「まっとうな国」と考えるのはまだ早い!増加する北の不審船で懸念される病原菌と覚せい剤

カテゴリ:国内

  • 青森県沿岸で2隻の不審船が漂着
  • 北朝鮮からの密入国者が上陸している可能性も
  • 漂着者から病原菌!覚せい剤密輸へも警戒必要

青森に漂着した2隻の不審船

中泊町に漂着した船

四方を海に囲まれた日本は、常に海から忍び寄る脅威にさらされている。特に近年、日本海沿岸が不穏な状況である。海上保安庁や警察による領海警備、沿岸警備体制は、強化されているはずだが、その隙を突くように日本海沿岸には、不審な船の漂着が続いている。

9月初旬、2隻の木造船が青森県の海岸に流れ着いた。9月の日本海では、南東から北西に風が吹くことが多く、この風が吹いている間、北朝鮮からの漂流船は、ロシア方向に流れるはずだ。しかし、なぜか日本の沿岸に流れ着いたのだ。

一隻は、イカを干すための櫓が立つ15メートルほどの船で、日本海側の中泊町の岩場に流れ着いた。漂着後、台風の影響を受け船体は大破し、船体の半分ほどが砂浜に残されていた。

外ヶ浜町に漂着した船

もう一隻は、長さ約8.5メートル、船底が平らな小型船で、沿岸で小魚を取るために使う網が乗せられていた。船の漂着した場所は、津軽海峡から陸奥湾に少し入った外ヶ浜町の海岸で半分水没した状態で発見され、現在は海から引き揚げ、町役場の敷地に移動している。

この2隻は共に、北朝鮮船の特徴である船体に黒いコールタールが塗られ、赤字で船の識別番号が書かれていた。また、船内に人の居た痕跡があるが、生存者も死体もなく漂流する幽霊船となっていた。

筆者は現地に赴き調査し、この二隻の幽霊船は、全く違った理由で漂流したものと分析している。

他の船に曳航されて日本へ 密入国者上陸か

中泊町に漂着した船の内部 エンジンルームが改装されていた

南北首脳会談、米朝首脳会談を経て、北朝鮮の社会情勢は一段と混沌としているようだ。

中泊町に漂着した船は、エンジンとスクリュウを結ぶパイプに布きれが詰め込まれていたことから、漂流する前からエンジンや燃料タンクが外されていたと考えられる。また、エンジンルームは、居住空間に改装され、そこには、シャツや長靴、手袋が残されていた。

エンジンを持たないこの船は、日本沿岸を北上する対馬海流まで、他の船に曳航されなければ日本に流れ着くことはないのだ。また、日本海の好漁場である大和堆付近では、海上保安庁と水産庁が徹底した北朝鮮漁船の進入措置対策をしているため、漂流船がその隙間を通り日本に近づくことは不可能である。この船は、故意に日本に漂着するために、警備の目を盗み送り出されたようだ。さらに、エンジンルームに潜み漂っていた船員の姿は無く、また、最近、死体が漂着したとの報告も無いことかた、北朝鮮からの密入国者が上陸していることが推測される。

外ヶ浜町に漂着した船の船尾には、北朝鮮南部の港町「元山」を母港であること示す文字、さらに船内に船名と船の管理者名が書かれていた。

船内には小型のエンジンが残り、スクリュウも着いたままだった。この船には、黄色い子供服が残されていた。さらに子供服の背にロープが結ばれ、ロープの片方は船体につながれていた。この船には、北朝鮮を抜け出そうとする脱北者の家族が乗っていた可能性がある。船の破損状況から1年以上漂流したとは考えられず、しかし、この船にも残存者もない。乗船者がどこに消えたのか謎も多い。

「まっとうな国」と考えるのは時期尚早

北朝鮮では国連安保理決議に基づく経済制裁の効力が発揮し、石油などのエネルギーが枯渇し、経済の疲弊も極限に近づいているようだ。再び生きるために北朝鮮を脱出する人が増えているのかもしれない。また、豹変する金正恩体制に振り回され、粛清を恐れる勢力もいるようだ。本来であれば、韓国を目指す人々が、文在寅大統領が金正恩体制に近づいていることから、今後、脱北者が日本を目指すことも考えられる。

北朝鮮国内の混乱は、海を越え多大な影響を日本にもたらしているのだ。米朝首脳会談後、北朝鮮が期待していた米国の譲歩は無く、諜報活動や破壊活動に従事する者が漂着船で国内に侵入している可能性がある。ITが一般化した現代社会では、スマートホンひとつで通信も翻訳も位置情報の確認もできる。工作員としての教育を受けていなくても、相応の活動は可能なのだ。

また、北朝鮮からの漂着者が、日本に病原菌を持ち込むことにも注意が必要だ。昨年、北海道の松前小島に侵入し窃盗で逮捕された北朝鮮漁船の乗組員には、結核患者が含まれていた。さらに、北朝鮮で蔓延しているといわれる覚せい剤の密輸を行っている可能性もある。

海保と警察の連携体制の再確認、洋上及び陸上での監視体制および衛星や航空機を使った情報収集の強化は不可欠だ。拉致問題は未だに解決していない。北朝鮮を「まっとうな国」と考えるのは時期尚早である。例年では、10月以降、北朝鮮からの漂着船が増加する。治安、安全保障、公衆衛生などの面から見ても北朝鮮からの漂着船から目を離してはいけないのだ。

(執筆:海洋経済学者 山田吉彦)

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