機能性表示食品ができるまで。ヒットを生み出すファンケルが支持される理由

カテゴリ:ビジネス

  • サプリメントは体内の吸収や薬との飲み合わせも調査
  • 「製品にこんな機能がある」と言えるように必ず臨床試験を実施
  • 社員全員がお客様のリアルな意見をフィードバックできる体制

「機能性表示食品」と聞いてどれだけの人が理解しているだろうか。

心も身体もキレイになるためのライフスタイルをサポートする、美と健康のイベント「アンチエイジングフェア2018」が9月20日から開催される。今回で3回目だ。

健康測定の体験、機能性表示食品をはじめとする毎日の生活で試せる商品のサンプリングや著名人によるセミナーも予定されている。

このイベントでブースを出展する「ファンケル」は、糖や脂肪の吸収を抑える「カロリミット」や、目元のピント調節を助ける「えんきん」など、人気商品を次々に発表している。

これらの機能性表示食品はどのようにして生まれたのか? ファンケル総合研究所の機能性食品研究所課長・小野衣里日さんにそもそも機能性表示食品とは何か、商品開発で大切にしていることを聞いた。

(聞き手:新美有加アナウンサー)

臨床試験、論文…商品化までの長い道のり

ーーファンケルでヒットしているサプリメントの多くに「機能性表示食品」と書かれていますが、これらはどのような商品なのでしょうか?

安全性を前提に科学的根拠に基づいて、ある一定の機能が得られる食品のことで、消費者庁に届出たものです。

機能性表示食品というカテゴリは2015年に開始された制度によって生まれました。

それまで日本では長らく、食品に対して具体的に「◯◯に機能がある」ということを謳ってはいけないという決まりがありました。

臨床試験などを経て科学的な根拠があっても、です。これでは、消費者の皆さんにとっても何に良い食品なのか正しい情報が得にくく、商品が選びにくい状況でした。

事業者が適正な情報を提供し、正しい商品を選択できるようにするために機能性表示食品という制度が設けられたのです。

ーー臨床試験はどのように行うのでしょうか?

第三者機関を通じて、被験者にある一定期間サプリメントを飲み続けてもらい、その結果によって科学的根拠を立証します。投与期間前には、試験計画を立てたり、被験者を募集したりする必要があるので、臨床試験は約半年から一年ほどかかります。

結果が出た後は論文にして、有識者に研究内容を審査してもらう必要があるのですが、その審査結果が出るまでに、1ヶ月から長いもので3年かかることもあります。

論文が認められない場合は、また別の雑誌に投稿して、審査結果を待つ日々が続きます。そこで論文が認められたら、やっと消費者庁に届けるという流れになります。


ーー商品化に至るまでに、ものすごく時間がかかるんですね。機能性表示食品は必ずしも臨床試験が必要ではないそうですが、ファンケルがこの工程を重視する理由はなんでしょうか?

科学的根拠を立証できる機能性表示食品は「本品にはこういう機能があります」と言い切ることができます。

ただし、試験を行っていない商品については、さまざまな論文を集約した研究レビューの情報によってでしか、機能性の根拠を表示できないので「本品に含まれる◯◯という成分はこういう機能があると報告されています」といった遠回しな言い方しかできません。

それではお客様にとって、非常にわかりにくい。われわれは、製品自体にこういう機能があると断言できるように臨床試験を行っています。

サプリメントの開発には2つの方法

ーーファンケル総合研究所の機能性食品研究所では主にどのようなことを行っているのですか?

機能性食品研究所では、主にサプリメントと発芽米、青汁を開発しています。

薬学博士や薬剤師など専門スタッフが在籍し、成分の基礎研究から基盤技術の開発、既存商品の安全性・品質を強化するための研究も行っています。


ーーサプリメントの開発は具体的にどういうことを行っているのでしょうか?

