美容師から提案されてパーマをかけたのに“実際の仕上がり”が違い過ぎる…返金してもらえる? 弁護士に聞いた

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  • 美容院での髪型に関するトラブルがTwitterで話題
  • 弁護士「返金してもらうことは難しい」
  • では、やり直しや修正をしてもらうことは可能?

美容師から提案されてパーマをかけたのに…

あるTwitterユーザーの“美容院でのトラブル”を報告するツイートが話題になっている。

ツイートをしたのは、たこウインナー(@xxxLoveDX)さん。

カットのみの予約で行った美容院で、「絶対楽になるから」と勧められ、パーマをかけたのだが、事前に見せてもらった“仕上がりイメージの髪型”と“実際に仕上がった髪型”に大きな隔たりがあったのだという。

たしかに、画像を見る限り、“仕上がりイメージの髪型”は「内巻き」のパーマ、“実際に仕上がった髪型”は「外巻き」のパーマに見え、違いは一目瞭然だ。

この仕上がりに愕然とした、たこウインナーさん。

後日、美容院の店長に「これは失敗ですか?成功ですか?」と聞いたところ、「施術者とあなたの問題だからわからない」とつれない返答。

「別の店で直したいので、せめてパーマ代の返金を…」とお願いしたところ、「こっちも薬剤代とかかかってるんで」と怒られたのだという。

挙げ句の果てに「全額返金してもらえますか?」と聞くと、「弁護士を通せ」と言われたようで、たこウインナーさんは「泣き寝入りなんですかね?」と嘆いている。

美容師から提案されてパーマをかけたのに“仕上がりイメージ”と“実際の仕上がり”に明らかな違いがあった場合、パーマ代を返金してもらえるのか?

弁護士法人L&Aの伊勢田篤史弁護士に聞いた。

返金してもらうことは難しい

――美容師から仕上がりイメージの写真とともに、パーマをかけることをすすめられたが、仕上がりはイメージとは程遠いものだった。こういった場合、パーマ代を返金してもらえる?

率直に、結論として、パーマ代の返金をしてもらうことは難しいでしょう。

以下、理由について解説していきます。

もちろん、提案されたとおりの髪型のイメージになっていないという意味では、お客さんの側からすれば非常に腹立たしいものとお察しします。

まず、本件においては、美容院側の勧めに応じて、お客さんと美容院との間に、仕上がりイメージを想定した、カット・パーマをかける美容契約が成立したものといえます。

この美容契約については、通常、民法上「準委任契約」と評価されます(神戸地裁平成22年10月7日判決参照)。

そのため、特段の事情のない限り、美容院側において仕上がりイメージと全く同じ結果にコミットしなければならない義務はなく、美容師として一般に要求される水準の注意を払って施術を行えばよいこととなります。

具体的には、仕上がりイメージに必要な情報(髪質等)をヒアリングし、適切なカットを施した上で、適切なパーマ手法によりパーマをかけることが美容院側には求められます。

美容院がこれに反した場合には、パーマ代の一部ないし全部の返金が求められる可能性があるのに対し、美容院側がこれに反していない場合には返金を求めることはできません。

そして、お客さんにおいて、美容院側が契約に反していたことについて、証拠をもって立証しなければなりません。

返金が難しい3つの問題点

本件でいえば、以下の3点が問題になるものと想定されます。

①仕上がりイメージについて

具体的に、どこまで美容院とお客さんで詰めていたのかは争点になり得ます。

今回は、内巻きか外巻かで分かりやすいようにも思われるかもしれません。

ただ、美容院側がそもそも写真は見せていない、そんなこと言っていない等と反論した場合、元々の仕上がりイメージがどうであったかの立証については、元々のやり取りを録音でもしていない限り、難しいと言えるでしょう。

そして、本件では一度お金を支払っていることから、その出来に少なくとも納得していたものと推測されます。

スタイリングを維持するためには、相応のメンテナンスが必要とされるようですので、施術後のお客さん側のメンテナンスが適切であったのかも問題とされる可能性があります。


②ヒアリングや説明の不備について

パーマには、熱を加えるもの、加えないもの等、様々な種類があり、手法ごとに髪質との相性があるようです。

そのため、必要な情報(髪質等)をきちんとヒアリングしているかどうかが問題とされる可能性があります。

しかし、これについても、その場のやり取りを録音していない限り、言った言わないの議論になってしまい、証拠による立証は困難となります。

カットやパーマの手法等について、適切な説明を受けていない等と主張することもできますが、これについても同様に言った言わないの議論になってしまいます。


③カット・パーマについて

カットについては、切りすぎ等で問題となることはありますが、本件については問題とはなっていないようです。

ただ、切りすぎたという問題についても、よほどのことがない限りは、主観的な要素によるところが大きいといえ、法的に債務不履行(契約違反)と主張立証することは難しいでしょう。

次に、パーマについてですが、様々な種類のパーマから適切なパーマの種類を選び、適切な方法でパーマを当てたかどうかについては、非常に難しい議論となるでしょう。
   
結局のところ、今回のようなケースで、美容院側の債務不履行(契約違反)を立証することは難しいといえます。

返金してもらえるとしたら…

――返金してもらえるとしたら、どのようなケース?

美容院側には、上記のような債務(義務)が認められますので、義務違反につき証拠をもって立証することができれば、返金を受けることができる可能性があります。

ただし、返金される範囲は、各契約(義務)違反と因果関係のある損害に限定されますので、全額が返金されるわけではない点に注意が必要です。

一方で、極端な事例として、例えばパーマ液等の関係で火傷等の皮膚炎になった場合については、治療費の範囲内で返金してもらえる可能性はあると思います。

やり直しや修正を行う義務もない

――パーマのやり直しや修正をしてもらうことは可能?

民法上、準委任と評価される美容契約においては、法的に、やり直しや修正を行う義務は規定されておりません。

もちろん、美容院側の善意(好意)で、そのような対応をしてもらうことは可能ですが、法的に要求できるものではないことはご注意ください。

誰の身にも降りかかる可能性がある、美容院における仕上がりに関するトラブル。
たとえ美容院側から提案されたとしても、返金してもらうのは難しいようだ。



伊勢田篤史
弁護士法人L&A パートナー弁護士・公認会計士 
慶応義塾大学経済学部卒。大学在学中に公認会計士試験合格後、大手監査法人勤務を経て2014年弁護士登録(67期)。東京弁護士会所属。法務と財務の両面から、企業経営に関するコンサルティングを行っている。