ZOZO前澤社長が民間人初の「月旅行」へ…アポロ以降約50年も人類が月に行っていない理由

カテゴリ:ワールド

  • 「スペースX」社の月周回旅行の初めての乗客は「ZOZOTOWN」の前澤社長
  • 月周辺に人類が行くのは1972年以来51年ぶりとなる
  • 専門家「格段に強力で性能がいいロケットが必要」

宇宙開発を手掛けるアメリカの「スペースX」社の最高経営責任者、イーロン・マスク氏は日本時間18日午前、月を周回する旅行の初めての乗客は、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の前澤友作社長であると発表した。
会見に同席した前澤社長は、「小さい時から月が好きだった。このチャンスを逃せないと思った」と語った。

「ZOZOTOWN」前澤友作社長

「月に行くことにしました。アーティストと共に。」

Twitterにもこう投稿した前澤社長。
打ち上げは2023年の予定で、実現すれば民間人としては初となり、月周辺に人類が行くのは1972年以来、51年ぶりのことになる。

合わせて発表された資料や公式サイトによれば、このプロジェクトは「#dearMoon」という名前で、内容をざっくりまとめると…

・画家、音楽家、映像作家、ファッションデザイナーなど、各界を代表するアーティストを最大8人、月旅行に招待
・アメリカの宇宙ベンチャー「スペースX社」の大型ロケットで、1週間かけて月と地球を周回飛行する
・月と丸い地球を見て受けたインスピレーションを元に作品を創作してもらう

前澤社長と言えば、超が付くほど高額なアート作品やスーパーカーをたくさん所有したり、ロシアのサッカーW杯をプライベートジェットで観戦しに行ったり、女優・剛力彩芽さんと交際したり、何かと話題を振りまいていたが、今度は月旅行!
気になる費用について前澤社長は「まだ答えられない」としているが、目玉が宇宙に飛び出るぐらい高額なのは間違いないだろう。

アポロ計画のあと人類が月に行かないのはなぜ?

ところで月旅行と言えば、多くの人は1969年7月20日に初めて人類が月面に降り立ったアポロ計画を思い出すのではないだろうか。しかし、そのアポロ計画は1972年にアポロ17号で月面に着陸して以来中止となっていた。

いったいどうして人類は月に行かなくなってしまったのだろうか?
JAXA名誉教授で「宇宙旅行入門」という本を執筆した、高野 忠先生に聞いてみた。

――なぜ月旅行はアポロのあと行われないのか?

アメリカの威信をかけて宇宙開発を行ったアポロ計画は、当時のソ連に先行するという目的を達成しました。
そのあと宇宙ステーションの開発が始まりましたから、今度はそちらの方に力を入れるようになったんです。

――アメリカ以外の国がやらないのはなぜか?

月に人が行くのは、格段に強力で性能がいいロケットが必要です。
アポロ計画で使われたサターンロケットは、まるでビルのような大きさでした。
サターンに比べたら、小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げに使われたM-Vロケットは本当に小さなサイズです。

また、月のそばに行くと、速度が速すぎるとどこかに飛んで行ってしまうし、遅すぎると月に落ちてしまいます。
月の周りを回って帰ってくるというのは技術的にものすごく難しいんです。

このような技術が難しいということは、金がかかるということです。
技術と金はほとんど表裏一体ですから。


――大きなロケットが必要になる理由は何?

水と空気ですね。
有人の場合、空気が漏れないよう全体を機密構造にしますよね
しかし無人なら、密閉されてないスカスカの状態で飛ばすわけです。
空気が入っているということは、炭酸ガスを処理して酸素を供給することが必要になりますよね。
そして水の処理も必要なので、そのために大きくなります。

――日本の宇宙開発がすすめば、いつか有人月旅行をするようになる?

それは立場によってだいぶ意見が違うでしょう。
私はロケットの技術者ではありませんが、日本人なので、いつか国産の有人ロケットを作ってほしいと思っています。
しかし日本で有人ロケットを実現するのは難しいのではないでしょうか。

国でロケットの予算計画を作るとき「人が死んだらどうするんだ」「ではやめよう」となると思います。
これは私の個人的な感覚ですが、宇宙開発の事故や、打ち上げ失敗して海に落ちたときの国の対応を見ていると、ちょっと無理かなと思います。
ただ、それでもなんとか実現してほしいですね。

高野先生が、「月に人が行くには格段に強力で性能がいいロケットが必要」と語るように、月旅行が1972年以来行われていない理由の一つはその距離。
地球から月までの距離は約38万キロなのに対し、今年6月まで宇宙飛行士の金井宣茂さんが滞在していた国際宇宙ステーション(ISS)は約400キロと、その差は歴然。
50年も前に実現していたというのはすごいが、開発を続けるには技術や費用など割に合わないということだろう。

こうした中、「人類の火星移住」を目指しているスペースX社は、今年2月には現役として世界最大のロケットの打ち上げに成功するなど、実績を重ねていて、今回の月旅行は同社が開発中の大型ロケット「ビッグ・ファルコン・ロケット(BFR)」を使用するとされている。

2000万円の宇宙旅行を目指す日本ベンチャー

出典:スペースウォーカー

一方、日本にはすべての人が気軽に宇宙旅行に行ける未来を目指しているベンチャー企業がある。
2018年8月に発足した「スペースウォーカー」(SPACE WALKER)は、再使用可能な有翼ロケットを使って、2027年ごろに日本初の有人宇宙飛行を実現することを目指しているという。
料金はいくらになるのか?何が体験できるのか?
代表取締役の大山よしたかさんに聞いてみた。

――なぜ月旅行はアポロのあと行われないのか

技術的な問題より、需要的な問題があるのだと思います。
僕たちは、人を宇宙に送るとなるとそれなりのリスクがあるため、地上から100kmを超えた宇宙に出るところから進めていこうとしています。

――需要があれば「スペースウォーカー」でも月周回旅行を実現できる?

より大きなエネルギーが必要になってくるので機体を大型化するところと、生命維持に関しては、より高い技術が必要になってくるので時間をかける必要があると思います。
ただ、人類が50年も前からやってきたことなので、今だから実現できることも結構身近にあるのだと思います。

実は、僕らの中でも月まで行ったらどうかという話は何度か上がっているんですよ。
でも一歩手前からやっていこうとしています。


――100km上空では何が体験できるのか?料金は?

地球の丸みは30km超えたところから分かるといわれています。
僕らが目指している100kmを超えると、大気圏を超えて無重力に近い状態も体験できます。
値段は2000万円ちょっとを考えています。
ただ機体を大型化すると値段も下げていけると思うので、どんどん安くして自動車一台ぐらいの値段にできたらいいなと思います。


海外旅行の代わりに宇宙を体験する時代が本当にやってくるのだろうか。宇宙生活実現への第一歩になるかもしれない壮大な月旅行。5年後の旅立ちが待たれる。