「◯◯の機能を持つサプリを開発してほしい」というオーダーに沿って作る方法と、ある成分の機能に注目し、それを生かしたサプリメントを開発する方法の二つがあります。

前者は、「目元のピントを調整したい」とか、「脂肪や糖の吸収をおさえたい」など解決したいテーマに対して、どういった成分を入れるべきかを考えるところからスタートします。

後者は、まもなくリリースされる「尿酸サポート」を例にとりますが、これは日本ではあまりなじみのなかった「アンペロプシン」という成分に注目するところから始まりました。

中国で古くから飲まれているお茶から摂取できる成分なのですが、化合物の構造式を見てみると、抜群に抗酸化作用が高いとわかりました。これが、尿酸値の低下に対して機能を持つのではと類推して研究を重ねた結果、日本初の尿酸値を下げる機能があると認められた「尿酸サポート」が生まれたのです。


ーーサプリメントを構成する成分以外では、どのような研究が必要ですか?

サプリメントは成分だけでなく、製剤設計も重要です。一度にたくさん飲んでもすべてが吸収されるわけではないので、体内に投与したとき、どれぐらいの時間をかけて溶けるのかを推測して、すぐに体外に排出されてしまう成分はゆっくり体内に吸収されるように設計するなど、体内効率に合わせて製剤化します。

体内と似た環境を作りサプリメントの溶け方を試験


また、ファンケルは安全性もとても重視しているので、使用する成分が本当に信頼できるかどうかも一つずつ確認します。

原料によっては、似せてつくられた合成のものを添加している場合もあり、こういった偽物を避けるためです。

安全なものかを確認するために原料から成分を分析

一般に流通している薬に含まれている成分もすべてチェックし、ファンケルのサプリメントと長期的に同時に摂取しても大丈夫かどうかということも調査します。

一般の薬は何万種類とあるので、その薬の成分をひたすらデータベースに打ち込んでいくのですが、常に新しい薬が発表されるので、そのたびに情報を更新する必要があります。


ーー何万種類…。考えただけですごい量ですね。

お客様相談室には、飲み合わせの問い合わせが約25%を占めています。コールセンターのスタッフもこのデータベースを元にお客様に答えられるようにしています。

「説明は一言で簡潔に…」

ーーファンケルの強みはどんなところだと思いますか?

いろいろありますが、一つは商品の研究、製造、販売を一貫して行うところです。

サプリメントの開発は行っていても、自社工場で作っているメーカーは国内にはほとんどありませんし、直営店を持たないところも多いです。

われわれはショップを通じて、お客様と直接つながっているので、「袋が開けにくい」とか「こういう商品が欲しい」といったリアルな意見をフィードバックして、商品開発に取り入ることができます。

こういったお客様の声に関してはデータベースに蓄積して、社員全員がアクセスできるので、売り場に立っていない研究員も常に見ることができます。

ーー印象に残っているお客様の声はありますか?

お客様からの問い合わせに答えていたときに、「説明は一言で簡潔にしてください」と指摘されました。

私は研究員なので、あれこれと成分の機能を言いたくなるのですが(笑)、それではわかりにくい、と。それからは、開発時に一言で説明できるかを意識するようになりました。

これからも、消費者の方にとって、わかりやすくて手に取りやすい機能性表示食品を開発できればと思っています。

品質向上や摂取効率など地道な研究開発や消費者にとっては気になる飲み合わせの情報など、ファンケルの品質方針である「正直品質。」をひしひしと感じた。

今回、お邪魔した研究所も含め、全国にある工場や関連施設を見学できるツアーもあり、消費者に向けてオープンな姿勢で取り組み、「正直品質。」を実現させるための研究員や社員の方たちの企業努力を垣間見ることができた。


■「アンチエイジングフェア2018 in台場」
http://www.aaf-daiba.com/

開催期間:9月20日(木)~23日(日) 合計4日間
開催場所:フジテレビジョン本社屋(1階広場・エントランス・シアターモール・22階フォーラム)
入場料:無料(※球体展望室他一部エリア、コンテンツは有料)

(文・浦本真梨子)