリーグがあり、国際大会もあるという風な構図で選手を露出させていきたいです。

eスポーツを産業として大きくしていければなということが、我々のJeSUとしての理想だと考えています。



今後オリンピック種目にも採用されるかもしれないeスポーツ。eスポーツの大会『RAGE』を開催する株式会社CyberZが先日出した統計では、10代から60代までの男女1200人のうち、49.8%がeスポーツを認知しているとの結果が出ている。
来年行われる『いきいき茨城ゆめ国体』でもプログラムの一つとして採用されるeスポーツは、今後どのような姿になっていくのだろうか。