国連演説でトランプが語った「俺が気に入らないこと」 語らなかった「ロシア」

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  • 1年前のロケットマン演説とは様変わり
  • アメリカを食い物にさせなことが『米国第一』
  • 中間選挙を意識してロシアをスルー

1年前とは様変わりの演説

36分間の国連演説でトランプ大統領が北朝鮮について語ったのはわずか2分だった。
6月のシンガポール首脳会談から状況は劇的かつ具体的に好転していると誇ってみせ、金正恩委員長への感謝を表明しつつ、非核化が実現するまで制裁は継続されると言い添えた。そして、韓国の文在寅大統領、日本の安倍総理、中国の習近平国家主席の3人の名前を挙げて特別な感謝を表した。それだけだ。
2度目の米朝首脳会談に向けた大統領の考えや非核化をめぐる動きや見通しなどが語られることはなかった。

「僕が気に入らないこと」の列挙

演説の大半は、トランプ大統領が気に入らないと思っていることを列挙することに充てた。まずイラン核合意。不公正貿易で中国。アメリカが脱退した国連人権理事会、アメリカの主権を侵害しようとする国際刑事裁判所。イラン制裁との関連でトランプ大統領の原油増産要請を無視したOPEC。お馴染み移民問題。ヴェネズエラとキューバの社会主義政権も槍玉に。さらに効果が不明な国際支援。国連などアメリカが過重な負担を強いられている非効率な国際機関、などなどだ。

通底するメッセージは、アメリカをうまく利用してやろう食い物にしようと試みても無駄だ。トランプ外交のキーワードは『アメリカの主権は犯させない』。アメリカが何をし何をしないかを決めるのはアメリカ=大統領トランプだけだ、といったこと。

危機感と諦め 静まりかえった会場

トランプ大統領の語り口は一貫して淡々としていたが、内容の大半は不満の表明であり、国際社会を突き放す類のもので、逆に迫力が感じられた。各国代表で埋め尽くされた国連総会場は静まり返っていた。拍手が起きたのは演説終了直後を除けば、演説が始まって早々に大統領が自身の実績を誇大表現したことに対して失笑が起き、それにアドリブで大統領が反応した際の一度だけ。各国代表は予想はしていたものの、演説が進むにつれて危機感と諦めを深めたのだと容易に想像がつく。

語らなかった「ロシア」

演説を斜め読む際の極意の一つは、何が語られたかではなくて、何が語られなかったかを意識すること。
今回の『俺が気に入らないこと演説』でスルーされていたのは、ロシアだ。ロシアに触れると、アメリカ国内ではロシア疑惑がらみの見出しで報道されてしまうからだろう(日本では新味がなくても北朝鮮関連の見出しで報じられるのと同じ)。その意味では、演説会場は国連であっても、演説内容はアメリカ国内の受けを強く意識したものだったと言える。

どうなる米朝首脳会談

トランプ大統領の再選にも影響する中間選挙の投票は、ちょうど6週間後だ。
はたして大統領は、有権者受けを最優先して、それまでに金委員長との2度目の会談に臨むのだろうか。国連演説では語られなかったが近々発表されるという会談の時期と場所に注目したい。

(執筆:フジテレビ 解説委員 風間晋)

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