「自由な髪型で内定式に出席したら、内定取り消しになりますか?」“話題の広告”の答えを就活塾に聞いた

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  • 就活生の本音を表現したパンテーンの広告が話題
  • 実は企業側は、服装や髪型を重要視していない
  • 就活塾「内定が取り消されることはあり得ない」

就活生の本音を表現したパンテーンの広告が話題

10月1日といえば、内定式。
台風24号の影響で延期もしくは中止する企業もあるが、実施する企業も少なくない。

こうした中、内定式に対する“就活生の本音”を表現した、P&Gのヘアケアブランド「パンテーン」の広告がTwitterなどで話題になっている。

「自由な髪型で内定式に出席したら、内定取り消しになりますか?」

広告には、このようなメッセージとともに、“黒いリクルートスーツ”に“黒いまとめ髪”の就職活動中の女性がデザインされている。

また、広告をよく見ると、小さい文字がびっしり。

「髪型のせいで面接に落ちたら嫌だから我慢する」「内定のためなら仕方ないと思う」などと就活生の本音が書かれていて、この広告自体がモザイクアートになっている。

就活経験者の男女1000人を対象に本音を調査

この広告は、パンテーンが展開する「1000人の就職活動のホンネ」から生まれたもの。

日本の就職活動は画一的で没個性といわれ、面接の際、服装や髪型は自由だと告知されていても、評価に影響することを気にして、黒髪・リクルートスーツで行く学生が多く存在する。

このような社会的背景を踏まえて、全国の就職活動経験者の男女1000人に「就職活動に関する調査」を実施したところ、就活生の81%が「企業にあわせて自分を偽ったことがある」と答えたことが分かった。

P&Gの広報担当者は取材に対し、「この調査結果をもとに、就活生の“ホンネ”をありのまま掲載したモザイクアートの広告を展開している」と回答している。

就活生の7割が服装や髪型に不満を抱いているが…

また、「就職活動に関する調査」では、「就職活動時の身だしなみ(服装や髪)への不満」についても質問。
すると、就活生の73%が「不満がある(あった)」と回答したことが分かった。

一方、企業200社に「学生の面接時・内定式時のみだしなみ(服装や髪)」について聞いたところ、 「評価に影響しない」と半数近くの企業が回答。

そして、「就職活動中の女性がまとめ髪でなくとも印象は悪くない」と答えた企業は79%に上り、髪型の影響が少ないことも分かった。

さらに、就活生が服装や髪型で個性を出して面接を受けることに「賛成派」の企業は 71%だった。

この調査をみると、学生と企業の間で、認識に大きな隔たりがあるように思える。
学生が服装や髪型を気にして画一的にしているのに対し、企業は、さほど重要視していないということになるが、実際はどうなのか?
就活塾「就活コーチ」の深澤浩美さんに聞いた。

就活塾に聞いてみた

――就活といえば、“黒いリクルートスーツ”に“黒いまとめ髪”。今もこの状況は全く変わっていない?

まだ大多数の就活生が黒づくめではありますが、企業側からの要望によって私服で行く場合も、年々増えてきています。

ただ、その場合、髪型についての記載はありません。

そのため、あえて私服を要望しない企業にも行くことを考えて、黒い髪にはしているようです。私服で行く場合は、まとめ髪にせずに行っています。


――服装や髪型で個性を出したら、その点を企業の人事はどのように評価する?

企業が採用で見て評価するのは「どのくらい仕事が出来そうかどうか」であり、個性の表現ではありません。

黒スーツ黒髪でなくても仕事が出来るように判断すれば高く評価するでしょう。

一概には言えませんが、きちんと感がある人のほうが安全、安心とは言えます。


――服装と髪型はどの程度、個性を出していいもの?

指導する立場からは、服装と髪型は大変、優先順位の低いファクターです。

活き活きとした意欲的な表情や積極的な話し方。全体から感じられる好ましい雰囲気で個性を表現することが大切だからです。

企業が見ている個性は服装や髪型ではありません。

外見というならば、服装や髪型より表情や目が大事です。
学生にはこの質問そのものを考えないで欲しいです。

内定が取り消されることはあり得ない

――内定式には“黒いまとめ髪”で出席する方が無難?

内定に至るまでには何度もその企業に足を運んでいるはずです。

その企業の雰囲気を感じて、内定式の装いも決めると良いでしょう。

面接時よりは少し自由な感じで良いかと思います。式であるならオフィシャルな面は大切にしつつですが。


――自由な髪形で内定式に出席したら、内定を取り消されることもある?

内定が取り消されるということはあり得ません。
もしもそんなことがあったら、社会的に大問題となるでしょう。聞いたこともありません。

服装・髪型が自由になったら逆に学生が困るかも

――就活は“黒いリクルートスーツ”に“黒いまとめ髪”という暗黙の了解はどうすれば変わる?

ここ20~30年の就活の中で徐々に暗黙の了解のようになってきて、今に至っているものであり、誰かがルールを作った訳ではありません。

強いて言えばスーツメーカーかもしれません。
採用企業からそういう要望も聞いた事がありません。

社会全体が「変なルール」「無意味なこだわり」と感じるようになれば変わると思います。


――就活の服装や髪型が自由になること、深澤さんはどう思う?

“黒いリクルートスーツ”に“黒いまとめ髪”は、学生の立場に立って考えてみれば、安心で楽なのかもしれません。

それだけに自由になったら、彼らにとって未知の世界である企業に踏み込むのですから、恐怖と困惑は増すかもしれません。

社会全体が「就活は自由な服装・髪型で」とならないと、自分で考えて行動することに不得手な彼らは、なかなか踏み出せないだろうと思います。

就活の服装や髪型が自由になっていくことを歓迎しますが、無理矢理、自由にすることもないかと思っています。


画一的で没個性と批判されている、”黒いリクルートスーツ”に”黒いまとめ髪”。
それでもこの暗黙の了解がなくならないのは、学生にとってメリットがあるからなのかもしれない。