触り心地も「クラウンメロン」そっくりな革小物  開発者が語る“リアル”へのこだわり

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  • 本物のクラウンメロンそっくりな牛革小物6種が話題
  • 生産地を徹底的に取材し、良いメロンの色にも近づけた
  • 「財布の形をしたメロンを作る」という感覚

食べちゃいたいほどリアル

食欲の秋が到来し、サンマや栗、キノコ、カボチャが旬を迎えている。
秋の味覚は果物の種類も豊富で、柿、ブドウ、梨、リンゴなどがあるが、1年を通していつでもおいしく食べられる果物がある。
贈答品にも選ばれる人気のフルーツ、メロンだ。

その代表的品種マスクメロンの中で、最高峰として知られる「静岡クラウンメロン」の見た目や質感を精巧に再現した牛革グッズが、いま注目を集めている。

独自の革を使用した小物の製造と販売を手掛けているEARL’S FAVOURITE(アールスフェボリット)が、9月末に発表した新作「クラウンメロンな革小物」だ。
現在のラインナップは、L字ファスナー長財布、2つ折り財布、名刺入れなど6種類。

「クラウンメロンな革小物」ラインナップ

表面にはクラウンメロンの特徴である美しい網目が浮きあがり、まるで本物のメロンを財布の形に切り取ったようだ。
内装は果肉の青肉色(ライトグリーン)で、ファスナーの引き手には小さなメロン玉がデザインされたこだわりっぷり。

ちなみにお値段は、
L字ファスナー長財布:13,800円(税込)
L字ファスナーミニ財布:6,900円(税込)
名刺入れ:8,500円(税込)
2つ折り財布:17,500円(税込)
定期入れ:5,300円(税込)
ピアス&イヤリング:3,500円(税込)

クラウンメロンのL字ファスナーミニ財布

ネット上では、「かわいすぎる!買わなきゃ」「理想的なネット(網目)の盛りと肌の色」といったコメントが寄せられていて、どれもお洒落でおいしそうな仕上がりだが、実は「メロン革」の小物を作ったのは、今回が初めてではない。

EARL’S FAVOURITEは、2017年9月に夕張メロンを模した革小物シリーズ(内装は赤い果肉イメージのオレンジ)を展開。
夕張市の鈴木直道市長が、自身のツイッターで名刺入れを購入したことを報告すると一躍話題となり、ふるさと納税の返礼品にも採用された。

第一弾の反響を受けての「クラウンメロン革」は、「夕張メロン革」と何が違うのか?
開発経緯をEARL’S FAVOURITEの代表・大澤慶久さんに聞いた。

夕張市長も愛用。夕張メロンカラーの「メロンなビジネス名刺入れ」

編集者から転身「冒険的なデザインのモノづくりがしたい」

前職は編集者だという大澤さん。
出版社の日経BPで「日経ビジネス」や「日経エンタテインメント!」を担当し、10年以上編集に携わってきた。
しかし、企画を立てることや“モノ”が好きだった大澤さんは、「自分でもモノづくりがしたい」という思いから、会社を立ち上げたという。


ーーなぜ「革製品」だったのか?

出版社を退職してからは、メンズファッション誌の編集をしていました。
そこで様々なファッションアイテムを見ましたが、革物に惹かれて。作るなら、好きなものを作りたいと思ったんです。


ーー果物を革小物のモチーフにした理由は?

「入れ物」である革小物は、必要な機能として、お札や小銭、カードなどが収まるサイズであることが求められます。
しかし、それは形が限定されるということでもあります。三角形の財布はデザインとしてはおもしろいけれど、使いにくいでしょう。
では、どこで差別化を図るかと考えた時に、素材である「革」そのもので勝負したいと思いました。
牛革を使用する製品は、販売価格が高くなるためか、オーソドックスなデザインのものが多くなる傾向があるのですが、そうではない、冒険的なデザインのものを作りたいと。
目を付けたのは、エンボス加工(立体的な凹凸をつける加工)ができるという革の特性です。
これを活かして、これまでにない柄をつくれないかと考えて、特徴的で高級なイメージがあるメロンにいきつき、以前から親交のあった兵庫県姫路市の老舗タンナー(革なめし職人)と共同で開発・製造しました。

