社員の「やる気偏差値」を算出!? 新たな“企業価値”の基準がもたらすもの

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  • 社員の「やる気」や「やりがい」を会社ごとに数値化し、投資家などに提供
  • 11段階評価で、AAA判定はたった3%の会社だけ
  • 会社自体にもメリット。辞めた社員が戻ってきたケースも

社会人のみなさん、あなたの仕事の「やる気」はどのぐらいだろうか?
そんな一言では表しにくい「やる気」や「やりがい」など社員と会社のつながりを数値化し、投資家などに“企業の価値”として公表しようという動きがある。

この取り組みを始めたのは、社員と会社の「相互理解」・「相思相愛度合い」を測るサービスを提供している株式会社リンクアンドモチベーションで、その指数をもとにした「エンゲージメント・レーティング」という格付けランクを公表すると9月18日に発表した。
このサービスを使っている会社は3840社あり、現在そのうち7社が格付けランキングを公表する意思を示しているという。

この「エンゲージメント・レーティング」、データベースをもとに会社の「やる気」を偏差値で出すとは、いったいどういうことなのか?
公表することで会社にとって何かいいことがあるのか?
担当者に聞いてみた。

――エンゲージメント・レーティングは、「やる気偏差値」という意味なのか?

我々としては「会社と従業員の相思相愛度合を数値化したもの」という言い方をしています。
やる気、モチベーション、会社への貢献度、愛社精神というものも含めて、会社と従業員の「絆」や「関係性」を数値化しているものとなっています。

11段階評価。最高の「AAA判定」は上位3%の企業のみ

――社員と会社の関係性はどうやって調べるのか?

社会心理学を下敷きに「相互理解」や「相思相愛度合い」に関わる要素に基づいて設計したアンケートを行います。
一般的な会社の満足度調査と違う点としては、同じ項目で「満足度」と「期待度」をそれぞれ5段階で評価していただくことが挙げられます。
こうすると、会社が取り組むべき課題の優先順位が分かるのです。

たとえば、社員の期待度が高いのに満足度が低いものは、会社の弱みになるのですぐ取り組まなければなりません。
期待度も満足度も低い場合は、関心そのものが薄いのですぐ取り組まなくてもいいことがわかります。

こうして出た結果から、同様に集計した3840社 90万人以上のデータベースを基に偏差値を算出し、AAAからDDまで11段階のレーティングを判定します。
ちなみに一番上AAA判定は上位3%の企業しかつけられません。

――なぜ、社員と会社の「相互理解」「相思相愛度合い」を測ろうと思ったのか?

弊社を創業した小笹芳央は、もともとリクルート社で組織人事コンサルトをやっておりました。
そこで、企業の状態というのはPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)だけでなく、それを動かす人の状態をもっと重要視しなければいけないと考えました。
しかし当時は、人や組織の状態を測る「ものさし」がなかったので、自ら指標化することを思い立ったのです。

――同じような指標は海外にあるのか?

海外では「エンゲージメント(愛着度)」という言葉で、同じような指標があります。
日本は結構遅れていましたが、ごく最近1~2年前から「エンプロイー・エンゲージメント(社員と会社の愛着度)」という言葉がはやり始めていますね。

辞めた元社員が戻ってきた!会社自体にもメリット

そして、相互理解や相思相愛度合いの数値(ES)と営業利益率は相関関係があるという。
これはリンクアンドモチベーションと、慶應義塾大学ビジネス・スクールの共同研究によるもので、スコアが1ポイント上昇するにつき、営業利益率が0.35%上昇するとしている。
やはり「やる気偏差値」が高い企業ほど業績もいいということなのだろう。

リンクアンドモチベーションは「エンゲージメント・レーティング」を公表して世の中へ浸透させることで、資本市場における適切な情報提供を実現するとして、2025年までに公表する企業を上場300社に増やすことを目標としている。

――エンゲージメント・レーティングを開示するメリットは?

まず投資家にとっては投資すべきか判断がしやすくなります。
組織状態は業績だけで測れない部分があって、そこがうまくいかないために不正が起きたりトラブルが起きることもあります。
この指標は、そういう部分を見極める役に立つでしょう。

あと、社内の情報を外部に公表することによって、自分の会社をもっとよくしたいという意識が高まっていくと思います。
その他にも、エンゲージメント・レーティングがAAAだったと公開したある企業では、就活の学生が興味を持って連絡をしてきたり、その会社を一度やめた方が「組織状態よくなったんだ」と戻ってきたケースもあると話されていました。
やはり組織の状態が良ければ良いほど会社が成長するのだと思います。

会社を判断する新たな材料として、業績だけでは測れない、その会社を動かす社員の「やる気」を指標化するという試みは面白い気がする。

他の会社と比べて自分の会社の「やる気偏差値」はどうなのか。知りたい気もするがちょっと怖い気もする…