“引退”か“退職か” 貴乃花親方が口にしていた、今後の相撲界のビジョン

  • 日本相撲協会は“退職届”を求めるも、代理人弁護士は“上申書”を提出
  • 貴乃花親方は“引退”、協会側は“退職”  それぞれゆずらない理由
  • 今後の角界を担う、次の世代たちへ込めた貴乃花親方の思い

弁護士が提出した「2つの書類」

貴乃花親方、突然の引退会見から3日が経った28日現在も、引退手続きに“待った”がかかった状態が続いている。
27日、貴乃花親方の代理人を務める弁護士は、日本相撲協会に2つの書類を提出した。

1つは、所属力士らの所属先変更願い。
25日に提出したものは、貴乃花親方の押印しかなかったため、再提出を求められていた。それを受け、移籍先となる千賀ノ浦親方が押印したものを、27日に弁護士が再提出した。

しかし、千賀ノ浦親方が押印した書類は、原本ではなくコピーだったということが発覚し、協会は原本の提出が必要だとして、再々提出を求める事態となった。

そしてもう1つは、上申書だ。
貴乃花親方は25日、契約に明記されているのが“引退”となっており、“退職届”ということは書かれていないとして、“引退届”を協会に提出した。一方、協会側は“退職届が必要”としており、再提出を求めていた。

そして、貴乃花親方の代理人弁護士は、“引退”という文字を“退職”と読み替えていただきたい旨の、上申をさせていただいたと発表した。

“退職届”ではなく、既に提出された“引退届”を、協会が必要としていた“退職届”として扱うよう求めた上申書に対して、協会の芝田山広報部長は「上申書ではなく“退職届が必要”」との考えを示した。
また、度重なる書類の不備については、「公益財団法人だからこそ、協会の書式にのっとり、きちっとした形で提出してもらいたい」と言及した。

“引退”か“退職”か、街の人に聞いてみると、
「どっちでもいいじゃない。紙として意味は同じなんだから」
「こんなことにこだわる必要はない。(貴乃花親方は)自分のことなんだから、自分で行けばいい。なんで弁護士を使って、自分で直接行かないのか」などの声が聞かれた。

貴乃花親方と協会、両者がこだわる理由

30年にわたり、貴乃花親方を取材している、夕刊フジの久保武司編集委員に、今回の騒動について聞いてみた。

夕刊フジ・久保武司編集委員

ーーなぜ貴乃花親方は“引退届”にこだわるのか?

久保編集委員:
こだわったら最後までこだわり続けるのが、彼の“イズム”なんですけど、要するに今後、相撲という職業から退くわけではないので、そういう意味合いはあるんじゃないかなという気が、とてもしていますよね。

ーー協会側は、なぜ“退職届”にこだわるのか?

久保編集委員:
これはもう協会のガバナンス・管理、きちっとした協会なんだということを、ここでちゃんとした形で見せたいというのが、取材してて感じられます。

10月1日、協会側は臨時理事会を開き、ここで書類が揃えば、弟子の移籍を審議して確定させた上で、貴乃花親方の退職について協議される方針だ。しかし、10月3日には秋巡業が始まる。

ーーうまくいかなかった場合は、混乱を招きかねないのでは?

久保編集委員:
混乱を上回る“大混乱”になってしまうんじゃないかと。

今の相撲界を“よりよい状態”で次の世代へ

また、貴乃花親方は今後について「これから別の形で貢献していければ、小さなわんぱく力士たちもおりますし、入門してくれる子を少しでも増やしていければ」と語っている。

ーー具体的に描いている構想とは?

久保編集委員:
貴乃花親方がやりたいと思っていることの1つ、「子供たちの育成」なんですよね。今まで相撲のスカウトというのは、(親方が)全国の相撲大会とかを見て、それでスカウトして(有望な学生が)入ってくるパターンがとても多かったんですけど。

貴乃花親方は今ある貴乃花部屋を本拠地にして、たとえば貴乃花道場という形にして、街のピアノ教室とかテニススクールのような形にして、全国にそういう教室・育成の形を広げて、それで入門希望の有望な学生たちを募って、貴乃花親方が指導できますし。

久保編集委員:
貴乃花親方がいつも言っていたのは、相撲の世界を辞められた「セカンドキャリア」をすごく気になさっていて、たとえばこれが全国規模で広がれば、元力士の中で、あなたが東北を担当してくれとか、あなたは九州を担当してくれとか、そういうシステムをつくりたがってるということは、再三直接聞きました。

ーー貴乃花親方は理事長になろうとしていたということは、そういうビジョンをやりたかったということ?

久保編集委員:
それは間違いないです。自分は理事長に絶対なるんだということは、私は一度も聞いてませんけど。ともかくいつも口癖のように仰ってたのは、改革だ何だじゃないと。「今の相撲界を、よりよい状態で次の世代に渡したいと、そういう思いしかないんですよ」ということは、食事の席でもお酒の席でも必ずその話になりました。

(「プライムニュース イブニング」9月28日放送分より)

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