いちごのコイン&パスケース(あまおう型・スカイベリー型の2種)

「フルーツはかわいいもの好きの女性にも受けると思った」という大澤さんは、1作目の夕張メロンを皮切りに、いちごやスイカをモチーフにした財布、バッグ、コースターなどのアイテムを製作。
浅草と秋葉原にある実店舗の他、自社ホームページでも販売している。

「Suica」が入るスイカ。中は種付きの赤い果肉柄

「財布の形をしたメロンをつくる」という感覚

ーー「メロン革」は第2弾ですが、同じ果物を選ぶことに抵抗はなかった?

全然なかったです。むしろ、まだ物足りないと思っていました。
私は財布をつくるというよりも「財布の形をしたメロンをつくる」という感覚で製作をしていて、最初は赤い果肉が特徴的な夕張メロンをモチーフにしましたが、他にも有名な品種があるなら作りたいと思いました。
そこで、マスクメロンの中でも最高級とされる「クラウンメロン」の産地、静岡県温室農業協同組合にコラボ企画を持ちかけました。
組合の所長とは、夕張メロン革の開発後に知り合って、名刺入れや財布を使ってくれていました。
所長が高級フルーツ店・千疋屋の社長と名刺交換をした際に、「クラウンメロン柄とは違うね」と指摘を受けたという話を聞いて、メロン業界の方に認めてもらえるような「本物」を作りたいと思いました。


ーー夕張メロンとは違う「クラウンメロン革」の特徴は?

果肉の色はもちろん、網目模様にあります。
クラウンメロンは、明治時代にイギリスからやってきた「アールスフェボリット」という品種(マスクメロンの正式名称)が品種改良されてできたものです。
一方の夕張メロンは、その親玉ともいうべき品種と「スパイシーカントロープ」という別の品種を掛け合わせた配合種で、網目に太い部分と細い部分とがあります。
クラウンメロンは、網目が細かく均一であることが美しいとされていて、他のメロンに比べて色や柄が上品なんです。


ーーどうやって本物に近づけていった?

開発にあたっては、クラウンメロンをつくる方に、どんなクラウンメロンが良いメロンなのかを徹底的に取材しました。
網目模様を変化させる日照時間に気を配っていて、果肉は美しい「青磁色」を目指しているという話を聞き、味だけでなく見た目にもこだわっていることを知りました。
それに近づけるため、完成までには半年以上かかりましたが、できた革を見た所長から「これがクラウンメロンの目指す色と柄だ」とお褒めの言葉をいただき、クラウンメロン関係者の方に喜んでもらえてよかったと思っています。

パスケースの表を見ると違いがわかる(左:クラウンメロン柄  右:夕張メロン革)

「クラウンメロンな革小物」の一番人気は、小さい鞄にもすっぽり入るL字ファスナーミニ財布。
販売からわずか1週間足らずで在庫分が完売し、年末に再販できるよう準備をしているという。

「メロン農家やフルーツ関係者の方々に届けたかったので、男性でも使いやすいように、あまりかわいくなり過ぎないことも意識しました」という財布は、デザインだけでなく使い心地にもこだわっている。

目指したのは、薄くて軽く、大きく開いて物を出し入れしやすいが飛び出さない“ストレスのない財布”だ。
使い込むと質感が変化するのかと思いきや、ラッカー仕上げのため黒ずむことはなく、指の脂によってツヤが増して「良い熟れ具合のクラウンメロン」を楽しむことができるということだ。

クラウンメロン革のスケジュール帳やブックカバーもほしいという声に対しては、「アイテムを増やしていきたいのでうれしいです。メロンに見えることを大切にしているので、いろいろ試していきたいですね」といい、次回作については「ショートケーキをモチーフにしたおもしろい商品」を企画中だと教えてくれた。
「絶対売れる。自信作です!」ということで、これからも「果物な革小物」から目が離せない。

(画像提供:EARL’S FAVOURITE)