冒険心をくすぐる「伝説の聖剣“表札”」が話題!抜けないのか…開発者に聞いた

カテゴリ:国内

  • 岐阜県のメーカーが開発した“男前表札”  そのコンセプトストーリーがかっこいい
  • SNS上では「抜いてみたい!」の声多数
  • こだわりは「刃に残った魔王の爪痕とドラゴンの炎の痕」の再現

世界に光を取り戻した聖剣

家の戸口や門など、玄関に掲げて居住者の名前を示す「表札」。
“家の顔”ともいわれ、文字の種類やフォントや板の材質など、そのデザインは豊富で、住宅街をまわっても全く同じ表札に出会うことはないほどだ。

そして今、かつて誰も見たことがないような個性的すぎる表札が、ツイッター上で話題となっている。それがこちら!


花壇に突き刺さる一本の剣。
鈍い光を放つ刀身には焼け跡のような模様があり、使い込まれた印象だ。
しかし、この剣が表札…?と思わず目を疑ってしまうが、よく見ると、刃の右上に「野村」の文字が確認できる。

実はこの剣の表札、美濃クラフトという表札専門メーカーが制作・販売している歴とした商品で、その名も「男前表札~伝説の聖剣~」


なぜ伝説の聖剣が表札になっているのか? 答えはカタログの紹介文にあった。

世界に光を取り戻すため魔王と戦い勝利した俺は、勇者を引退し、家族を守る主となった。
幾多の魔物を葬ってきた大剣は庭に封印し、名を刻んだ。(商品紹介カタログより)

かっこいいストーリーのもとに生まれた「伝説の聖剣」の表札。

勇者の相棒として世界を救った聖剣の刃と持ち手はステンレス製で、長さ1m59cm。
柄は銅製のいぶし仕上げだ。ステンレス製のため触って指を切ることはないのでご安心を。
価格は「どんな魔物もイチ(1)コロ(56)」の15万6000円(税別)だといい、なんとも洒落が効いている。
また、聖剣の横に石碑を建てられるオプションもある(文言に決まりはなく、自由にオーダー可能)。

このゲームの中から飛び出してきたような表札に、ツイッターユーザーたちは大興奮。
「中二心をくすぐられる」「冒険が始まる予感」「かっこいい!けど引き抜かれそう(笑)」など、期待と心配の声が寄せられた。

アーサー王伝説に登場する伝説の剣・エクスカリバーを連想したのか、抜けるかどうか試したいという人も多いが、どのようにして作られているのだろうか?
美濃クラフトに電話をすると、開発に携わったという“元勇者”の野村さんに話を聞くことができた。

「刃の傷は、魔王の爪痕とドラゴンの炎の痕」

ーー開発の経緯は?

私は入社前、勇者をやっていました。この剣で魔王に挑み、めでたく倒すことができました。
戦いの終焉とともに必要なくなった剣を自宅の庭に刺して、表札として活用しています。
それを商品化したら、おもしろいのではないかという話になったんです。


ーーというのは設定…ですよね?

真面目に答えると、人の顔が千差万別、それぞれ個性があるように、「おうちの顔」といわれる表札も、もっと趣味やライフスタイルを前面に打ち出したものがあってもいいんじゃないかと思っていました。
豊富な素材やデザインを使って、何かおもしろい表札を作れないかと考えていたある日、居酒屋で飲みながら好きな漫画や音楽の話をしていると、突然アイディアが降りてきました。
「伝説の聖剣」のストーリーも商品開発と営業を担当している私が考えました。

カタログでは「やや斜めに設置するとさらに男前」とアドバイス

ーーどんなところにこだわった? 完成にかかる時間は?

設定を忠実に再現するため、職人が一振り一振り手作業で仕上げています。
刃の部分には、魔王の爪痕やドラゴンの炎を防いだ時についた痕があります。
これは布などを使って加工しているのですが、実は、溶接で作るために本物の剣のようにピカピカにならなかった粗を「味」としています。
一般的な表札は、早いものだと1~2日で完成しますが、「伝説の聖剣」はご注文から約3週間ほどで完成となります。

ーー錆びたり抜けたりすることはある?

ステンレスが含まれているので錆びることはあります。
特に柄部分の銅は、10円玉と同じで長期間外に置いておくと黒ずんだりもしますが、そういった経年変化も含めてカッコイイと思っています。
埋まっている部分は30cmで、設置時にはコンクリートで固めているので、勇者しか抜くことはできません。


ーー魔王が去ったとはいえ、名前を剣に記して公開しても大丈夫?

もしかしたら、小さな魔物はまだ生きているかもしれませんが、心配ありません。
購入していただいた方々はもれなく勇者なので、全国各地で平和を守ってくれるはずです!

「男前表札」ヒットを受けてシリーズ化

1984年の創業時から、数々の遊び心あふれる表札を世に送り出している美濃クラフトは、どの部署の社員でもアイディアを商品化することができる自由な社風だという。
「これまでの表札の概念を飛び超え、もっと豊かな暮らしに繋がる、進化した表札たち」というコンセプトを掲げた「濃い顔シリーズ」から2016年に誕生した「伝説の聖剣」も、そのひとつだ。

野村さんは、「伝説の聖剣」が累計約60本を売り上げるヒットとなったため、「男前表札」というシリーズを展開。
2017年には「守護の日本刀」と「賢者の杖」の2バージョンを作成し、3年目の今年、シリーズ完結作となる「魔王の黒剣」「海王の三叉槍」を発表した。
「ありがたいことに次回作への問い合わせをいただくので、プレッシャーで吐きそうです」と言いながらも、来年春のカタログに向けて新作の開発に取り組んでいるそうだ。

左:守護の日本刀  右:賢者の杖

最後に、表札への思いを聞くと、「自分の名前が入っているものだから、聖剣に限らず月に1回拭くなどして長く大切にしてほしいです。小さな存在ではありますが、個性的な表札を通して近所の人たちとの会話が生まれたり、家族が笑顔になったりする、そんな光景がたくさん見られるようになったらうれしいですね」と話してくれた。

家にはとことんこだわりたい!という人は、美濃クラフトでお気に入りの表札を見つけてみてはいかがだろうか。