「日本には変人が多い!」 イグ・ノーベル賞の創設者が見たニッポン人

賞の創設者・過去の日本人受賞者9人が集合

カテゴリ:ビジネス

  • イグ・ノーベル賞の創設者や過去の日本人受賞者が集まった。
  • 日本とイギリスからの受賞者が多い。
  • その理由は「変人が多くて、社会で許されていること」。

変人扱いされても…

「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して賞が与えられる『イグ・ノーベル賞』。

1991年にノーベル賞のパロディーとして創設され、米・ボストン近郊のハーバード大学で毎年授賞式が開催されている。本家ノーベル賞と同じ物理学賞などの分野のほか、「栄養学賞」「心理学賞」「音響賞」など様々なジャンルがあり、これまでに日本人研究者も多数受賞している。

2018年のイグ・ノーベル賞の医学教育賞には、長野県の昭和伊南総合病院に勤務する堀内朗医師が選ばれ、日本人の受賞は12年連続となった。

そんな嬉しい話題が続く「イグ・ノーベル賞」の世界初となる公式展覧会が日本で開かれることになり、9月21日、創設者のマーク・エイブラハムズさんや過去の日本人受賞者9人が集まってオープニングセレモニーが開催された。

マーク・エイブラハム氏(左)と日本人受賞者ら

発明家として有名なサー・ドクター中松義郎さん(91)もそのひとりで、「35年間に渡り自分の食事を毎回撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析し続けたこと」で2005年の栄養学賞を受賞した。

写真を撮り始めたのはドクター中松さんが42歳の時で、老化防止のために毎日、自分の食事を写真で記録していったのだという。スマホで簡単に写真を撮れる現代と違い、1970年代に全食事を撮影する人など皆無だったが、変わった人扱いをされても続けたという。

サー・ドクター中松義郎さん

そのほかにも「床に置かれたバナナの皮を人間が踏んだ時の摩擦係数を計測した研究」(馬淵清資さん・2014物理学賞)、「ピカソとモネの絵を見分けるハトの研究」(渡辺茂さん・1995心理学賞)、「心臓移植をしたマウスに、オペラの『椿姫』を聴かせた所、モーツァルトなどの音楽を聴かせたマウスよりも、拒絶反応が抑えられ、生存期間が延びたという研究」(内山雅照さん・2013医学賞)など、個性的で「変人扱い」されそうだがマジメな研究ばかりだ。

ピカソとモネの絵を見分けるハトの研究

2018年に医学教育賞を受賞した堀内朗さんは「大腸の内視鏡挿入を容易にするために内視鏡スコープを自ら大腸に挿入することを研究したことについて」で賞に選ばれた。

「座ったまま自分自身に大腸内視鏡を挿入する姿」は、傍から見ると笑いが出てしまうユニークな格好になるが、大腸内視鏡検査を行なう患者の苦痛を少なくする方法として始めたのだという。

「自分では良いことをやっているつもりだったけど、誰からも認めれなくて、良いことって伝わらないんだなと思っていた」と当時を振り返っていた。

堀内朗医師(中央)

「日本には変わった人が多い」

「カラオケ」「たまごっち」「バウリンガル」といった商品も受賞したことがあり、日本はこれまでに23組がイグ・ノーベル賞を受賞していて、開催地のアメリカを除くと、世界一の水準となっている。

たまごっち(1997経済学賞)

これに匹敵する水準で受賞を続けている唯一のライバル国がイギリスだ。

「バッタが映画『スターウォーズ』を見たら興奮するかどうか」を調べるため、脳細胞の活動を電子的にモニタリングした研究が2005年の平和賞、「名前を付けて育てた牛の方が、名無しの牛より乳の出が良くなること」を証明した研究チームが2009年の獣医学賞に選ばれるなど常連となっている。

“ライバル国” イギリスの研究

日本人とイギリス人に受賞者が多い理由について、イグ・ノーベル創設者のマーク・エイブラハムズ氏は次のように語った。

世界の大半の国では、変わった行動をすることは悪いことと思われます。そういう評判がついてしまうと、罰せられることだってあります。しかし、日本とイギリスは伝統的に違う。

日本には変わった人が多いです。変わった人が1人いると隣近所は快く思わないかもしれない。でも、他の皆さんはそれを誇りに思うんです。『変わった人は、我々みんなの変わった人だ』と。

だから、日本とイギリスでは、長い発明をしてこられたと思うんです。素晴らしいクレイジーに見えるものを壊さずに生かし、重宝してきたんです」

「日本には変わった人が多いです」

「日本人は型にはまった人が多い」と言われるが、確かに自分の意志や信念を持って行動する「変わった人」に憧れる一面があるかもしれない。「隣近所は快く思わないかもしれないけれど…」という前置きも、日本についてよく分析をしているようだ。

「日本には奇人・変人に当てはまる人が多い」というマーク・エイブラハムズ氏。さらに、こんな言葉で日本人を励ました。

「日本人の受賞は12年連続で、これは偶然ではありません。日本は世界をリードするチャンスもあります。勇気をもって強く歩んでほしいと思います」

こうした奇人・変人の研究が、様々な分野でイノベーションを起こすかもしれない。